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コレ1枚で分かる「ハイブリッドクラウド」

ITmedia エンタープライズ 6月29日(水)12時42分配信

●パブリッククラウドとプライベートクラウドの“いいとこ取り”活用

 パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせ、それぞれの得意不得意を補完し合いながら両者を使い分ければ、コストパフォーマンスの高いシステムの使い方ができます。

【画像】パブリッククラウドとプライベートクラウド、それぞれに向いた業務をまとめてみると

 例えば、電子メールや情報共有などのコラボレーション機能といった、自社の独自性がないものはパブリッククラウドのSaaS(Software as a Service)を利用し、セキュリティを厳しく管理しなければならない人事情報や個人認証はプライベートクラウドで行い、その情報を使ってSaaSを利用できるようにする――という使い方があります。

 また、モバイルで、世界中どこからでも使える経費精算サービスをパブリッククラウドのSaaSとして利用し、そのデータをプライベートクラウドの自社専用の会計システムに取り込んで処理するという使い方も考えられます。

 他にも、アプリケーションシステムを開発する際、社外のプログラマーと共同で作業を進めることや、開発に便利なツールを簡単に利用できるパブリッククラウドを使い、本番は自社専用のプライベートクラウドに移して稼働させるといった使い方もあります。

 さらに、災害への対応を考え、通常はプライベートクラウドを使用し、データのバックアップや災害時の代替システムをパブリッククラウドに置いておき、災害でプライベートクラウドが使えなくなっても切り替えて使用することで業務を継続させるという使い方もあります。

 このように、パブリックとプライベートのそれぞれクラウドの特長をうまく組み合わせ、利便性やコストパフォーマンスの高いシステムを実現しようというのが、ハイブリットクラウドについての一般的理解です。

●NISTの定義によるハイブリッドクラウド

 NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の「クラウドコンピューティングの定義」からは、少し違った解釈ができそうです。そこには、「ハイブリッドクラウド(Hybrid cloud)」について次のように書かれています。

 クラウドのインフラストラクチャは2つ以上の異なるクラウドインフラストラクチャ(プライベート、コミュニティー、またはパブリック)の組み合わせである。各クラウドは独立の存在であるが、標準化された、あるいは固有の技術で結合され、データとアプリケーションの移動可能性を実現している。

 ここから読み取れることは、対象は「クラウドインフラストラクチャ=IaaS(Infrastructure as a Service)」であること。そして、「実態は異なるインフラであっても、あたかもそれらが1つのインフラであるかのように、データとアプリケーションを、両者をまたいで容易に行き来できる仕組み」であるということです。つまり、「プライベートクラウドとパブリッククラウドをシームレスな1つのシステム」として扱おうという考え方です。

 特定の企業が所有するプライベートクラウドは、どうしても物理的規模や能力の制約を受けます。しかし、これをパブリッククラウドと組み合わせて1つのシステムとして扱えれば、実質的には上限を気にすることのない規模と能力を手に入れることができます。このような仕組みが「ハイブリッドクラウド」の本来の定義なのです。

最終更新:6月29日(水)12時42分

ITmedia エンタープライズ