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地元大田区の町工場実習で“働く”を学ぶ-東京都立六郷工科高校の“他の地域ではマネできない”人材育成

日刊工業新聞電子版 6月26日(日)8時0分配信

 “働く”を学ぶ―。東京都立六郷工科高校が立地するのは、製造業約3500社がひしめく東京都大田区。地の利を生かし、地元企業での長期就業体験が授業に組み込まれたデュアルシステム科を設置する。2015年度までに191人が同科を卒業し、うち102人が大田区内を中心とした町工場に就職した。地元企業と緊密に連携しながら人材育成に取り組んでいる。

 デュアルシステム科の生徒は、卒業までに1カ月間の長期就業体験を4回経験する。1年次に実施するインターンシップ(就業体験)を合わせれば、都合約5カ月間にも及ぶ。就業体験する企業は大田区のモノづくり企業240社の中から生徒が自由に選べる。

 佐々木哲校長は「就業体験した生徒は、技術以上に人間的に成長する。また当校と受け入れ企業の信頼関係は強い。経営者と情報交換しながら生徒個人に合った方法で指導している」と話す。

 この強い信頼関係は教員の地道な努力によって構築してきた。就業体験の受け入れ企業は開校当初、74社だった。教員が区内企業を1社ずつ訪ね、つながりを深めながら受け入れ先を増やしていった。佐々木校長は「他の地域でマネしようと思っても簡単にはできない」と笑う。

 長期就業体験は企業と生徒とのマッチングの意味合いも持つ。教員は生徒だけでなく企業のことも把握している。佐々木校長は「生徒と経営者が時間をかけてお見合いしているようなもの。企業側と教員できちんと“キャッチボール”しながら生徒の適性を見極めている」と明かす。

 今後は同科以外の生徒にもインターンシップの機会を提供する予定だ。全校生徒が就業体験した上で卒業する体制となる。「実践第一」をモットーに、大田区の町工場を元気にする人材の育成を目指す。

(南東京・門脇花梨)

【DATA】▽校長=佐々木哲氏▽所在地=東京都大田区▽学科構成=(全日制)プロダクト工学科、オートモビル工学科、システム工学科、デザイン工学科、デュアルシステム科、(定時制)普通科、生産工学科▽生徒総数=648人▽主要設備=数値制御(NC)旋盤、NCフライス盤、レーザー加工機、3Dプリンターなど▽主な進路=16年3月の全日制卒業者1162人中101人就職。トヨタ自動車、いすゞ自動車など大手企業のほか、エステック、北嶋絞製作所、昭和製作所などの区内企業、千葉工業大学、東京工芸大学、日本工学院専門学校など

最終更新:6月26日(日)8時8分

日刊工業新聞電子版