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なくならないと言われている年金、しかし、もらえる年金額は減っている

THE PAGE 6/30(木) 7:00配信

 消費増税が再延期されたことで、日本の財政の先行きがさらに不透明になっています。政府の歳出のうち、年金や医療といった社会保障費は最大の割合を占めているのですが、年金の受給額はどのように推移しているのでしょうか。また年金はどうなるのでしょうか。

65歳よりも85歳のほうが年金受取額が多い

 日本の公的年金は大きく分けると、サラリーマンの人が加入する厚生年金と主に自営業者の人が加入する国民年金に分かれています。年金の給付額は厚生年金が23兆円、国民年金が20兆円(厚生年金の基礎年金部分も含む)ですから全体では約43兆円になります。平均すると国民年金のみ受給している人は年間68万円程度、厚生年金(基礎年金も含む)の人は185万円程度をもらっています。

 一方、現役世代から徴収する保険料は、厚生年金が26兆円、国民年金が1.6兆円しかなく、残りは、国からの補助(約11兆円)、年金運用のファンド(年金積立金管理運用独立行政法人:GPIF)からの資金(3兆円)、剰余金などで賄っています。つまり年金として高齢者に支払っている額の6割しか、現役世代の保険料でカバーできていません。

 このため年金の受給額は年々減少しており、例えば厚生年金の平均受給金額は、過去10年間で1割程度減少しています。この間、消費者物価指数は3%ほど上昇していますから、年金受給者の生活は年々苦しくなっているといってよいでしょう。ただ受給者の中でも年齢によって状況は異なります。

 現在、年金をもらっている人のうち、65歳以上70歳未満の平均受給額(月額)は15万円ですが、85歳以上90歳未満では17万円となっており、高齢者ほど有利な状況になっています。

ますます苦しい年金財政

 今後はさらに高齢化が進んでいきますから、年金財政はますます苦しくなってきます。現役世代から徴収する保険料を大幅に引き上げるか、消費税を大幅に増税するか、もしくは年金の受給額を減らすしか、年金を維持する方法はありません。これ以上、現役世代に負担をかけることはできませんから、年金の受給額を徐々に減らすことでバランスを取っているのが現状です。具体的には給付金額を決定するルールを改定する形で減額が進められています。

 これまで年金受給額は、物価が上昇した場合には、それに合せて増える仕組みになっていました(物価スライド制)。しかし政府は2004年からマクロ経済スライド制という制度を導入し、給付額の事実上の抑制を開始しています(マクロ経済スライド制という名称については、誤解を招きやすいと批判する声も出ています)。

 この制度は、物価だけではなく、人口動態など総合的な指標をもとに年金の給付額を決めるというものです。簡単に言ってしまえば、物価が上がっても、その分だけ年金を増やすことはせず、全体の給付額を抑制する仕組みです。年金制度は給付額を限りなく抑制してしまえば、制度として破たんすることはありません。しかし、老後の生活を保障する仕組みという意味では、実質的に機能しなくなりつつあるといってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/30(木) 17:43

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