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韓国系中国人が事業家として成功 羊肉串チェーン

聯合ニュース 6月27日(月)19時4分配信

【ソウル聯合ニュース】1992年の韓中国交正常化後、韓国系中国人の朝鮮族が韓国で事業を立ち上げるようになった。その一人、徐龍奎(ソ・ヨンギュ)氏は、若者に人気で今や「全国区メニュー」の羊肉串で成功を収めた事業家だ。首都圏を中心に、羊肉串と中国料理の店「ミガク(味覚)」を展開している。

 直営店6店の年間売上高は60億ウォン(約5億1400万円)。店舗の大きさによってばらつきはあるが、加盟店15店を含めた1店当たりの平均売上高は7億ウォン以上と、「韓国の羊肉串店のうち、坪当たりの売上高はトップ」と自負する。このほどソウル市内の直営店でインタビューに応じた徐氏は、ミガクの人気の秘密は韓国人を主要ターゲットにしたメニュー開発にあるとしながら、本格的なチェーン展開に意欲を示した。

 徐氏は中国・黒竜江省出身。高校卒業後、天津にある韓国系のポケットベル会社に勤め、ためたお金を元手に1988年にハルビンで韓国料理店を開業した。サラリーマン時代の月給は朝鮮族の月給の5倍で、周囲は転職を止めたが、徐氏に迷いはなかった。昔から料理への関心が高く、高校時代に飲食店の厨房で料理を習った経験を生かしたかった。

 店は口コミで評判が広がり、ランチタイムには行列もできる人気店になった。目の回るような忙しさだったが、「お客さんから『おいしい』とほめられるとうれしくて、大変だとも思わなかった」と振り返る。

 ところが予想もしない事態に見舞われた。店に酒類を納品していた暴力団が無理な要求を突きつけ、争いに発展した。身の安全に危険を感じた徐氏は、店をたたむ余裕もないまま旅券だけを持って韓国行きの飛行機に乗り込んだ。

 ソウルに降り立ったのは1999年末。まずは中国料理店に就職し、料理の資格証を取得した。2001年に江東区高徳洞で出前専門の中国料理店を開き、3年後には富裕層の多い江南区大峙洞に客席のある店を構えた。

 商売が順調に進んでいた2006年、店をたたむことになった。徐氏は韓国で本格的に事業をしたいという一心から、ビザの期限が切れた後も韓国にとどまっていた。店の名義は人から借りるしかなく、常に取り締まりにおびえていた。そんな時、韓国政府が不法滞在者を減らすため、自主的に帰国した不法滞在者にあらためて就労ビザを支給するという制度を始めたのだ。これは朝鮮族など韓国系外国人を対象にしていた。

帰国した徐氏は、2008年に合法な滞在者として韓国に戻った。事業計画を立て直し、翌年ソウル・鷺梁津に辛いチャジャン麺(韓国式のジャージャー麺)とチャンポン麺を売りにする中国料理店を出した。当時の食のトレンドでもあり、1年後には月間売上高が4000万ウォンを超えた。店を大きくするには差別化が必要だと考えメニュー開発に没頭。その時、徐氏の前にあらわれたのが羊肉串だった。

 羊肉は韓国人になじみがなく中国出身者しか食べないと思っていた。しかし、故郷の友人たちとの集まりで訪れたソウル・東大門の羊肉串店は、朝鮮族の客はほぼ見当たらないにもかかわらず繁盛しており、月の売上高は1億ウォンを超えるという。

 これにひらめいた徐氏は、羊肉串と中国料理の店を出す準備を始めた。差別化が鍵を握るとみて、肉質の柔らかなオーストラリア産のラムを仕入れ、独特な臭みを消すための下処理から焼けた肉につけるソースまで、一から開発した。

 そうして誕生したのが「ミガク」だ。1号店を朝鮮族が集まるエリアではなく、高麗大前にオープンしたことについて、「韓国人を主要顧客に定め、中国料理特有の香りをなくし、香ばしさと甘さが引き立つようにした。韓国の若者が集まる場所で勝負してこそ、大きく成長できると思った」と説明する。ミガクの客は99%が韓国人だ。高麗大前の1、2号店の年間売上高は計25億ウォンと、同エリアの名物になった。

 その後、ソウル・鍾路、ソウル近郊の板橋、安養と直営店を増やした。15の加盟店はいずれも徐氏の親戚や知人が運営している。ロイヤルティーは取らず、メニューは無償で伝授してきた。「店を開くたび、余裕が無いにもかかわらず知人らがお金を貸してくれたおかげで今日の私があるということを忘れない。成功は分かち合うほど大きくなると思う」と語る。

 本格的なチェーン展開に向け、徐氏はこのほど加盟店を運営する友人ら6人と共に「ミガクフード」を商号登録し、事務所と教育施設を設置した。来月には直営店1店と加盟店2店を新たに出す。

 釜山など地方の加盟店も好評を得ているという。店を全国に広げ、3年以内に200店に増やすという目標を掲げた。消費者の好みは常に変化すると考え、今も暇をみつけては厨房でメニュー開発に取り組んでいる。

 今年4月、徐氏は韓中創業経営協会の2代目会長に就いた。韓国で手広く事業を行う朝鮮族が2014年に設立した協会で、新たに起業を目指す人たちにノウハウや経験を伝えている。9月には起業のための教育課程を設ける計画だ。

 徐氏は韓国に暮らす朝鮮族がそのまま定住する傾向が強まっているとみて、2世が差別されず生きるため、1世が商売で稼ぐだけでなく韓国社会に貢献すべきだと考える。「ここが第2の故郷と思い、社会のメンバーとして適応するため努力し、ボランティア活動に取り組むべきだ。私たちが先に変わろうとする姿を見せれば、周りの認識も変わる」と力強く語った。

最終更新:6月27日(月)20時52分

聯合ニュース