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造船・重機業界、英国のEU離脱の影響は?

ニュースイッチ 6月29日(水)8時50分配信

大手3社の欧州売上高は1割に満たず。ほとんど影響なしも過度な円高懸念

 造船・重機大手は英国の欧州連合(EU)離脱選択について、直接的な影響は少ないといった見方を示している。三菱重工業、川崎重工業、IHIとも、2016年3月期の欧州売上高は1割に満たず、現地に大規模な生産拠点も持たない。足元では各社とも、世界の株式市場や為替への影響を注視している状況だ。ただ、船舶や航空機関連など国内生産の多い造船・重機各社にとって、想定以上の円高進行は業績に水を差す可能性もある。


 三菱重工では、三菱日立製鉄機械とシーメンスの製鉄機械事業の統合会社であるプライメタルズテクノロジーズが英国に本社を置く。ただ、主要拠点は英国外にあり、生産拠点も同国には保有していない。財務面でも「ほとんどの契約はドル・ユーロ建てで、影響はないだろう」(三菱重工)とみている。

 一方、デンマーク・ヴェスタスとの合弁会社で、風力発電設備を手がけるMHIヴェスタス・オフショア・ウィンドは、英ワイト島でブレード(風車の羽根)を製造している。現在、発電能力8メガワットクラスのブレードを製作中だが、すべて英国内向けで、顕在化しているリスクはほとんどないようだ。

 川崎重工業は2輪車事業が、米国・新興国に次ぐ第3の市場規模を欧州で持つ。英国の離脱により欧州経済が冷え込めば、多少の影響はありそう。ただ、離脱協議の期間は2年間あり、「今後の状況を注視する」(川重)としている。また、イングランド南西部のプリマス市に油圧ポンプ・モーターの生産拠点を構えるが、直近の売上高は87億円と規模は小さい。

 IHIもEUの売上高比率は低く、生産拠点も現地に置いていない。24日に開催した株主総会では「為替などの影響で欧州全体の景気悪化懸念がある。結果をよく見極めながら対応していく」(桑田始常務執行役員)と話した。

 現段階での懸念事項としては、円高の過度な進行があげられる。足元では3社の本年度の想定為替レートに比べ、大幅な円高基調となっている。三菱重工と川重は1円の円高で20億円規模の為替感応度を持つ(経常利益ベース)ほか、IHIも営業利益ベースで10億円と見込む。各社とも収益性重視の事業展開に軸足を置いており、円高は成長戦略にブレーキをかけかねない。

最終更新:6月29日(水)8時50分

ニュースイッチ