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硬軟自在の表現に迫力 来場者「画鬼」の作風堪能 河鍋暁斎展

北日本新聞 6月26日(日)0時37分配信

 県水墨美術館で25日開幕した企画展「鬼才-河鍋暁斎(かわなべきょうさい)展 幕末と明治を生きた絵師」の会場には、縦4メートル、横17メートルという巨大な「新富座妖怪引幕(しんとみざようかいひきまく)」をメインに、美人画や水墨画、風俗画など1人の絵師が描いたとは思えないほど多様な作品が並ぶ。解説会では、暁斎のひ孫で河鍋暁斎記念美術館の河鍋楠美(くすみ)館長(85)が硬軟自在の表現の魅力をはつらつと語った。来場者は「画鬼」とも呼ばれ、国内外で賞賛された絵師の画技に圧倒されていた。 

 展示会場に足を踏み入れると、最初に目に飛び込むのがガラスケースいっぱいに広がる「新富座妖怪引幕」。酒をあおりながら4時間で描いたとされ、来場者は展示ケースに顔を近づけたり、離れて眺めたりしながら、疾走するような力強い線と表情豊かな妖怪に見入っていた。

 解説会でマイクを握った河鍋館長は、当時のトップクラスの歌舞伎役者が妖怪に見立てられ、それぞれの家紋と共に表現されていることを説明。幕の上に三つ残る暁斎の足跡なども指さし「こんな風に個性たっぷりに妖怪を描ける画家は暁斎以外にいなかった。だからたくさんの絵の注文が来た」と話した。

 富山の所蔵家から出品された「楊貴妃図」など美人画が集まったコーナーでは、女性の着物や手にした扇子に描かれた繊細な図柄に注目するよう勧め、「暁斎は妖怪の画家というイメージが強いが、美人画も何でも描ける」と強調。会場に並ぶ多彩な作品を「暁斎の絵は5人の絵師が描いたと言われた」と紹介した。

 上市町出身で京都市に住む立命館大4年の富樫夕有子(ゆうこ)さん(21)は暁斎の大ファンで「どうしても初日に来たかった」と笑顔を見せた。「引幕は美術雑誌でも見て知っていたけれど、実物はやはり違う。線の勢いがすごい」と感心した。

 暁斎の「楊貴妃図」を所蔵し、今回の展覧会に出品した射水市の主婦、宝田弘子さん(75)は「幅広い画風から暁斎の緻密さと勤勉さがうかがえた。ほかの作品と並び、出品した作品も輝いて見えた」と喜んだ。

■「多彩な作品楽しんで」 開会式で県内初開催祝う
 「鬼才-河鍋暁斎展」の開会式では、石井隆一知事が「暁斎はさまざまな画派に学び、素晴らしい作品を残してきた。多くの皆さんに見てもらいたい」とあいさつ。板倉北日本新聞社長は「海外でも人気を集めた暁斎の評価が、日本でも近年ますます高まっている」と述べた。

 河鍋楠美館長が「巨大な『新富座妖怪引幕』を飾れる素晴らしい会場。全貌をつかむのが難しいくらい多彩な作品を描いた暁斎の絵を楽しんでほしい」と呼び掛けた。

 特別協賛した北陸銀行の庵栄伸頭取、浅地豊県水墨美術館長が加わり、テープカットした。県内初となる鬼才の展覧会の開幕を祝った。

北日本新聞社

最終更新:6月27日(月)15時14分

北日本新聞

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