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スギノマシン、バイオマスナノファイバー事業を加速-シックハウス症候群の原因物質吸着・分解複合材は来年投入

日刊工業新聞電子版 6月28日(火)13時5分配信

ニッチ分野での高付加価値製品を目指す

 木質繊維をナノメートルサイズにまでほぐしたセルロースナノファイバー(CNF)は、鉄鋼の5分の1の軽さで引っ張り強度は5倍以上。次世代の新素材として期待される。スギノマシンは、材料を甲殻類由来のキチン・キトサンにも広げ、バイオマスナノファイバー「ビンフィス」として展開する。同社初の機械以外の収益事業に育てる方針だ。(富山支局長・渡辺大介)

 ビンフィスの製法には主力のウオータージェットマシンの技術を応用した。木材パルプから取れるセルロース、カニやエビの殻などから得られるキチン・キトサンを水に分散させ、超高圧でノズルから噴射して微細化する。

 その製法は、同社が2001年1月に特許を取得した「(液中の)対向衝突を確実に作用させる調整機構付噴流衝合装置」の技術をベースとしている。これにより、単繊維は直径約20ナノメートルで、約2000ナノメートルと他の製法より長く、強度も高い。薬品やボールミルによる製法より環境負荷も低く、連続して大量生産できる。

 豊富な品ぞろえも特徴だ。材料や濃度、繊維長の違いでカタログには33種を記載。さらに「ユーザー次第でさまざまにカスタマイズする」(杉野岳執行役員)と柔軟な顧客対応をみせる。10%と業界最高濃度も提供する。

 開発は専任チームが中心となり、他社や研究機関との共同研究にも積極的に取り組んでいる。同社が豊富に抱える機械技術系の研究者に加え、化学系の博士号取得者なども採用し、技術の複合化を図っている。生産体制は年300トン以上の能力を持つ日本最大級のクリーンルーム製造工場を備える。

 これらの取り組みにより、16年3月期には新規製品の開発を図る企業や次世代技術をテーマとする研究機関から、さまざまな用途で計500件の受注があった。納入先の業界も化学、製紙、電気・電子、建設、機械、自動車など多岐にわたる。原料と水しか使用しない特性から化粧品や食品分野での注目度も高い。既に定期購入する企業もあり、商品化も進んでいる。

 3月には金沢工業大学と共同開発した、既存商品の数百倍のホルムアルデヒドの吸着分解能力を持つキトサンナノファイバーの複合体も披露した。環境浄化材メーカーなどと共同開発し、17年3月期中に商品化する方針だ。「CNFは大量生産できるが、ニッチ分野で活躍する高付加価値の製品を目指す」(杉野執行役員)と戦略を描く。

最終更新:6月28日(火)13時5分

日刊工業新聞電子版