ここから本文です

「児童ポルノ」ネット公開で有罪、5万点超を収集した男性が裁判で語った「理由」

弁護士ドットコム 6月29日(水)12時20分配信

「友人はたくさんいましたが、(児童ポルノのことは)しゃべれない。闇の部分を自分一人で抱えるしかありませんでした」。証言台の被告人は、真面目そうな中年男性だった。聞けば、元妻との間に2人の子どもがおり、事件の数カ月前までは結婚目前だった恋人もいたという。しかし、その裏で女児に対する暗い執着を抑えられなかった…。

ネットのアダルト掲示板に10歳未満と見られる少女の裸画像など4点をアップしたとして、児童ポルノ法違反の罪に問われた無職の男性の裁判で、東京地裁は6月29日、「身勝手としか言いようがない」として、懲役1年4カ月(求刑・懲役2年)の実刑判決を下した。

●「収集することに、快感があった」

男性が児童ポルノの収集を始めたのは2014年。匿名通信システム「Tor」を使い、海外サイトからダウンロードを重ねてきた。2年ほどで児童ポルノと疑われる「コレクション」は5万点を超えたという。

男性は6月16日に開かれた公判で、収集の理由について以下のように語っていた。

「ダウンロードだけでも違法なのは知っていました。表立ってしなければ、見つからなければ、という甘い考えがありました。これまでもヒーローもののフィギュアなどを集めていて、収集することに快感があったのかも知れません。自分は収集癖が強い」

2016年に入って、ネットの掲示板に児童ポルノ画像をアップロード。「好意的な反応をしてくれる人もいて、妙な仲間意識を感じていました」といい、計4回繰り返した。画像を発見したサイバーパトロールが、IPアドレスから男性を割り出した。

公判で女性検察官から、なぜ児童ポルノ画像のアップが悪いのかと問われ、男性は「永遠にネットの中に(画像が)残る。永遠に苦しみを与え続けることになる」とうなだれて答えた。収集した画像データは、警察がパソコンのOSごと消去したといい、男性は「感謝しています」と話した。

男性は昔から女児の裸に興味があったといい、10歳の少女らに対する2つの強姦事件(被害者が13歳未満の場合は暴行・脅迫がなくても成立する)を起こすなど、性犯罪の前科がある。

再犯防止に向けて、男性は「精神科医のカウンセリングを受けます。ほかにも、麻薬(依存症患者を支援する)の『ダルク(DARC)』のようなものが性犯罪者向けにもあると聞いたので、探してみようと思います」と答えた。

●再犯防止支援が乏しい日本

しかし、本人に強い意思があっても、性犯罪者が効果的な更生プログラムを受けるのは難しい。精神科医で日本で唯一の性犯罪者の治療専門機関「性障害専門医療センター(SOMEC)」の福井裕輝代表理事は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「病院の精神科に行っても門前払いされると思います」と語る。

「性犯罪に関するカウンセリングは治療の対象として認められていないので、保険も使えません。薬物依存の場合は精神科に診てもらえるし、ダルクのような専門施設もありますが、性犯罪にはないのが現状です」

加えて、刑務所の更生プログラムも効果が薄いという。「刑務所の中には欲求が高まる要因がありません。治療は社会生活の中でするしかない。厳罰化の流れを悪いとは言いませんが、いずれ出所するのですから治療の問題は別に考えなくてはいけません」。SOMECでは、3~5年の通所治療やホルモン剤の投与などで再犯防止を支援している。

奇しくも今回の判決で裁判官は「罪を償った後は、カウンセリングを受けるなどして、再犯をしないようにしてほしい」と述べた。しかし、日本では、被告人のような性犯罪者への再犯防止支援が乏しいのが現状だ。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月29日(水)12時39分

弁護士ドットコム

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。