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【いま大人が子供にできること(11)】 カッコいい図鑑は、赤ちゃんにぴったり

ニュースソクラ 6/29(水) 14:00配信

楽しめる時期に、とことん楽しませる

 赤ちゃんが一番最初にみる本は図鑑タイプだ、と前回述べましたが、図鑑は赤ちゃんや幼児に向いている作りの本です。

 基本、図鑑というのはそれぞれの記事は読みきりで、何ページも連動させないものです。
正反対は長編小説で、長編小説というのは初めから最後まで連動するように作られているので、その長さぶん思考を持続しないと理解できません。

 赤ちゃんの思考は2ページから4ページへ、4ページから8ページへ、と徐々に長く連動していき3歳すぎる頃には24ページくらいの長さにも耐えられるようになります。

 なので3歳半も過ぎる頃には、ほとんどの子ども用の絵本は理解できるようになるので、3、4、5、6、7才あたりまではあまり年齢に関係なく、楽しめる本がたくさんあるのです。
(つまりそのあたりは、図鑑とお話本、両方ともダブルで楽しめる年齢なのです)

 でも、図鑑が好きなのはせいぜい8才か9才まで……。4年生になってしまうと、ごく一部の人を除いて、たいていの人は図鑑を卒業してしまいます。

「なぜ?」といわれると困るのですが、人間の子どもはそうなっているのよ、としかいいようがない(笑)。たとえばブランコは低学年の大好きな遊びですが、あの、重力に逆らって左右に揺れることがなぜそんなにも面白いのか、を説明するのは難しいでしょう?

 でもある年齢まではとても楽しい遊びです。そうしてあんなにも面白かったのに、中学に行く頃になると自然に乗らなくなっていく……。

 子どもは成長期によって好みや感覚が変わっていくのです。なので、できるだけ面白いうちに思う存分面白いことをさせてやりたい。

 ブランコが楽しいときにブランコを、図鑑が楽しめるうちに、山ほど優れた図鑑を見せてやりたいのです。

 ところがこれには少々障害があって、一つは子どもの面倒を見るのはやはり女性が多いわけですが、女の人で図鑑が好きな人はあまりいません。

 自分が楽しいと思わないので、子どもにも図鑑を与えるのをいやがる傾向があることと(代わりに情緒的な物語絵本を読ませたいと思うのですよ)もう一つは図鑑を与えようと思ってくれても、やっぱり子どもなんだから子ども用の図鑑を、と思ってしまうことです。

「えっ? なんでそれがまずいの?」と思うかもしれませんが、いまの子どもたちが生まれて始めてみるビジュアルは地デジの放送かiPadです。あれよりも美しくないものは基本ウケません。

 そりゃ、一度ブルーレイ見ちゃったらビデオには戻れないよね~?

 でも子どもの本のなかには昔ながらのビジュアルのものがまだ結構あるのです。

 一つにはそれを買ってくれそうなおじいちゃんおばあちゃんは、あまりに斬新なビジュアルだと警戒して買ってくれない、というのがあるのかもしれません。人間、自分が知っているものは安心しますが、知らないものは警戒するものですから……。

 ですから3、40代の男性のかたには「これでいいのでしょうか?」みたいなことを聞かれることがときどきありますが、そうだよね、と思います。

 自分にはどうみても古くさく思えるんだが、子どもの本というものはこういうものなのか?! 子どもにはこれでいいのか?

 悩んだらお子さんに聞いてみてください。あくまでも、その子が見るのですから本人が気に入ればオーライです。

 でも古いものしかなければそのまま見るかもしれませんから(子どもは目に見えるものがすべてだ、と思うものですから)新しいものも見せて、比べさせることは大事ですが……。

 猫パブリッシングの『動物大図鑑』見せてみてください。
 緑書房の『ヘビ大図鑑』見せてみてください。
 トーマス・マレントの『蝶』(ネコ・パブリッシング)、見せてみてください。
 スミソニアン博物館が100周年記念に作った『世界博物学大図鑑』見せてやってください。

 このあたりの本はみな5000円から1万円するので、それを赤ちゃんに、と思いつくかたはそういらっしゃいませんが、1歳児、熱心に見ますよ。

 だって、カッコいいんだもの。コンセプトがしっかりしてて、本質的なんだもの(本質的、というのは大事なポイントがずれてない、ということです。筋がきちんと通っている、ということ)。

 ただ1歳だとやっぱり動物……それも単体でサイズもそこそこ大きくて、認識できるもの、がいいので、哺乳類、爬虫類、両生類あたりが中心になりますが……。

 もちろんまだ文字は読めませんが、それはまだどーでもいいのです。写真や絵が大きくて美しくて優れていればオッケー! だからついている文章がどんなに小さかろうとふりがながついてなかろうと、どうでもいいのです。

 ラテン語だってかまいません。そもそも初めから読む気はないのですから。内容が知りたければそばにいる下僕(あなたのことです)に「読め」といえばいいだけのことです。

 あとはその子が好きなもの……たとえばクジラだったり、ゾウだったり、というテーマで本を選べばいいのです。

 公共図書館にはいまあげた3冊は必ずあるはずです。とりあえず連れてって、見せてみてください。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:6/29(水) 14:00

ニュースソクラ

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。