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ブラジルらしさ伝えるデザイン 日系三世が五輪マスコットをデザイン

ニッケイ新聞 6/28(火) 6:17配信

コンペ参加の内幕

(ブラジル邦字紙 「ニッケイ新聞」 18日付)

 リオ夏季五輪のマスコット、「ヴィニシウス」「トム」をデザインしたアニメ製作会社「バードスタジオ」は、日系人のエグチ・ルシアナさん(40、三世)、パウロ・ムペさんがサンパウロ市内で経営している。国内外で数々の受賞経歴を持ち、世界で最も創造性溢れるアニメーションスタジオの一つとして賞賛されている。そんなルシアナさんに、五輪マスコット制作の内幕を聞いた。



 「まさか優勝するとは思っていませんでした。最終審査の時、すでに私たちは出来ることをやり尽し、とても不安で、結果を知らされた時は言葉にならないほど最高の気分。まるでメダルを獲ったようでした」とルシアナさんは嬉しそうに思い出す。

 五輪マスコットの発表と共に「バードスタジオ」の名前は世界に知れ渡った。スタジオの知名度が高まっただけでなく、リオ五輪組織委員会が2014年11月に優勝者を発表した後、当時10人だった従業員が今では30人に増えたという。

多人種、多文化の国を表現

 五輪マスコットのコンペ(デザイン競技会)開催は、広告代理店やアニメーションスタジオの間に一斉に知らせがあり、2013年末に参加を決めた。コンペには3回の審査があり、8カ月を要した。15社が参加し、最終審査に通ったのは3社のみ。優勝者とマスコットデザインは2014年の11月20日に発表された。

 「私たちはこのスタジオにアイデアを持ち寄り、何枚も何枚も描き、念入りにデザインを練り上げました。その制作の過程では楽しむことを忘れず、それが絵にも表れるようにしました。なぜなら私たちにとってブラジルは面白い国、それを表現したかったのです」

 何が「ブラジルの面白さ」か具体的に尋ねると、「特にサンパウロはそのことをよく表しています。日本人、イタリア人、アラブ人、ポルトガル人、黒人やインディオなど色んな文化、人種が混ざり合っているのです。私たちはそれが素晴らしいと考え、マスコットの姿にオリンピック、パラリンピックのアイデアと共に加えました」という。

 8カ月のコンペの間は、関係者以外には口外できず、こっそりと企画を進める必要があったという。「私たちが作ったマスコットの原案を大きく変えることなく、五輪委員会が目指していた方向を達成できたと思います」と答えた。
 最終審査にのこった3社のデザインを、五輪委員会とのやり取りの中で修整していき、最終的なものが完成した。

 「没になったデザイン案は公表出来ませんが、最終審査に通ったデザインと似ています。リオ五輪委員会はマスコットが五輪競技に相応しいものかどうかを心配していました。私たちは長い時間をかけて五輪のイメージ、委員会が提示する条件に近付けていきました。最終発表の際には十分仕上がっていました」と選考の過程を説明した。

 人気投票により昨年12月14日にブラジルを代表するボサノヴァ作曲家の名前が付けられたと発表された。実はスタジオ内では「オバ」と「エバ」が好まれていたとか。「もう投票で決まった名前に慣れたし、私たちはそのことについて話し合いません」と笑った。

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最終更新:6/28(火) 6:32

ニッケイ新聞