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強度が6倍以上に向上。人工関節材のコバルトクロム合金の強化法

ニュースイッチ 6月28日(火)7時51分配信

阪大が5年後の実用化目指す

 大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授、萩原幸司准教授らの研究グループは、人工股関節などのインプラント材料に使用されているコバルトクロム合金について、その微細構造の方位制御によって強度を高める方法を見いだした。特定方向に原子配列をそろえた場合、強度は6倍程度向上するという。5年後の実用化を目指す。

 研究グループはコバルトクロム合金が酸化しないような環境のもと、1方向に凝固させる方式で原子配列をそろえることを実現した。こうしてできたコバルトクロム合金の単結晶に対して、特定の方向に配列した薄片状六方最密構造(HCP)相の導入に成功した。母相の単結晶作製技術を用いて原子配列を“整列”させられたという。

 さらにHCP相と荷重との方位関係を制御し、単結晶が本来示す強度(125メガパスカル)の6倍以上の強度(800メガパスカル)を実現した。従来の多結晶材の強度と同等で、より優れた耐摩耗性を示すことが期待される。コバルトクロム合金は既に医療現場で使われている材料で臨床応用の“敷居”が低く、早期の実用化に向けた研究を加速する。

 コバルトクロム合金は優れた強度、耐摩耗性、生体親和性などがあるため、人工股関節の骨頭などのインプラント材料で主に回転部位の摺動(しゅうどう)部に利用されている。同合金の強度上昇法としては炭化物の利用が一般的。ただ炭化物の存在は耐摩耗性、生体親和性、耐食性に悪影響を及ぼす場合があるため、異なる強化法が模索されていた。

最終更新:6月28日(火)7時51分

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