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ライダーの夢を叶えたリノベ[前編]1階の7割がガレージ!

SUUMOジャーナル 6月28日(火)8時0分配信

何かしらの趣味を突き詰めている人であれば、それに没頭できる専用のスペースをもちたいと思うだろう。例えばバイク。お気に入りの愛車を整備したり、ニヤニヤ眺めたりする「マイガレージ」は、多くのバイカーの憧れだ。

今回は中古一戸建てをリノベーションし、超本格的なガレージをこしらえてしまった方のお宅を訪問。こだわりポイントや苦労話、物件探しのこと、住宅ローンのことなど、ガレージリノベにまつわるアレコレを聞いた。

■1階の7割をバイク用ガレージが占拠

やってきたのは東京・北区にある一戸建て「Oさん邸」。外観は周囲の住宅街に溶け込む築34年の木造2階建ての住宅だが、とにかく中身がスゴかった。玄関扉を開けたすぐそこに「バイク用ガレージ」があり、屋外の駐車スペースにも愛車のMINIコンバーチブルと小型バイクのホンダ・スーパーカブが置かれている。1階部分のほぼすべてが車とバイクで占められているのだ。

【画像1】玄関開けたら1秒でガレージ。イタリア製「モトグッツィ」のビンテージバイク、不変のデザインにファンが多い国産の「ヤマハ SR」を置いてなお、ゆとりあるスペース(写真撮影:藤原葉子)

大型の単車2台をゆったり置ける土間スペース、壁には無数の工具やパーツ類がかけられている。さらに、ガレージの真横にわざわざお風呂をレイアウト。ガレージ側にガラス窓を設け、湯に浸かりながら愛車を鑑賞できる設計となっている。ガレージでバイクをぴかぴかに磨き上げ、お風呂で油まみれの体を洗い流しつつ、湯に浸かりながら車体を眺めて悦に入る。Oさんは日々、そんな最高すぎる趣味の時間を過ごしている。

「前の家もガレージ付きの賃貸一戸建てだったんですが、本来は車1台分のスペースにMINIとバイク3台を無理やり置いていたのでとにかく狭くて。かといって、都内で駐車場を借りるとバイク1台だけでもけっこうかかるんですよね。ちゃんと屋根付きでセキュリティも確保されてないと嫌なので、それだと1台1万5000円とかかかってしまう。それも馬鹿らしいので、いっそ中古一戸建てを購入して、理想のガレージをつくってしまおうと」(施主・Oさん)

まさに、バイク乗りの夢。1階部分のほぼすべてを費やし居住空間を圧迫しようとも、どうしても手に入れたい価値だったようだ。

だが、そんなOさんは既婚者である。しかも、妻はまったくバイクに興味がないときている。リノベーションプランを練る際には往々にして夫婦の領地争いが勃発したりするものだが、夫の趣味全開のスペースにここまで空間を侵食されて妻は反対しなかったのだろうか?

「なんで許したの? ってよく聞かれるんですけど、私自身は家にそんなにこだわりがなかったので、ある程度は夫の好きなようにと。それに、夫が勝手に暴走して進めてしまったわけではなくて、私に『こういうふうにしたい』って提案してきましたから。私は『ふーん、まあいいんじゃない』って感じで。“説明”はされましたけど、“説得”は特にされていないですね」(妻のEさん)

【画像2】居室スペースは2階。こちらもフルリノベーションしている。ちなみに、妻の希望は多くはなく「使いやすいキッチン」とか、それくらいのものだったという。これくらいおおらかなパートナーでないと、都内の限られたスペースに専用ガレージなどという夫のわがままは叶えられまい(写真撮影:藤原葉子)

「それに、私自身も大学時代に演劇の舞台美術をやっていたので、DIYは好きなんです。だから私が作業するときはバイクを1台外に出して、工房としても使える。ふだんはバイクに占拠されていますけど、2人の作業スペースという感じですね」(Eさん)

こだわりが強すぎる夫と、それを優しく許容するおおらかな妻。いや、恵まれてますねー、Oさん。

■DIY好きならではの工夫も随所に

なお、ともにDIY好きというだけあって、夫婦の手による「カスタマイズ」も随所に施されている。

「例えば、ここは玄関ドアを開けたらすぐにガレージなので、シューズボックスとかも何もない。そこでガレージ脇に壁掛け収納を手づくりしました。安いOSB合板をホームセンターで買ってきて、靴がとりやすいように、角度が変えられる棚受け金具を使って少し斜めに設置しています」(Oさん)

【画像3】「板は1枚1000円くらいだったけど、斜めに設置するための金具の金額が嵩んで、けっきょく数万円かかっちゃいました(笑)」とOさん。そのこだわりのためには多少のコストもいとわない(写真撮影:藤原葉子)

さらに、2階の居住スペースにもDIYの手は及んでいる。

「まず壁と天井は全部私たちが塗りました。床張りはさすがに職人さんにお願いしましたが、ここも仕上げの塗料は自分たちで。オスモカラーのフロアクリアーというオイルステインを使いました。あとは冷蔵庫や、天井を抜いてむき出しになった梁の黒い部分は黒板塗料ですね。そうそう、『猫用の吊り橋』も自作したんですよ」

【画像4】猫が渡る吊り橋のほか、ガラスロートを使った照明なども自分たちで手づくりしたという(写真撮影:藤原葉子)

できることは自分たちで。そのぶん圧縮したコストを、材質やデザインにまわす。限られた予算内でのやりくりが垣間見えるが、それもすべてこだわりを追求するための工夫なのだ。

家とは単に体を休めるための箱ではなく、人生を豊かにするベースであることを改めて教えてくれるようなOさん邸。マイホームを買う際は、少し無理してでも、パートナーと多少もめても、自分が楽しむための空間を確保しておくべきなのかもしれない。

次回の後編では、ガレージリノベに適した物件の探し方、特殊な事情であるがゆえの住宅ローンにまつわる思わぬ苦労などについて紹介する。

榎並紀行(やじろべえ)

最終更新:6月29日(水)10時23分

SUUMOジャーナル