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9mm Parabellum Bullet、野音降臨 曇り空を切り裂く音のカオス

MusicVoice 6/28(火) 15:33配信

 ロックバンドの9mm Parabellum Bulletが19日、東京・日比谷野外大音楽堂で4月27日に発売した6thアルバム『Waltz on Life Line』に伴うワンマンライブ「LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂」を開催した。滝 善充(Gt)の左腕の負傷というアクシデントに見舞われながらも、全20曲を披露し、滝も最後までそのアクシデントを感じさせない気迫みなぎる圧巻のプレーで観客を魅了した。

 空を厚い雲が覆い、今にも雨粒が落ちそうな天候の中、ツアーTシャツを身に付けた観客は、恵みの雨ではなく9mmの8年ぶりとなる野音公演を心待ちにしている様子だった。

 メンバーがステージに現れると、野音の波紋状に広がる石造りの観覧席に座っていた観客は、総立ちとなった。菅原卓郎(Vo、Gt)が「9mm Parabellum Bulletです!」と挨拶すると歓声が上がった。

 「生命のワルツ」で舞台は幕を開けた。観客は、バンドの奏でる轟音に重なるサビに合わせ両手を挙げ応える。菅原が「行けるか、日比谷ー!」と煽り、歓声が上がるとバンドは2曲目の「Lost!!」を始める。同時にステージからド派手な発破音が響き、会場はどよめく。

 「Discommunication」の前奏とともに観客が手拍子を送る。序盤から、まるで空を覆う雲を蒸発させるように、会場はヒートアップした。続く「Mad Pierrot」では、かみじょうちひろ(Dr)のツーバスの響きと中村和彦(Ba)のうねるベースラインに、滝の歪んだギターが響き渡り、菅原の透き通る歌声が華を添える。

 ここでMC、菅原が「ありがとうー、改めまして9mm Parabellum Bulletです。8年ぶりの野音ということで。今日は『Waltz on Life Line』の世界観を見せていきたいんで、みんな宜しくねー」と語りかけ、観客から「イエーイ!」という歓声が響く中「湖」を演奏。間髪入れず「誰も知らない」、「ロンリーボーイ」を叩き込む。菅原の伸びのある歌声に、観客は手を挙げ応えた。モニターの上に立った滝のギターソロが、重い曇り空を切り裂くように咆哮を上げる。

 かみじょうと中村の織り成すマーチのようなリズムから「モーニングベル」が始まる。滝の高速タッピングが披露されると歓声が上がる。菅原が「まだまだアルバムの中にどっぷり浸かってもらいたい」と話し、ステージに万華鏡状の明かりが灯される中、かみじょうが作曲したという「Kaleidoscope」を演奏した。続く「Lady Rainy」は壮大なミディアムバラード。観客は耳を澄ませて、暫し、しっとりとした世界観に酔いしれた。

 菅原がエレキギターをアコースティックギターに持ち替える。「8年前もアコギでやったんですが、全然音出てなかったという逸話がありまして」と前回の失敗談を明かすと、会場は笑いに包まれた。ステージから去った滝が暫く戻らないということで、かみじょうと中村もステージを立ち去る。

 1人残された菅原は「俺何か演ります」と「The Ravolutionally」を急遽アコースティックバージョンで演奏。「しっとりとやるねー」とバンドで激しく演奏してきた前半とは打って変わり、今度は曇り空に寄り添うように歌い上げた。ここでスタッフから何やら耳打ちされた菅原は「やる予定一切なかったから」と弾き語りでもう1曲やることに。観客からリクエストされた「黒い森の旅人」を披露。思わぬスペシャルな演奏に観客は静かに聴き入っていた。

