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スポーティーな小型車はブルーグリーン、SUVにはドロドロしたこってり系

MONOist 6月28日(火)6時25分配信

 2~3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワードになりそうだ。BASFが発表した2016年の自動車のカラートレンドの予測では、「バーチャルとリアル」のような画一的ではない世相を反映し、「人工的なメタリックとナチュラルカラー」といった多面的な色の系統や、見る角度によって色彩が変わるという多面的な色彩に注目が集まるという。

【欧州やアジアでリバイバルが予測される「青」などその他の画像】

 また、自動車メーカーが、ブランドの象徴となるボディーカラーの模索や、色を含むデザインで従来の枠組みを超えていくことをテーマにしていくと見込んでいる。

●2~3年後の世相?

 BASFジャパンが2016年5月11日に発表した2~3年後の自動車のカラートレンドのテーマは「パララックス(多面的な視点)」だ。現代社会のバーチャルな世界の魅力と、リアルな現実世界での自己表現への憧れという“視差”を表現しているという。このテーマに基づいて65色のカラーを提案した。

 これらのボディーカラーの発想はクルマのみから得たものではなく、BASFの世界各国の社員が生活の中からさまざまなアイデアを出し合った議論から生まれたものだ。もちろん、ボディーカラーはクルマのトレンドも反映している。例えば、自動車メーカー各社が投入しているSUVに向けた色も複数設定されている。

 カラートレンドでは、「バーチャル」「生活のデジタル化」といった世相を受けて、人工的でメタリックなブル、シルバー、ホワイトが人気を集めると見込んでいる。一方で、デジタルとアナログ、新旧の多様な価値観、異なる文化などが複雑に融合する中で、人々の考えや感覚に混沌とした部分が増えていくとし、“こってり系”の色も増えていく。さらに、混沌の中のエネルギーを表す鮮やかな色味も含まれている。

●こってり系と、90年代のリバイバル

 “こってり系”は、決して彩り豊かで鮮やかな色ではない。現代社会が求める癒しを連想させる植物に由来した色が多い。「きれいな花の色だけでなく、特殊でレアな品種も含めて、人を癒す植物だ。珍しい植物は、知識欲やストーリー性を求める傾向の表れでもある」(BASFジャパン カラーデザインセンター チーフデザイナーの松原千春氏)。

 こってり系の色味は、角度によって見え方が変わる。光があたった部分はぎらぎらと反射し、影になる部分は濁って暗くなるという多面性を持つ。エッジの立ったソリッドなデザインや、真っすぐなプレスのラインなど、明暗をはっきり付けた外観のクルマに似合いそうな色味だ。

 カラートレンドでは、かつて流行したカラーの復活も予測する。1990年代半ばにトレンドとなった「ブルーグリーン」だ。BASFでは、この色は新しい価値観やライフスタイル、社会の在り方が出現する時代を示すとしている。日本をはじめ、アジア太平洋地域で再びトレンドとなる見込みだ。「コンパクトカー、特にスポーティーなモデルを想定した色だ」(松原氏)。

 定番色である白も、すこし暗くしたり、メタリックな顔料を加えたりしたさまざまなラインアップをそろえた。メタリック系の中でも、顔料の粒子感を少なくしたり多くしたりして、さまざまな光沢感を演出している。

●特徴となるボディーカラーを模索する自動車メーカー

 BASFジャパンの説明員は、自動車メーカーがブランドの個性を表すボディーカラーにこだわり始めたと話す。代表例はマツダの新世代商品群だという。購入者の好みが分かれやすい赤色が、幅広いセグメントで車体色に設定されるのは珍しい。「ソウルレッド・プレミアムメタリックは、マツダを示す色として認知された。マツダ以外の自動車メーカーも、特徴的な目立つ色を模索しているようだ」(同社の説明員)。

 マツダはさらに、金属のような質感を追求した「マシーングレー」もブランドを象徴とするボディーカラーに位置付けようとしている。ソウルレッド用の塗装技術を応用して「鉄から削り出したかのようなリアルな金属質感」(マツダ)を実現したという。

 トヨタ自動車の最近の新型車も、「世界初」(トヨタ自動車)だという珍しいボディーカラーを採用している。2015年12月発売のハイブリッド車「プリウス」には、フレッシュさと先進性を与える狙いの「サーモテクトライムグリーン」を設定した。

 サーモテクトライムグリーンは従来のボディーカラーと同じ塗装工程だが、着色層にカーボンブラックを含まない塗料を採用することで、車体表面温度の上昇を抑える。従来の塗料によるグリーンと比較して、表面温度が5度低くなるとしている。

 トヨタ自動車のミニバン「シエンタ」に設定された「エアーイエロー」もサーモテクトライムグリーンのように街中で目立つ色だ。一目見てシエンタだと見分けることができる。

 自動車メーカーがボディーカラーでブランドを表現するようになると、こうした独特な色のラインアップが増えていきそうだ。BASFは自動車メーカーの動向に対応して、顔料や塗装の手法など幅広くとりそろえていく方針である。

 クルマのボディーカラーはリセールバリューを考えると白/黒/シルバーなど無難な色を選びたくなる。しかし、2~3年後には定番色にもさまざまな個性が生まれ、個性的な色はさらにバリエーション豊かに発展していきそうだ。

最終更新:6月28日(火)6時25分

MONOist