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どん底から勝利した世界772位、フェデラー「最高の物語」<男子テニス>

tennis365.net 6月28日(火)21時31分配信

ウィンブルドン

テニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は大会初日の27日に行われた男子シングルス1回戦で、見事な勝利を飾り話題を集めた選手がいた。世界ランク772位で25歳のM・ウィリス(英国)。

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現在ウィリスは、ロンドン中心部にあるワーウィック・ボート・テニス・クラブで子供達を中心にテニスを教えており、月曜日だった27日も本来なら5歳から10歳の子供へテニスを教えているはずだった。

そんな彼は、歴史ある地元イギリスで開催中のグランドスラム本戦1回戦で、世界ランク54位のR・ベランキス(リトアニア)を6-3, 6-4, 6-4のストレートで下し、2回戦進出を決めた。

テニスクラブでは、29日のクラスにウィリスに代わって教えてくれるコーチを探さなければならない。なぜなら、29日にウィリスは2回戦を戦わなければならないからだ。その対戦相手は、グランドスラム最多優勝の17度を誇る第3シードのR・フェデラー(スイス)。

教え子達は「自分をコーチしている人がウィンブルドンでフェデラーと対戦するんだ」と自慢している。

両親と共に暮らしているウィリスは、1時間のテニス・レッスンで40ドル(約4,000円)を稼いでいた。そんな彼はこれまでグランドスラムはおろか、ツアーレベルの本戦での試合経験もなかった。

17番コートで行われた1回戦は、会場に多くのファンや友人、そして家族が押し掛け、ウィリスは大声援を浴びていた。他の大きなコートで行われたトップ選手の1回戦から比べると、明らかにこの日最も盛り上がったコートだった。

ウィリスは、1988年の全米オープンで当時世界ランク923位のJ・パルマー以来となるグランドスラムで最もランキングの低い選手の初戦突破となった。

「テニスというスポーツの長い歴史で、最高の物語の1つ」と語るのは、この日の1回戦でG・ペラ(アルゼンチン)を7-6 (7-5), 7-6 (7-3), 6-3のストレートで下したフェデラー。

フェデラーは腰の怪我のため、全仏オープンを欠場して今大会へ臨んでいる。

ウィリスはジュニア時代、2007・2008年のウィンブルドン・ジュニアで3回戦進出するなど、将来を期待された選手だった。しかし、度重なる怪我やモチベーションの欠落などがその後のテニス人生の妨げとなった。

「太ももの筋肉は2回断裂した。今年の初めには膝を痛めてしまった。苦しい時間で、気持ちも落ち込んでしまい、朝ベッドから起き上がることも辛かった」とウィリスは振り返る。

「正直、人生の負け組のようだった。体重も増えてしまった。鏡を見ながら お前はもっと出来るはず と語りかけていた」と辛かった想いを明かした。

新しいガールフレンドがウィリスにテニスを続けるように言った時は、ほぼプロテニス選手としての人生を諦めようとしており、フィラデルフィアへ移ってテニスを教えようと考えていた。

「彼女と出会ったんだ。自分にテニスを辞めるなと言ってきた。だから、辞めなかった」とウィリス。

今月初旬にイギリス人を募って開催されたウィンブルドン男子シングルス予選へのワイルドカード獲得を争うプレーオフに、最後に招待されたのがウィリスだった。そのプレーオフでウィリスは3試合を勝ち抜き、ウィンブルドンの予選出場枠を獲得。予選でも3試合で勝利を飾り、本戦への切符を手にしていた。

サウスポーのウィリスは、得意のサーブ・アンド・ボレーでベランキスに握られた20度のブレークチャンスを19度もしのぎ、ウィリス曰く「ちょっと変わった」スピンなどを織り混ぜたサービスで14本のエースを記録し勝利を手にした。

試合直後、ウィリスは観客席へ駆け寄るとガールフレンドとキスを交わし、長年の友人達と抱き合って喜んだ。

この勝ち上がりで、少なくとも5万ポンド(約650万円)を賞金として獲得することが決まっている。今年獲得した賞金総額は、シングルスとダブルス含めても350ドル(約3万5000円)だったウィリスにとっては、かなりの金額。

ウィリスの生涯獲得賞金は10万ドル(約1,000万円)にも満たない。

「この先毎週、こんな出来事が起こるはずはないとしっかり理解しなければならない。プロテニスツアーの現実はかなり厳しい。無情なものなんだ」と冷静に現実を見てはいるものの「トップ100入りをしたい。こんな大会をこれからも送りたい。それにはかなりの努力が必要で、テニスもかなり向上させる必要がある」と夢も語っていた。

ウィリスが次に対戦するフェデラーは、このウィンブルドンでも最多優勝タイ記録となる7度の優勝を誇る。

「スタジアム・コートでの試合になるだろう。それは若い頃からの夢。そのコートに立って、勝てないかもしれないけど、勝てるように全力を尽くすまで」とウィリスはフェデラーとの対戦へ想いを述べた。

ウィリスのサクセス・ストーリーは、フェデラーの前に途絶えてしまうのか。両者は29日に対戦する。

(STATS - AP)

tennis365.net

最終更新:6月28日(火)21時33分

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