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【BARKS編集部レビュー】8ドライバーの新星カスタムIEMモデル、qdcの実力は?

BARKS 6月28日(火)22時57分配信

中国から颯爽とやってきたカスタムIEMブランドqdcがついに日本国内発売開始となった。日本で扱われているのは3モデルで、いずれもロー2発+ミッド2発+ハイ4発という計8基のバランスド・アーマチュアを搭載した多ドライバー構成となっている。

◆qdc画像

…が、見た目やスペック上に違いがなく、どうにも特徴が捉えにくい。価格にも違いがないので、ラインアップとしては完全に横並びだ。3モデルともオーダーできれば悩む必要もないのだけれど、なんせ各212,500円(税込)という高額モデルである。オーダー前に自分にとって最も満足できるのはどのモデルか、機種選定をしっかり行わないと後で泣きを見る。モデル名は8CS/8CH/8CLだが、末尾のアルファベットがシリーズ名を示しており、8CSはStudioシリーズ/8CHがHiFiシリーズ/8CLがLiveシリーズで、それぞれエンジニア向け/リスニング向け/ライブステージ向けのチューニングであるとしている。ものすごくざっくり言えば順にフラット/高域傾向/低域傾向といったキャラクター付けだ。

・8CS(Studioシリーズ):エンジニア向け/フラット
・8CH(HiFiシリーズ):リスニング向け/高域傾向
・8CL(Liveシリーズ):ライブステージ向け/低域傾向

とはいえ、それぞれに素晴らしいチューニングが施されており、そのサウンドクオリティは極めて高い。いずれも透明度が高く純度の高いサウンドで、練り込まれた完成度をみせている。「最近出てきた新参ブランドでしょ?ま、お手並み拝見ってとこかな」なんて余裕コイてると、後頭部をぶん殴られるようなショックをうけることになる。qdc、マジですんごくいい。だからこそ、オーダーするにもどのモデルにするかが悩ましい。取捨選択の「捨」ができない状況なのだ。

試聴機を聴き比べる限り、8CS(Studioシリーズ:エンジニア向けフラット)が最もニュートラルで汎用性の高いモデルと思われる。中低域からボーカル域の表現が非常に多彩で、いわゆるポップス~ロックをはじめとしたポピュラー・ミュージックを楽しむには、これが最適解だ。高品質で安定の1本が欲しいという人にも、8CSは理想のリファレンスになる。

音情報がギュウギュウに詰まっている中域を丁寧に描き出すチューニングで、その上でもっさりとしたかまぼこな印象とならぬよう、ボトムの安定感ときらびやかなハイを必要量だけあしらったように聴こえる。ごく平凡な音に思えるかもしれないが、この完成度は極めて非凡なものだ。確実に言えるのは、3モデルの中で情報量が最も多いのはこの8CSだろう。3モデルの中で「オーディオ機器として最も高品質なモデルはどれか」と言われれば、迷いなくこの8CSと答えたい。私の所有カスタムIEMの中では、カナルワークスCW-L52に濃密さを加味すると8CSのサウンドになりそうだ。

とは言え、ついつい刺激を求めてしまう自分としては、最も心地良かったのがリスニング向けと謳われている8CH(HiFiシリーズ:リスニング向け高域傾向)だ。明らかに8CSよりも弱ドンシャリ傾向にあり、低域と高域がストレートに伝わってくる。中域が引っ込むわけではないので、歌はしっかりと楽しみながらバックのサウンドがド派手に飛び回る様子が、それはそれは心地よい。高域も低域も非常に近くで鳴るという独特の音像が、適度な刺激とディテールの主張を後押ししてくれるので、音楽そのものが快活でノリよく聞こえる。8CSに比べるとクセがあるので、音に軽さや腰高な印象を受ける人もいそうだけれど、安直なドンシャリに走らずに分離の良さで派手な音像を演出するところに、qdcのサウンド設計のセンスを感じる。第一印象の良さも頭一つ抜けているのではないだろうか。

