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きっかけは展示会で注目を浴びたかったから―シャンプー詰め替え要らずの便利グッズ、当初は苦情が殺到

日刊工業新聞電子版 6月29日(水)14時58分配信

創業50年 流体ガス用継ぎ手メーカーの三輝 便利器具「詰め替えそのまま」

 一般消費者市場に食い込め―。三輝(東京都大田区、阿部拓也社長)は、2009年から、シャンプーやリンスなどの詰め替えパックに取り付けると詰め替え作業なしで使える便利器具「詰め替えそのまま」を販売している。流体ガス用継ぎ手という企業向け製品を主力としながら、一般消費者市場を開拓した。開発秘話から今後の展開まで、阿部社長に話を聞いた。(南東京・門脇花梨)

―開発したきっかけは。
 「工業製品しか並んでいない展示会のブースに、一般消費者向け製品を展示して来場者の目を引こうと考えたのがきっかけだった。当時、私が不便に感じていたのがシャンプーの詰め替え作業だったため、簡単にする製品を開発することとなった。売れないと言われていたが、08年の展示会で販売してみると反響が大きく、商品化を決定した」

【『壊れやすい』苦情電話 ユーザーの声が勉強になった】
―発売後に苦労したことはありますか。
 「大変だったのは苦情への対応。当初、ボトル部分の材料はABS樹脂だったが、パックに付ける際に割れやすく『壊れやすい』との苦情電話が殺到した。これを機に材料を変え、強度を高めた。現在、加工しやすく、強度も高いポリアセタールを使用している。苦情対応には苦労したが、とても勉強になった。結果的に当社のプラスになったと感じている」

―売り上げは順調なようですね。
 「今期は過去最高の売り上げになる見込み。15年からは同製品専門の営業担当社員を置き、製品自体の改良だけでなく営業活動にも力を入れている。一般消費者向け製品はキャッシュフローの流れがいい。売り上げを伸ばし、利益を活用していきたい」

―今後、改良する部分はありますか。
 「部品点数を減らした上でサイズを小さくし、コストダウンを図りたい。17年には500円台のものを開発し、コンビニやドラッグストアで発売したい」

―今後、開発予定の製品はありますか。
 「3方向から座れるいす、力を使わずに持てる形状の風呂おけ、少しの力できめ細かい泡を立てられるスポンジタイプのせっけん置きを開発中。特許の出願を終えたところだ。風呂場の周辺製品にラインアップを広げる」

○解説 継続的改良の行方に注目
 一般消費者向け製品の開発では「コストダウン」が大きな課題。生活を便利にする技術やいいアイデアであっても、価格設定によっては売れなくなってしまう。売れ行きが好調な「詰め替えそのまま」も、売り上げ拡大のための課題はコストダウンだという。同社の製品開発成功へのカギは「継続的な改良」。今後、コストダウンと継続的な改良はどのような展開を見せるのか。その行方に注目したい。

最終更新:6月29日(水)15時6分

日刊工業新聞電子版