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社説[2016参院選 アベノミクス]「EU離脱」対策も争点

沖縄タイムス 6/26(日) 5:00配信

 推進か、見直しか。安倍政権の看板政策「アベノミクス」を巡って、与野党が火花を散らしている。
 ここへきて英国の欧州連合(EU)からの離脱決定という要素が加わり、日本経済の先行きに不透明感が漂う。足元に広がる不安にどう対応していくか、選挙戦ではしっかり語ってもらいたい。
 安倍晋三首相は参院選公示の日に「選挙戦の最大のテーマは経済政策だ」と第一声を上げた。
 日銀による大規模な金融緩和、機動的な財政出動、規制緩和を中心とした成長戦略-「三本の矢」と名付けた経済再生の旗を振る首相は、「アベノミクスのエンジンをフル回転させる」と各地で訴えている。
 強調するのは、自民党が政権に復帰してからの3年半で、企業の収益を増やし、賃上げや雇用の増加、株価の上昇につながったとする成果だ。
 確かに、当初は金融緩和で円安株高が進み、大手企業を中心に業績は改善した。しかし株高の恩恵は富裕層に偏り、高所得層と低所得層の格差が広がっている。増えたという雇用も非正規が中心だ。
 年明けから円相場は円高に振れ始め、企業収益や株価の先行きに不安が広がっている。英国のEU離脱決定の衝撃は金融市場を駆け巡っていて、急速な円高がアベノミクスを直撃する恐れがある。
 日本経済への影響を最小限にとどめるため、主要7カ国(G7)と連携し、迅速に対策を打ち出す必要がある。 ■    ■
 民進党の岡田克也代表の第一声は「アベノミクスは既に限界にぶち当たっている」だった。野党は暮らしの不安が広がったと批判のトーンを強めている。
 民進党は公約の中で、実質成長率の低迷や実質賃金の低下、非正規雇用の増加を挙げて、「経済政策を変える時」と訴える。格差是正に向けて「分配と成長の両立」を掲げ、人への投資、働き方革命、成長戦略の実行を盛り込む。
 アベノミクス批判を鮮明にする一方で、掲げた成長戦略実現に向けての道筋は漠としている。
 消費税率引き上げ再延期については、自民、民進両党が公約としているため争点になっていない。
 税収全体が小さくなれば社会保障の充実は見通せなくなり、安易に赤字国債を発行すれば財政再建は遠のく。
 必要な社会保障の財源をどう確保するのか、有権者の疑問に答えるべきである。
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 22、23の両日、沖縄タイムス社と朝日新聞社が実施した電話世論調査で、アベノミクスは「失敗している」と答えた人が53%に上った。
 もともと地方や中小企業ではアベノミクスの効果は薄い。県民所得が低く、非正規雇用の割合が高く、子どもの貧困が広がる県内では、特にそう感じる人が多いのだろう。 
 安倍首相自身、「道半ば」と認めるように、景気回復の実感は国民全体に行き渡っていない。実質賃金は5年連続で減少しており、所得再分配の議論こそ進めるべきだ。

最終更新:6/26(日) 5:00

沖縄タイムス