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出光興産の創業家ら6者、昭和シェルとの合併に反対 計画暗礁に乗り上げる可能性も

日刊工業新聞電子版 6月29日(水)8時0分配信

 出光興産が28日開いた定時株主総会で、出光の創業家とその関係会社・団体が、同社と昭和シェル石油の合併に反対を表明した。両社の企業体質の違いを埋めるのは難しいなどの理由だ。創業家などの保有株を合計した持ち株比率は33・92%になり、合併への承認を求めるため開く臨時株主総会で、承認に必要な議決権3分の2以上の賛成を得られなくなる可能性がある。両社が2017年4月を目指す合併が、白紙になりかねない事態だ。

 合併に異議を唱えたのは筆頭株主の日章興産(東京都港区)など6者。合併への協議を進めていることを理由に、同日の総会で取締役10人の再任議案に反対したが、議案は原案通り可決された。

 日章興産の代理人を務める第一中央法律事務所の神部健一、赤松平太の両弁護士によると、合併に反対の理由として両社が異質の企業体質を持ち、合併効果を上げるには多大な困難と時間が必要になると指摘。さらに中東情勢の混迷が長引く中で、サウジアラビア政府の影響下にある昭和シェルとの合併を急ぐべきではないとした。

 出光の月岡隆社長は同日、「当社グループの持続的な成長と、石油業界の将来を考えた時、昭和シェル石油との経営統合は最善の策と確信している」とのコメントを発表。統合への協議を続け、反対派の理解を求めていく考えを示した。

【石油再編、修正迫られる 共同持ち株会社で妥協も】
 国内市場の縮小をにらんだ昭和シェル石油との合併に、出光興産の創業家が待ったをかけた。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど外資の傘下にある昭和シェルとの合併で、大家族主義を貫いてきた出光の経営理念や社風が変わることに、拒絶反応を示した格好だ。これを機に両社の特約店などにも流通再編に対する警戒感が再び広がり、合併話が頓挫する可能性をぬぐえない。

 ただ両社が2015年11月に交わした経営統合に関する基本合意書では、統合の方式について「合併を基本方針」とし、今後の協議を経て正式決定するとしたのに対し、創業家などは経営統合そのものの是非には言及していない。このため当面は合併を避け、共同持ち株会社方式などによる枠組みを検討するといった道筋もありそうだ。

 創業家などが経営統合にも反対の意向を示せば、統合実現は極めて困難になり、日本の石油業界は同じく17年4月の経営統合を目指すJXホールディングス(HD)・東燃ゼネラル石油の1強時代へ移る。

 世界の強豪に対抗できるエネルギー産業の創出を掲げ、石油業界再編を主導してきた経済産業省の筋書きも、少なからず修正を迫られそうだ。

最終更新:6月29日(水)8時0分

日刊工業新聞電子版