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『ガンダムクロスウォー 未来への翼』発売前夜祭イベント 実力派イラストレーターが”ガンダムの戦場画”に込めた想いを語る!

ファミ通.com 6月27日(月)18時2分配信

文・取材・撮影:ライター マンモス丸谷

●『ガンダムクロスウォー』イラストの制作秘話を語る
 2016年6月23日、東京・ガンダムカフェ秋葉原店にて、バンダイのトレーディングカードゲーム&アプリ、『ガンダムクロスウォー』の最新弾、『未来への翼』の発売前夜祭イベントが行なわれた。ここでは前夜祭で行なわれたイラストレータートークショーの模様を中心にお届けする。

 イベントに参加したイラストレーターは、As’Maria氏、Koma氏、大谷勇太(PLANETA)氏、木下ともたけ氏。『ガンダムクロスウォー』のカードイラストを始め、さまざまなガンダムの版権イラストを担当している4名だ。

 トークは「俺たちの『ガンダムクロスウォー』を見ろ」というテーマでスタート。モニターに映し出されたカードイラストを眺めつつ、イラストレーターさん自身の解説で、『未来への翼』でのイラスト制作で注力した点、今後描いてみたいモビルスーツなどが語られた。
 最初に自身のイラスト解説を行なったのはAs’Maria氏。司会の「どんなシチュエーションが得意ですか?」という質問に、「宇宙戦ですね。背景を描くのが苦手なので(笑)」と答えて笑いを誘いつつも「最近はエフェクトをもっとマシマシでがんばろうと思っていて、百式の(装甲の)メッキ的なテクスチャーは力を入れました」と語った。今後手掛けたいモビルスーツは「僕がデザインしたGP00ブロッサムはぜひ描きたいですね! これの実装を早くお願いしたいです」とのこと。観客からも拍手とともに、実装を期待する声があがっていた。

 続いてトークが回ってきた大谷氏も「ぼくもエフェクトはマシマシで、派手な感じに仕上げるのが好きですね。あとぼくは(モビルスーツ)の破壊の表現というかダメージ表現を凝るのが好きで、そこを自分のウリにもしているので、そこを見てほしいですね」と、モビルスーツの表現方法へのこだわりを口にした。

 As’Maria氏のトーク中に「ぼくと違って背景を描くのが好き。市街戦を描くのが得意な人」と紹介(?)された木下氏は、「戦場画という発注を受けているので、なるべく背景に人物(兵士)も入れるようにしてリアリティーを出すようにしています。自分の絵に限らず、イラストレーターそれぞれの個性を見てもらえればと思います」、「描きたいモビルスーツはとにかく量産機があれば……。ジム系であればなおいい(笑)」とコメントした。

 Koma氏は複製原画が今回のイベントのプレゼントにも選ばれた、G-3ガンダムのイラストに言及。「G-3ガンダムは元々小説版『機動戦士ガンダム』のモビルスーツなので、絵に起こすときどこまで文字から情報を取るかに苦労しました。背景に赤いドム(シャア専用リックドム)やガンキャノンが2機、この状況の中にブラウ・ブロがいるっていう、小説版が元になっているからこその絵を楽しんでほしいですね」と語った。

 イラストレーター自身によるカード紹介が終わると、話題はほかのイラストレーターさんのイラストを見た際に受ける刺激についての話へ。「毎回納品したときはよくできたとは思うんですけど、実際にできたカードをもらって見てみると、ほかの絵師さんのほうがうまい、やられた! って思いますね。そこから(自分の中での)反省会が始まります」と語ったのはAs’Maria氏。大谷氏は「木下さんですね。モビルスーツに苔を生やして時間の経過を表現するとか、自分はやらない、思いつかない表現なので目を引きました」と、隣の席に座る木下氏の名前を挙げた。その木下氏は「(やられた!と思うのは)それは森下さんですね」と、今日のイベントには来られなかった森下直親氏の名を即答。Koma氏も「やっぱり森下さんの影響はすごいんですよ。絵描きが好きな絵を描かれる人なので。全員がなんらかの影響を受けていて、そこから切磋琢磨していると思います」とコメントした。さらに木下氏は「ここにいるAs’Mariaさん、Komaさん、それと森下さんにはPCで絵を描くこともイチから教えてもらったんですよ。とくに森下さんには重要なことを教えてもらったんですけど、当時のぼくのPCの知識では覚えられなかった(笑)。それでも追いつこうとして真似はしてみたんですけど無理で、そうこうしているうちにいまの作風になりました」と過去の裏話&トークにオチ(?)をつけたところでトークイベントの時間は終了。