 メンバーが再びステージに戻ると菅原は「天候のせいか、滝の腕の調子が悪くて」と先ほどの経緯を説明。低気圧のせいか、滝の左腕の調子が思わしくない模様。滝は両手を合わせ謝罪しながら、再びステージに戻ってきた。メンバーが再び戻ると、バンドは、菅原が「『ベルセルク』が大好きで、まさかオープニング曲やれるなんて思ってなかった」と話すテレビアニメ『ベルセルク』のOP曲「インフェルノ」を演奏。続く「火祭り」では、中村がベースを振り回しながらフィニッシュ。クールダウンした会場を再び熱く盛り立てる。更に、かみじょうが、ツーバスの連打から見事なドラミングを披露。最後はドラムスティックを頭上に掲げ歓声に応えた。

 雲に隠れていた太陽も沈み、すっかり闇に包まれた会場。赤い照明に照らされた夜のステージは「Black Market Blues」で最高潮の盛り上がりを見せた。菅原は「サイリウムがいい感じになってます」とこの日観客に配られた4色のサイリウムバンドが光る様子を見て微笑んだ。そして「この曲は俺が聴いたこの曲の景色にみんなを連れて行けるんじゃないかな、と思って歌詞を書きました」と歌詞に込めた想いを語り「スタンドバイミー」を演奏。“スタンドバイミー まだ消えない 日曜日の虹の向こう♪”と歌う菅原のその想いを、観客はしっかり受け止めているように見えた。

 菅原は「今日は来てくれてありがとうございます。俺は、音楽は魂の栄養なんじゃないかと思っていて。ここにいるメンバーにも色々ありまして…まあ、俺にも色々あるんだけれど。割と満たされた環境で生きてきたんですけど、何か満たされないものがあるんですよ。その真っ黒なブラックホールの正体を知るために音楽をやってるんじゃないかと思います」と自身が音楽を続けてきた意義を語り「太陽が欲しいだけ」を披露。

 滝の踊るようなギターソロから始まる「ハートに火をつけて」では、菅原が「行けるか日比谷ー!」と観客を煽り、それに応えるように観客は歓声を上げる。続く「反逆のマーチ」では、かみじょうの打ち出すリズムと中村の腹に響くベースラインが、滝のソリッドなギターソロと菅原の妖艶で伸びのある歌声と合わさる。音のカオスは美しい旋律となり、暗い夜空に昇天する。

 菅原は「次で最後です!」と叫び、「新しい光」を演奏。最後は、観客が“新しい光の中に君を連れて行くのさ♪”のフレーズを大合唱。本編を終えても、鳴り止まない拍手と歓声に、中村と菅原はステージの隅々まで歩み寄り手を振り応えた。「9mm Parabellum Bulletでした、また会いましょう!」と深々とお辞儀をして菅原はステージを去った。

 観客の鳴り止まない拍手は、暗闇に包まれた会場に響き続けた。再びステージに明かりが灯り、メンバーが登場すると、歓声が上がった。菅原は「ありがとう、僕がまたお会いしましょうって言ったのはアンコールのことじゃなくて(笑)。また、別の会場で必ずお会いしましょう、約束しましたよ、いいですね」と最後に1曲だけ演奏。満身創痍の滝は、最後までその素振りを見せない圧巻のプレイ。中村はベースアンプの上に上がり、ジャンプ。派手なパフォーマンスを見せた。

 この日は雨の予報にも関わらず、最後まで雨粒は落ちてこなかった。9mmには、梅雨前線を吹き飛ばす“太陽が欲しいだけ”高気圧を全国に届けてくれることを期待したい。(取材・松尾模糊)

■セットリスト

9mm Parabellum Bullet
LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂
2016.06.19

01. 生命のワルツ
02. Lost!!
03. Discommunication
04. Mad Pierrot
05. 湖
06. 誰も知らない
07. ロンリーボーイ
08. モーニングベル
09. Kaleidoscope
10. Lady Rainy
11. The Revolutionary(菅原卓郎弾き語り)
12. 黒い森の旅人(菅原卓郎弾き語り)
13. インフェルノ
14. 火祭り
~Drum Solo~
15. Black Market Blues
16. スタンドバイミー
17. 太陽が欲しいだけ
18. ハートに火をつけて
19. 反逆のマーチ
20. 新しい光

最終更新:6/28(火) 15:33

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