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少年詩届け30年 鎌倉・銀の鈴社 谷川俊太郎さん自選集記念出版

カナロコ by 神奈川新聞 6月29日(水)7時3分配信

 少年向け詩集を長年手がけてきた出版社「銀の鈴社」(鎌倉市雪ノ下)が創業30周年を迎えた。「鈴をチリンと鳴るように、心に響くフレーズを届けたい」-。それは、言葉を愛する一家の物語でもある。

 「子どもにも分かる言葉ですっと心に入ってくる。年齢やそのときの状況で、また味わいが変わる」

 大人が子どもの目線で書いた「少年詩」という分野。その魅力を語る代表取締役、西野真由美さん(56)の瞳は優しい。

 銀の鈴社は1986年、児童書や詩を愛する西野さんの母柴崎俊子さん(79)が設立。北原白秋の詩「巡礼」の一節「真実一路の旅なれど、真実鈴ふり思い出す」が社名の由来だ。「心の鈴を鳴らしながら、荒波の中でも初心を見失わずに」と願った。

 亡夫の国文学専門出版社で働いていた時代に俊子さんが企画し、版元を銀の鈴社に変えて続けてきたのが「ジュニアポエムシリーズ」だ。42年にわたり、新川和江さんや故やなせたかしさんらによる少年詩集258冊を世に送り出してきた。

 創業30年。西野さんは記念の1冊を、「少年詩の世界で別格」と敬愛する人物に依頼した。シリーズ14作目を手がけた谷川俊太郎さんだ。「30年頑張ってきたね」と快諾してくれ、これまで谷川さんが出した詩集から1遍ずつ選び、4月に自選詩集「そして」を刊行した。

 7年前に鎌倉に移した社屋で、俊子さんは編集長、西野さんの長男大介さん(29)も営業担当として働く。「一つのフレーズが心に響き、鈴がチリンと鳴る。それは子どもたちの想像力を養い、思いやりを育む。そんなお手伝いがしたい」。言葉を愛するDNAは脈々と受け継がれる。

 同社併設のギャラリーで7月3日まで「そして」刊行記念詩画展を開催。詩に添えた、画家下田昌克さんの原画も展示。問い合わせは、同社電話0467(61)1930(水曜定休)。

最終更新:6月29日(水)7時3分

カナロコ by 神奈川新聞