 その後、この日ひと足早く購入することができた『未来への翼』のカードを使った、ブースタードラフト大会が行なわれた。

●トークイベント延長戦! ガンダムのイラストに携わった経緯やカード製作の裏話を直撃インタビュー
 ガンダムカフェでのトークイベント終了後、別室にて追加インタビューが行なわれた。ここではそこで聞けた、イラストレーターの皆さんがガンダムの仕事に携わったきっかけや、イラストが完成するまでの裏話などを聞くことができた。

――皆さんのイラストレーターになったざっくりとした経歴というか、『ガンダムクロスウォー』のカードイラストを担当するようになったいきさつを教えていただけますか?


As’Maria イラストレーターには、気がづいてたらなっていたって感じですね。ぼくらの子どものころはテレビゲームはなかったし、おもちゃもそんなに買ってもらった記憶はないので、遊びはテレビ、マンガ、絵を描くぐらいで。何となく絵を描いていたらイラストレーターになっちゃったって感じです。略歴でいうと1990年代にゲーム会社に就職して、その後にフリーになったという形です。

大谷 ぼくも元々はゲーム会社で3Dの背景やキャラクターを作っていました。イラストの仕事はPLANETAで『ポケモン』のカードのイラストを任されてからやるようになりました。

木下 元々ガンダムとかは好きだったんですけど、最初に入ったのは広告系の会社で、絵は描かせてもらえるんだけど、わりと簡素な絵ばっかりを次々と描かされる仕事だったので達成感がなくて。その会社を辞めたあとはファミ通ブロスで漫画を描いたり、イラストの仕事をやっていました。ガンダム関係の仕事は(ガンダムゲームの)攻略本の仕事をもらったときに「やっと堂々とガンダムの絵が描ける!」と思って気合いを入れて描いたら、それがサンライズの人の目に止まって。そこから『ガンダムウォー』の仕事を依頼されて、そこから他のガンダムの版権イラストでもいろいろ使ってもらえるようになって、いまに至るという感じです。

Koma これは将来イラストの仕事をしたい人向けのことを言ったほうがいいですかね?(笑)。ぼくは子どものころに「何でもいいから自慢できるものを作りなさい」って言われて。そのときに人から言われなくてもやってることが絵を描くことだったので、そこから人に見せるようになって。それこそ当時ブームだった『ガンダム』の絵を描いて見せていたら喜んでくれる人がいて、そこから絵が好きになって日常的に描くようになりました。でも、それと絵を描く仕事につけるかは別の話で。最初は東京に出てきてゲーム会社に入ってゲームを作ってました。でもやっぱり絵を描きたくなって、5年ほど勤めたあとに辞めて。そのあとはバンダイ系の仕事を請け負ってたデザイン会社さんや、バンプレストに入って企画をやっていたんですけど、そこでもやっぱり「絵が描きたい!」って思っていたときに『ガンダムウォー』のイラストの仕事が知り合いから声が掛かりまして、そこからフリーになりました。最初のころは会社員をしながら絵はペンネームを使ってこそこそ描いてたんですけど、『ガンダムウォー』の絵を描き始めてからペースが上がってくると「あれ、これならフリーになってもいけるかもしれない」ってなって、(『ガンダムウォー』のスタートから)2年経ったぐらいで会社を退職し、そこからフリーになりました。幸いカード事業部さんのおかげで(笑)、この十数年、ほぼガンダムのイラストを描いて過ごしています。

木下 まとめるとみんな“人の縁”です。ほんとに全部そうで、『ガンダムウォー』でいっしょにやっていた人と会ってなかったら、デジタルで絵を描くこともなかったと思います。

――『ガンダムクロスウォー』のカードイラストで描くモビルスーツ、イラストの構図なんかはどのように決まるのでしょうか?

