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時代の気分がよみがえる、安西水丸展

Lmaga.jp 6/25(土) 9:00配信

1970年代から2010年代まで活躍したイラストレーター、安西水丸(1942~2014)。彼はイラストのほか、漫画、絵本、小説、エッセー、翻訳も手掛け、テレビ番組にも出演するなど多方面で活躍していました。その画業をたどる回顧展が、『美術館「えき」KYOTO』(京都市下京区)で行われています。

名作を通して、時代の気分がよみがえる「安西水丸展」が、京都で開催中

安西さんの人気に火がついた1980年代は、私が高校生・大学生の頃でした。村上春樹の小説の装丁や、雑誌、広告で彼の絵を沢山見たことを思い出します。当時のイラストは湯村輝彦や渡辺和博に代表される「ヘタウマ」(下手だけど味がある絵や文字)が流行っていて、私は「安西さんもヘタウマなのかな」と勝手に思い込んでいました。その間違いに気付いたのはもう少し後になってからです。当時から彼の絵は、シンプルな線と構図と鮮やかな色彩による軽やかさが特徴でした。日本的な湿り気たっぷりの土俗性とは対極的なその画風に、都会人の洗練を感じたものです。そして、どこか人懐っこい少年的な部分も残していました。

展覧会ではそうした安西さんの作品が、小説、漫画などジャンルごとに並べられており、特に親交が深かった嵐山光三郎、村上春樹、和田誠との仕事や、プライベートにまつわるコーナーも設けられています。大量の作品を前に、懐かしいやら嬉しいやら。しかし作品をじっくり見ていくうちに、昔は気付かなかったことを発見しました。安西さんは仕事の内容やクライアントによって絵柄を細かく使い分けていたのです。「なるほど、これぞプロのイラストレーターの仕事だな」。学生時代から約30年の時を経て、ようやく当たり前の事実に気付いたのでした。

回顧展は7月10日まで、『美術館「えき」KYOTO』にて開催。一般800円、大高生600円ほか。

文・写真/小吹隆文(美術ライター)

最終更新:6/25(土) 9:00

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