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価格押し上げ効果 登録拡大へ周知課題  地理的表示1年

日本農業新聞 6/29(水) 12:00配信

 地域固有の気候風土や伝統製法と結び付いた農産品の名称を、地理的表示(GI)として保護する制度が始まって1年。登録産品は、前年よりも高価格で取引されるなどプラス効果が早くも表れている。ただ、これまでに登録されたのは12産品で、消費者に知れ渡っているとは言い難い。同制度を軌道に乗せていくには、産地の関心を高めて登録数を着実に増やしていくとともに、消費者にどう周知していくかが課題となっている。

 GI登録産品の茨城県の「江戸崎かぼちゃ」は、完熟収穫による甘味と食感が特徴だ。JA稲敷によるとGI登録後、ラジオやテレビなどの取材が増え、注目度が高まった。現在出荷ピークで、平均単価は1キロ当たり約50円高いという。

 「鳥取砂丘らっきょう」も、単価は6、7%上がった。作柄が良く、出荷量が前年から20%増えたものの、価格は下がることなく好調だ。「若手の就農率が良くなっている」(JA鳥取いなば)など担い手確保効果が出つつある。「八女伝統本玉露」は価格が前年よりも10%上がり、産地のJAふくおか八女もGI効果を実感する。

 GI保護制度では、地域の気候や土壌、伝統製法に裏打ちされた農産品の名称をGIとして保護し、不正使用を取り締まる。高価格販売や輸出拡大による農家所得の向上につながるとの期待の中で、昨年6月に制度が始まった。これまで「神戸ビーフ」「夕張メロン」など12産品が登録され、現在50産品以上が申請されている。産地は品質基準を設けて農水省に申請する。

 農水省は今後5年間で、各都道府県最低1産品の登録を目指す。だが、有名ブランドを持つ大きな産地などでは、申請段階で地元の全関係者の合意形成が難しく、申請に至らないケースも出ている。同省は今後、申請段階で関係者全員が合意していなくても、後から参加しやすい品質基準を作り、申請するよう産地に促す考えだ。

 GIのブランド訴求力を高めるために、認知度向上も課題だ。GIに登録されると産品や包材にGIマークを添付しなければならず、産地もポスターやのぼりなどでGI登録をアピールする。だが、「消費者にあまり知られていない」(JA稲敷)のが現状だという。

 同制度は欧州で先行し、約1200産品が登録されている。

日本農業新聞

最終更新:6/29(水) 12:00

日本農業新聞