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自動運転車は運転者と歩行者のどちらを救うのか

ハンギョレ新聞 6月27日(月)18時20分配信

自動運転車時代の倫理 「サイエンス」掲載の論文が話題

 自動運転車を開発する企業は、車に組み込まれた人工知能が安全のため最善の選択をするよう設計する。しかし、答えがはっきりしない状況も考えられる。そのまま走行したら歩行者が死に、避ければ壁に激突して同乗者が死ぬ突発状況に直面した自動運転車はどうすればいいのか。もし歩行者が1人でなく10人だったら?

 この問いに対する考察をした論文が、世界的に権威のある科学学術誌「サイエンス」に掲載された。仏トゥールーズカピトル大のジャン・フランソワ・ボネフォン氏、米オレゴン大のアジム・シャリフ氏、マサチューセッツ工科大(MIT)のイヤド・ラフワン氏は「自動運転車の社会的ジレンマ(The social dilemma of autonomous vehicles)」という論文を24日(現地時間)、サイエンスに発表した。

 研究のため行ったアンケート調査に応じた人たちは、ほとんどが「功利主義的立場の自動運転車」(同乗者より歩行者を生かす方向)を好み、誰もがそういう車を購入すべきだと考えた。ただし、アンケート回答者の76%は「車の同乗者1人を犠牲にしても歩行者10人を救うようプログラミングするのが倫理的に望ましい」と明らかにした反面、同乗者と歩行者がいずれも1人である場合、同乗者を犠牲にしなくてはならないと主張した割合は23%に落ちた。

 しかし、本人や家族をこのため犠牲にできるかとなると、反応が変わった。自分が購入するなら「高い費用を払ってでも車両の同乗者を保護する車両」を購入するという意思を明らかにした。

 論文共著者のラフワン氏は、自動運転車が広く普及すれば交通事故を大きく減らせるが、こうした社会的ジレンマにより自動運転車の普及が遅くなる可能性があると予想した。功利主義的な方法で自動運転車の規制が導入されれば、人々は車を購入しない可能性が高く、市場が形成されず自動運転車の普及が遅れるというのだ。

 同誌の発表に先立つ13日、国土交通部の主催で開かれた「自動運転車金融・複合未来フォーラム」では、自動運転車が事故を起こした際の法・倫理上の問題について議論が交わされた。弘益大のイ・ジュンキ教授(法学)は「自動運転車がレベル3(機械がほとんど運転し、必要な場合は人間が介入)に到達した場合、倫理問題が起きるだろう。(事故が起きた時)自律運転走行システムに転換した運転者を非難できる余地は少なく、アルゴリズムを作る際にどのような倫理基準を入力したかが重要になる」と話した。

 法務法人「ミンフ」のキム・ギョンファン代表弁護士は「事故が起きた時の民事責任は、運転者でなく製造会社がより多く負担することになるものと思える。ただ、費用負担は保険があるので、折衷的に保険を通じて運転者も一部負担することになるが、傾向としては、やはり製造会社を中心に責任の主体が移っていく」と話した。

 ただし、刑事責任問題を見分けるのは容易ではなさそうだ。キム弁護士は「事故があれば処罰しなければならないが、ソフトウェアを廃棄するといった処罰では、国民の法感情にそぐわない可能性があり問題になりそうだ」と話した。

ウム・ソンウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月27日(月)18時20分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。