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140万円超の債務整理「司法書士は扱えない」、最高裁が初判断…何が争点だったの?

弁護士ドットコム 6月29日(水)10時37分配信

弁護士に代わって司法書士がどこまで債務整理の業務を扱えるかが争われた裁判で、最高裁判所は6月27日、司法書士側の主張を退け、「債務額(借金額)などが140万円を超える場合は司法書士は担当できない」とする初判断を示した。

この訴訟は、司法書士に債務整理を依頼した和歌山県の家族が、「司法書士が業務範囲外の債務整理をおこなったために損害を受けた」と司法書士に損害賠償を求めた裁判で、1審と2審とで判断が分かれていた。

今回の裁判は、何が争点で、最高裁はどのような理由で司法書士側の主張を退けたのか。田沢剛弁護士に聞いた。

●何が争点だったのか?

「訴訟代理人は、原則的に弁護士である必要があります(民事訴訟法54条1項)。

ただし、司法書士の中で、法務省で一定の研修・考査を受けた、いわゆる『認定司法書士』は、『訴訟の目的の価額』が140万円を超えない簡易裁判所の民事事件について、訴訟代理人になることができます(司法書士法3条2項、同条1項6号イ)。

そして、『紛争の目的の価額』が140万円を超えない民事に関する紛争についても、相談に応じ、裁判外の和解について代理人になることができるとも定められています(司法書士法3条2項、同条1項7号)。

『訴訟の目的の価額』は『訴えで主張する利益』(民事訴訟法8条)のことです。今回の裁判では、債務整理を行う場合の『紛争の目的の価額』の解釈が争点となりました」

田沢弁護士はこのように述べる。原告側・被告側は、それぞれどのような解釈を主張していたのか。

「(原告の)弁護士側は『債権者の主張する債権額』であると主張していたのに対し、司法書士側は『依頼者の受ける経済的利益』であると反論していました。

例えば、債権者が債務者に300万円を請求して、最終的に『200万円に減額する』という和解するという事例を考えてみましょう。

この場合、弁護士側の見解では、『債権者の主張する債権額=紛争の目的の価額』ですから、『紛争の目的の価額』は300万円となります。そうすると、140万円を超えることになるので、認定司法書士は債務者を代理できないという結論になります。

一方で、司法書士側の見解では、『依頼者の受ける利益=紛争の目的の価額』ですから、『紛争の目的の価額』は300万円から和解で減額された200万円を引いた100万円ということになります。そうすると、140万円を超えないので、認定司法書士は債務者を代理できることになるわけです。

今回の最高裁判決は、『紛争の目的の価額』の解釈について、認定司法書士が業務を行う時点で客観的かつ明確な基準でなければならないとして、債権額基準、つまり『債権者の主張する債権額=紛争の目的の価額』との基準を採用しました」



【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月29日(水)10時37分

弁護士ドットコム