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英EU離脱、「10兆円補正」も手詰まり感否めず 諮問会議“政策総動員”を提言

日刊工業新聞電子版 6月29日(水)7時30分配信

【経済財政運営 ハードル高く】
 政府は28日、経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)を開き、英国の欧州連合(EU)離脱問題への対策を協議した。民間議員である経団連の榊原定征会長は「(企業の)慎重経営や(家計の)節約志向が助長されないよう、あらゆる手だてを尽くすべきだ」と“政策総動員”で金融市場の動揺に対処するよう提言した。ただ為替・金融政策に手詰まり感は否めず、自民党内で浮上する10兆円超の経済対策も景気浮揚にどこまで有効かは不透明だ。

【リスクの芽摘む】
 安倍首相は会議で、短期的には「引き続き市場をウオッチし、細心の注意を払う」とし、中長期的には「実体経済に影響が表れる懸念がある。あらゆるリスクの芽を一つひとつ確実に摘む必要がある」と改めて強調した。

 これに対し経団連の榊原会長は、官民をあげて取り組むべき課題として3点を提言。(1)市場の混乱を早期に収縮させる政府・日銀の適切な対応(2)保護主義の伝播を主要7カ国(G7)が断ち切る(3)日本経済への影響回避へ政策総動員で臨む―という内容だ。

 短期的には円高・株安による企業・家計のマインド萎縮に懸念を示し、中でも中堅・中小企業へは「特段の手当てが必要だ」と提言した。

 石原伸晃経済再生担当相は同日の会見で「中小に対する配慮は、資金面が大きなファクターになる」との見解を示した。

【影響見通せず】
 英国のEU離脱問題は、同国によるEUへの離脱通告の時期や、同国とEUによる新たな貿易協定交渉の行方・交渉期間が不透明なため、日本の実体経済に及ぼす影響は現時点で見通しにくい。このため当面は円高・株安への日本政府の対応が大きな焦点になる。

 政府・日銀の選択肢は為替介入、追加の金融緩和、そして財政出動。だが為替介入について米国は必要性を認めず、EUもユーロ安は輸出に有利なため、G7が円高是正で協調するのは難しい。

 また日銀による緩和も、米国の利上げ観測が遠のく中で効果は限定的とみられるほか、マイナス金利幅拡大は金融機関の収益を圧迫する。

 残る選択肢は財政出動。安倍首相は「税収の見積もりが決まり次第、16年度第2次補正予算案を編成したい」との意向を表明しており、臨時国会の召集時期や歳出規模などに市場の関心が集まる。

【財源確保に課題】
 だが0%台とされる日本の潜在成長率、実質賃金の伸び悩みと17年度の消費増税延期に伴う将来所得の不確実性を背景に、有効な投資・消費喚起策を打ち出すのは容易ではない。他方、国内景気の停滞に伴い税収の上振れも多くは期待できず、補正予算の財源確保の課題も残る。政権が直面する経済財政運営上の“ハードル”は極めて高い。

最終更新:6月29日(水)7時30分

日刊工業新聞電子版