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リピーター率92% テレビ通販「QVC」はどうしてまた買いたくなるのか

日刊工業新聞電子版 6月26日(日)16時1分配信

重要なのは製品開発のストーリー 共感を購買に結びつける

 テレビショッピング世界最大手、米QVCの日本法人のQVCジャパンがテレビ放送を始め15年を迎えた。自社スタジオから24時間365日、ケーブルテレビ(CATV)や放送衛星(BS)などを通じ全国に配信している。日本進出13年目で売上高は1000億円を突破。フィッツハリスCEOは「日本から世界へ発信する製品も出てくる」とし、中小企業の製品も開拓する考えだ。フィッツハリスCEOに戦略などを聞いた。

―ショップチャンネルなど競合の多い日本でどう戦いますか。
 「小売業界は全体的に厳しいが、当社の立ち位置は少し違う。グローバル展開を生かした商品力に加え、それを実演できる強みがある。顧客に商品の機能や価格だけでなく、その裏にあるストーリー、つまり開発者の思いや歴史を伝え、視聴者の共感を購買に結びつけていきたい」

【日本から世界へ発信】
―日本市場にどのような可能性を見いだしていますか。
 「日本の顧客は品質へのこだわりが強く、世界有数の製造業も多い。日本から世界へ発信する製品も出てくるだろう。世界的に顧客の目が厳しくなる中、日本での経験、成功例は世界展開を加速するQVCグループの発展に多くの可能性をもたらす」

―放送スタジオや物流施設など。全てを自社で整備する理由は。
 「QVCと顧客との関係性は他の小売業とやや違う。顧客の要求に対してより素早い対応が必要だ。また、それだけの投資をし全てを自社で運営することは、顧客だけでなくベンダーや従業員に対する決意でもある」

―魅力的な商品をどう探し出すのですか。
 「“人”が全てだ。バイヤーがどれだけ顧客目線で考えられるか、そして優れたパートナーとどう組むかが重要。パートナーとの関係性構築に近道はない。QVCの売り上げの92%はリピーターによるもの。積み上げた関係性を顧客も感じ、信頼につながっている」

―QVCへの採用は、販路開拓を求める中小企業にとって魅力的です。
 「各国で中小企業の開発した革新的な商品を数多く販売してきた実績がある。大企業の人気製品を売るのは簡単だが、我々が求めるのはストーリーがあるか、そして開発者の情熱をテレビを通じ伝える人がいるかだ。こうした製品を持つ企業との出会いを求めている」

【解説-中小の「情熱」広く発信を】
フィッツハリスCEOは「顧客はストーリーを求めている」と強調する。モノがあふれる中、顧客が商品を選ぶ基準は変わりつつある。ユニークな製品がありながら、販売チャンネルがなく効果的に製品展開できていない中小企業も多い。QVCが“触媒”となり、中小の「情熱」がより多く国内外に発信されることに期待したい。(千葉支局・曽谷絵里子)

最終更新:6月26日(日)16時1分

日刊工業新聞電子版