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[インタビュー]大学院生は教授の奴隷…ウェブ漫画で教授の横暴告発

ハンギョレ新聞 6月27日(月)8時25分配信

話題のウェブ漫画『悲しい大学院生の肖像』書籍出版 

ストーリー作家として参加したヨム・ドンギュ氏 
弟子にセクハラ、助教には暴行、論文盗用… 
教授の「横暴」に蝕まれた「象牙の塔」を内部告発

 「助教の分際で教授を置き去りにバスを出発させる?」「申し訳ない?申し訳ないなら土下座して謝れ」

 ある教授が、遅れてきた自分を待たずにセミナー会場に先に出発したといって、2時間余りも自分の助教に暴行する。ウェブ漫画『悲しい大学院生の肖像』第1話に登場するエピソードだ。ウェブ漫画の話に過ぎない?いや、2010年に高麗大で実際に起きたことだ。その教授は弟子に対する常習的暴行や暴言が問題になり、今年初め停職3カ月の懲戒処分を受けた。

 自分が指導する大学院生を「奴隷のように」働かせる教授社会の素顔を逐一明らかにして話題を集めたウェブ漫画『悲しい大学院生の肖像』が17日、書籍として出版された。昨年11月から今月初めまでポータルなどに連載された11編をまとめたものだ。ウェブ漫画のストーリー作家として参加した高麗大一般大学院総学生会(院総)のヨム・ドンギュ学術局長(25)は、本の序文で「大学院生の問題を今のまま放置したら、今後もこの国でノーベル賞のようなものは夢見ることさえできないだろう」とし「大学院生研究者の問題を解決することは、韓国の学界の未来、学問の発展と直結した問題」と書いた。

 24日、ソウル城北区の高麗大院総事務室で会ったヨム局長は、「単純に『大学院生は教授の奴隷だ』ということを伝えるだけでなく、韓国社会がそうした大学院生の境遇に関心を持たなければならない理由を明らかにしたかった」と話した。ヨム局長は高麗大国文科を卒業し修士過程に通う大学院生だ。2014年大山(テサン)大学文学賞評論部門で入賞し登壇した評論家でもある。

 ウェブ漫画のエピソードはすべて大学院生が実際に体験したことだ。「刺激的だ、誇張ではないかという反応もあるが、誰のことかを特定できないように脚色をするだけで、情報提供の内容を誇張したり膨らませたことはありません。それどころか、あまりに刺激的な内容については実際に提供された情報より縮小することもあります」。女子院生に対する男性教授のセクハラ問題を扱った第3話『続けられるだろうか?』編で、教授が院生を相手にした話(「新入生の○○のことなんだがね、まだ来たばかりなので分からないことが多いだろう? 私が個別にいろいろ教えてやりたいんだけど。私の学生でさえなければ、なんとか一度してみるのに…」)には、元の情報提供には「モーテル行って指導を受けるか?」というコメントもあった。「教授のセクハラ発言はワーディング(表現)までそっくり同じという事例がとても多いのです。情報提供を受けて私達どうしで話をすると『この言葉は本当にいつも出てくるね』と言っています」

 こうした被害事例は特定個人の不運ではなく、韓国の大学院生が直面している普遍的問題だ。2014年に大統領直属青年委員会が全国の大学院生を対象に実施した「大学院生研究環境実態調査」で、回答者(2354人)の45.5%は言語・身体・性的暴力、差別、私的労働、著作権盗用のような「不当な処遇」を一つ以上経験したと答えた。こうした大学院という集団に所属していなければ分からない教授社会の素顔を明らかにしたという点で、ウェブ漫画は事実上の「内部告発」だ。

 教授の研究費横領や論文代筆など、犯罪に近い行為も主要なエピソードだ。昼夜を問わず続けた実験で完成した論文が指導教授の一言(「これそっくり○○に渡して」)で共同論文になってしまう「研究成果盗用」(第2話、理解する学生)が代表的だ。「金にならない学問」の博士課程に通い「この学問は今後、人が生きていくのに絶対に必要だ」という自負心で頑張ってきたある大学院生は、教授の指示で一人で完成させた論文に先輩と共同で名前を上げなければならなかった。その先輩は以前、こう話したことがあった。「俺たちが学生だとでも思うのか?勘違いするな。俺たちは奴隷だ。人気もないし研究費も少ない。奴隷の中でも一番下の奴隷」

 ウェブ漫画が連載された間、高麗大院総は全国の大学院生の「人権侵害申告センター」になった。論文を捏造をした指導教授のせいで、大学から「教授とともに60億ウォン(約5億2千万円)を弁償しろ」という訴訟にあった成均館大学生3人の事情をウェブ漫画にして、まもなく「特別版」としてインターネットに掲示する予定だ。「当事者たちが直接Eメールをくれました。情報提供者の学校にも院総はあるのに、私たちに連絡をくれるケースが多いです」

 高麗大院総とヨム局長は、11月を目標にシーズン2の連載を準備している。「これまで私たちだけが見ていた「助教勤務環境実態調査」や「大学院生研究環境実態調査」のような資料を欲しいと言う人が多くなりました。ウェブ漫画の影響が大きいようです。これで何かを変えられるのか懐疑的でしたが、本当に変えられるという希望が見えてきました」

チン・ミョンソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月27日(月)8時25分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。