ここから本文です

JAXA、火星探査用飛行機の高高度飛行試験に成功

日刊工業新聞電子版 6月25日(土)16時9分配信

大型気球で成層圏、上空微生物の採取も実施

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、地球の上空にいる微生物の捕獲や火星探査用飛行機の高高度飛行試験を目的とした気球の実験に2回続けて成功した。それぞれ直径数十メートルの大型気球を飛行させ、試料の採取や飛行試験機のデータなどを取得した。今後解析を進め、地球上空の微生物の分布や火星探査用の飛行機の開発などにつなげる。

 地球の上空の数十キロメートルにある成層圏では、微生物の存在が数例報告されている。8日には成層圏の微生物の捕獲を目的として、直径33・5メートルの大型気球を大樹航空宇宙実験場(北海道大樹町)から毎分300メートルの速度で上昇させた。

 高度28キロメートルに達した後、指令電波により分離・落下させ、海上に落ちた気球と微生物採取装置を回収した。上空28キロメートルから上空13キロメートルにまで落下する間、同装置の空気の取り込み口を開けることによって、成層圏内の微生物や微粒子を回収した。

 同プロジェクトは、千葉工業大学や東京薬科大学などが共同で実施した。研究責任者である千葉工大惑星探査研究センターの大野宗祐上席研究員は「成層圏の微生物が単独で存在するのか、微粒子に包まれた状態なのかといったことが謎だった。

 採取した試料を顕微鏡で詳しく解析したい」と意気込む。成層圏内に浮遊する微生物の種類や分布などを調べることで、地球の生物圏の仕組みが明らかになるかも知れない。

 火星探査に向けて、探査用の飛行機を作る取り組みも進行中だ。火星は表面の気圧が地球に比べ100分の1、平均気温がマイナス50度C程度という過酷な環境。火星探査用の飛行機を作るためには、こうした環境下で飛行できる機体を設計しなければならない。設計には火星大気の密度に類似した高高度での飛行試験が必要だ。

 12日には翼幅2・6メートル、機体長2メートル、重量5キログラムの飛行試験機を載せた直径63・4メートルの気球を同実験場から上昇させた。高度が36キロメートルで水平浮遊状態になった後、飛行試験機を切り離し、約15キロメートルの飛行を行った。

 このプロジェクトは、JAXA宇宙科学研究所が進めている。飛行試験で得たデータは風洞試験や流体力学シミュレーションの検証データとして利用し、将来の火星探査用飛行機の設計に生かしていく。

 気球を使った実験では、7―9月に成層圏のオゾンや二酸化窒素(NO2)の観測など3テーマを実施する予定。地球の上空を利用した実験によって、地球の謎の解明や宇宙開発などにつながることが期待される。

最終更新:6月25日(土)16時9分

日刊工業新聞電子版