一方で、クリアさは他2モデルと比べると落ちてしまうが、最も低域の量感とともに腰の座った音を出すのが8CL(Liveシリーズ:ライブステージ向け低域傾向)だ。そもそも本来のステージモニタとして設計されたカスタムIEMと思われる。もちろんオーディオリスニング目的でも存分に楽しめるが、本来のオーディオバランスとしてはフラットではないところが、魅力的なサウンドに一役買っている。スコンと中抜きされたバランスで、弱ドンシャリのバランスで深い低域までしっかりと出ているのだけれど、鈍重感は皆無できちんとメリハリを演出してくれる。いわゆるドンシャリ系だけど、意外に耳に優しく最も刺激が少ないのも特徴といえそうだ。試聴機ではなく完全フィットしたカスタムIEMになると、低域ロスもなくなって、永遠のフェイバリットUE 11 Proのような屈託のないロックンロール・サウンドを叩きだしてくれるような気もする。

qdcが素晴らしいサウンドであることは十分にわかったけれど、私の焦点はどのモデルをオーダーするか…というところで、試聴機と実機とのギャップを妄想しながら悶々としている。8ドライバー低域強化系はJH AudioアンジーやHeir Audio 8.Aがあるということで、8CS(Studioシリーズ:エンジニア向けフラット)と8CH(HiFiシリーズ:リスニング向け高域傾向)の2択に絞ったとして、そこから前に進まない。パッと聴きは8CHの方がノリノリでいいんだけど、8CSの質感も見逃せない。8CHは似たようなサウンドがありそうだけど、8CSはどこにもないサウンドだから、やっぱ8CSにすべきか。いや、やっぱ8CHをカスタム化して理屈抜きの心地よさを手に入れたい気もする。ちなみに2つのサウンドの平均を取るとカナルワークスCW-L71になりそうだから、そこからどっちに振ったら嬉しいかなぁ。んー…難しい。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●qdc 8CS
Studio Series 8 Driver Custom IEM
レコーディングエンジニアやプロデューサーなどプロフェッショナルの現場で使用されることを目的に開発されたカスタムIEM。バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを8基搭載。qdcとして初のプロフェッショナル・マーケット向けのカスタムIEMで、中国で最も実力がある5人のサウンドエンジニアの内の一人、サウンド・エンジニアLuo Chenによってチューニングが施されたモデル。
・ドライバー構成:8ドライバー
・Low x 2, Mid x 2, High x 4
・周波数特性:20Hz -20kHz
・入力感度:112dB @ 1mW
・インピーダンス:22Ω
・イヤホン端子:qdc社独自の 2pin端子
・ケーブル長:約 122cm
・入力端子:3.5mm ミニ端子
・定価:OPEN
・メーカー希望小売価格(税別):196,760円
・発売日:2016年6月17日
・販売代理店:フジヤエービック東京中野店、e☆イヤホン(秋葉原 カスタム IEM専門店、大阪日本橋本店、名古屋店)

●qdc 8CH
HiFi Series 8 Driver Custom IEM
コンシューマー・マーケット向けにリスニング用途として開発されたカスタムIEM。バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを8基搭載し、音楽愛好家が楽しめるようなサウンドデザインとなっている。
・ドライバー構成:8ドライバー
・Low x 2, Mid x 2, High x 4
・周波数特性:20Hz -20kHz
・入力感度:112dB @ 1mW
・インピーダンス:22Ω
・イヤホン端子:qdc社独自の 2pin端子
・ケーブル長:122cm
・入力端子:3.5mm ミニ端子
・付属品 IEM Cable, Carrying Case, Cleaning Tool, 保証書(1年間)
・定価:OPEN
・メーカー希望小売価格(税別):196,760円
・発売日:2016年6月17日
・販売代理店:フジヤエービック東京中野店、e☆イヤホン(秋葉原 カスタム IEM専門店、大阪日本橋本店、名古屋店)


●qdc 8CL
Live Series 8 Driver Custom IEM
ライブパフォーマンスやライブレコーディング・ミキシングなど、プロフェッショナルの現場で使用されることを目的に開発されたカスタムIEM。バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを8基搭載。
・ドライバー構成:8ドライバー
・Low x 2, Mid x 2, High x 4
・周波数特性:20Hz -20kHz
・入力感度:112dB @ 1mW
・インピーダンス:22Ω
・イヤホン端子:qdc社独自の2pin端子
・ケーブル長:122cm
・入力端子:3.5mm ミニ端子
・付属品 IEM Cable, Carrying Case, Cleaning Tool, 保証書(1年間 )
・定価:OPEN
・メーカー希望小売価格(税別):196,760円
・発売日:2016年 6月 17日
・販売代理店:フジヤエービック東京中野店、e☆イヤホン(秋葉原 カスタム IEM専門店、大阪日本橋本店、名古屋店)

最終更新:6月28日(火)22時57分

BARKS

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。