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【コラム】ありがとう、モリケン――元SOFT BALLET・森岡賢の訃報に際して

RO69(アールオーロック) 6月27日(月)12時10分配信

森岡賢が死んでしまった。6月3日に心不全にて急逝。享年49歳。

唯一無二の華のある人だった。SOFT BALLETのメンバーとして89年にデビューしてから、森岡は常にその妖しく艶やかな存在感でもって、僕たちを惑わせてきた。セクシャルで中性的な出で立ちと、独特の「クネクネ・ダンス」で、ロックの猥雑さ、危険さ、いかがわしさ、価値観やモラルの紊乱、フェイクの魅力をたっぷりと伝えてきた稀なパフォーマーでありトリックスターだったのである。

しかし1995年のSOFT BALLET解散後は、その才能に相応しい活躍の場が与えられてきたとは言えない。パフォーマーとしても作曲家としても稀な才気溢れる男だったが、享楽的な性格ゆえなのか、それらをストイックに突き詰めて作品に結実させることができない。誰かのサポートで出ても主役を食ってしまうような強烈な存在感を放つのに、ボーカリストとしては遠藤遼一のように歌えない、サウンドクリエイターとしては藤井麻輝にかなわない、これが自分の音楽だと胸を張って言えるような作品を作れていない、という鬱屈が、常に森岡にはあったように思う。それゆえ彼は自分が輝ける場としてSOFT BALLETの再結成を誰よりも望んでいたが、2002年の再結成は不完全燃焼に終わってしまった。

だがここ最近の森岡を取り巻く状況は徐々に変わってきた。きっかけは藤井麻輝との新バンドminus(-)だ。森岡が曲のアイディアを出し藤井がそれにトリートメントを施す。そのコンビネーションがハマっていた。2枚のミニアルバムを出し、ライブも尻上がりに完成度を上げ、最後のワンマンとなった昨年末の新宿ReNYのライブでは、音楽的にも音響的にもパフォーマンスとしてもとんでもないレベルに達していた。その矢先、待望のファーストアルバムの完成を間近に控えての、まさかの急逝だったのである。その新作は現在藤井が最後の仕上げを急いでいる。森岡抜きのminus(-)は年末までに何回かのライブを予定している。その後の予定はわからない。

森岡の死後会った藤井は、いつも憎まれ口しか叩かない彼にしては珍しく素直に「minus(-) には大きな手応えを感じていた。それだけに悔しいし残念だ」と語っていた。私も同感である。

いつ会っても優しく朗らかで気さくだったモリケン。願わくば、天国で彼が楽しく、理想とするような音楽をやれていることを祈る。ありがとう。君のことは忘れない。(小野島大)

(6月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN 2016年8月号』掲載のテキストより)

RO69(アールオーロック)

最終更新:6月27日(月)19時8分

RO69(アールオーロック)

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。