Koma けっこう言ったらダメなことも多いんだけど(笑)。カードになるモビルスーツを決めるのはバンダイさんが決める形で、ぼくらにはそのリストがきます。そのリストを見てみんなそれぞれ「このモビルスーツを描きたい!」って希望を出すのですけど、そこで描きたいものが被った場合は調整が入るので、希望がかなったら(ガッツポーズをとりながら)「よし!」って感じですね。木下さんの場合なんかは「やったー、ジムが描けるーって(笑)」。

木下 そういう意味では基本バラけてはいるんですよね。

Koma みんな好みがわかれてるんだよね。

木下 As’Mariaさんはわりと新しいもの(最近のガンダム作品)好きだもんね?

As’Maria 新しいもの好きというか、担当することがわりと多いといえば多いね。たまに。

木下 As’Mariaさんは何でもできてパッケージになるような主役機をやることが多い。ぼくはそういうのはもう諦めてるから(笑)。自分は量産機。

As’Maria もうひとつの質問の「描く構図は決まっているのか?」ですけど、カードのイラストは基本的に絵を発注されたときに字コンテというものがあって、そこに書いてあることをぼくら側でも精査します。「ライフルよりもビームサーベルのほうがカッコよく書ける」とか(笑)。そういう判断基準で描くモビルスーツは同じでも、どんな構図かはその人の趣味によって変わってくることもありますね。だからカードのシチュエーションはだいたい決まってるんですけど、『ガンダムクロスウォー』の戦場画に関してはぼくらをすごい信頼してもらってて、自由度がとても高いんです。描くモビルスーツだけ決まってて、あとはこちら(イラストレーター)側でアイデアを出してくださいという、いままでとは違った形式でやらせてもらっています。

木下 (自身の描いた陸戦型ガンダムのイラストを指して)だからこういう細かい背景が描けるんですよ(笑)。何を描けっていう指定がないから自由に描けるんですよ。

――字コンテやイラストレーターさんのアイデアがかぶって「モビルスーツは違うけどシチュエーションが同じ」ってことが起こったりしたことはありますか?

As’Maria 別のカードゲームでしたけどありましたね。まったく同じ構図で左右反転したような(笑)。『ガンダムクロスウォー』に関しては自分たちとバンダイさんとのやりとりでアイデアを出してシチュエーションを作っていくので、かぶることはないかな。その分ぼくらが考える必要があることも多いですが。

Koma 『ガンダムクロスウォー』は、カードのスペックとかけ離れたイラストでなければ自由採用ってところもあるので。このG-3ガンダムも字コンテには「G-3ガンダム、装備はビームライフル」ぐらいしか書いてないんですよ。そこからスタート。ぼくが描きたいからこうなったと。

――確かに字コンテのリクエストは守られていますけど、描き手しだいで受ける印象はまったく違いますよね。

Koma それをカード事業部さんが受け止めてくれるんで、(どこまでやるかは)絵描き的には自己責任ですよね。時間的なコストがかなり変わりますけど(笑)。信頼されているからこそ、それに応えます。

――では最後に改めて、『未来への翼』で描いたイラストの「ここを見てくれ!」というポイントがあれば教えてください。

Koma 戦場画がメインのカードゲームではあるんですけど、絵ってリアルだからいいというわけではないと思うんですよ。だからいろんないい絵があると思うので、セルっぽい絵もいいよ、と(笑)。今回描いた中ではガンダムF90の鮮やかな色づかいを見てくれればうれしいです。

大谷 ぼくはウイングガンダムゼロですね。これは中のパイロットが悪いとき(ゼロシステムの悪影響を受けている)のシーンをカード化したものなので、色をかなり暗く落としたうえで逆光の場面にしてるんですよ。そういったところを注目していただければと思います。

As’Maria イベントとかぶっちゃうんですけど、百式のメッキ感はがんばりました! あとはどの戦場画にも”おまけモビルスーツ”的な機体をなるべく入れるようにしてますね。百式のカードだと後ろにゼータガンダムが飛んでたりとか、V2バスターならガンブラスターも一緒にいるので、「今回のおまけモビルスーツはどれかな?」って感じで見ていただけるとうれしいですね。

木下 ぼくは人物が入っているのが戦場画らしいと思っているので、(イラストとして)切り取った場所で人間がどう動いているかっていうのを見てもらって、臨場感を感じてほしいですね。でも今回担当したカードの中で、ゲーマルクのイラストには人が入っていないんですよね(笑)。だからシン・マツナガのザクのほうをより見てほしいかな、という感じです。

最終更新:6月27日(月)18時2分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。