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ライダーの夢を叶えたリノベ[後編]難航した物件探しと住宅ローン

SUUMOジャーナル 6月29日(水)8時0分配信

自宅にバイク専用ガレージをつくり、心ゆくまで愛車をいじりたおしたい―。

そんな願望を叶えるべく、中古一戸建てをリノベーションし、超本格的な「マイガレージ」をこしらえてしまったOさん。ガレージへのこだわりについて伺った前編に続き、今回は物件探しや住宅ローン、その他手続きにおける“苦労話”に焦点を当てる。「中古一戸建てでガレージリノベ」というレアケースゆえの苦難、そして経験に基づく貴重なアドバイスをうかがった。

■難航した物件探し

そもそも、「一戸建てリノベーション」を得意とする会社自体がまだまだ少ない。加えて、1階を丸ごと「ガレージ」にリノベーションするとなると、なおのことレアケースだ。“一般的ではない”Oさんのマイホーム購入は、そもそもの物件探しから苦労の連続だった。

「建物内に車やバイクを出し入れするためには、入り口部分をかなり広くとる必要があります。普通の住宅の玄関では無理ですし、リノベーションで開口部を広げようにも構造や耐震性の問題があってなかなか難しい。条件に合うのは飲食店など、最初から開口部を広くとってある“店舗物件”くらいしかなかったんです。当然、普通の住宅に比べて圧倒的に情報が少ないので大変でした。飲食店以外にも床屋さんとか、いろんな店舗物件を6~7軒は見ましたね」(Oさん、以下同)

最終的には築34年、元そば屋の木造2階建てが見つかるわけだが、いざ購入という段になって、思わぬ壁にぶつかることになる。

「建物の種類の問題ですね。そこは1階部分が「店舗」、2階が「居宅(住宅)」として登記されている“店舗兼住宅”だったんです。銀行の話では店舗として登記されている建物を買う場合は住宅ローンを借りられないことが多いらしく、僕らの場合は2階の住宅部分のみ、つまり半分しか出せませんと。いくら購入後にリノベーションして住宅にするといっても、銀行にその理屈は通じません。住宅購入費用とリノベーション工事費用をまとめて住宅ローンで賄うつもりでしたから、目の前が真っ暗になりました」

そこでOさんは売主側へ交渉。購入前に「店舗」から「住宅」へと登記変更してもらうことで事なきを得たという。なお、変更のための費用、数万円はOさんが負担した。

「とはいっても、そこが“店舗”の状態のままだと住宅への登記変更は認められないわけです。僕らがラッキーだったのは、ここはそば屋が閉店した後は貸事務所として使われたので、厨房など飲食店営業用の設備が全て撤去されていたこと。要するに『“店舗っぽい設備”がないから、住宅として登記を変えても問題ない』という土地家屋調査士の判断が下ったんです。これが認められなければアウトだったのでホッとしましたよ」

【画像1】リノベーション前の1階部分。もともとはそば屋だったが、店舗営業用の設備が撤去されていたため「住宅」への登記変更が認められたという(写真提供:Oさん)

■Oさんを悩ませた、住宅ローンをめぐる不文律

また、「大変すぎて心が折れかけた」とOさんが苦笑するのは住宅ローンだ。当初は住宅購入費用と、リノベーション費用1200万円の一括借り入れを目論んでいたが、なかなか希望に叶うローンはなかったという。

「前提として、住宅ローンとリフォームローンを別々に組むのは避けたかった。35年かけて返済できる住宅ローンに対し、リフォームローンの返済期間は最大でも15年程度。金利も高いし、二重にローンを組むと毎月相当な負担になってしまいます。ですから、住宅購入費用とリノベ費用をまとめて借り入れできることを条件に探しました。自分で資料を準備し、複数の金融機関をまわって……、昨年のお盆休みはそれに全て費やしましたよ」

近年は中古住宅購入、即リノベーションという流れが浸透してきたこともあり、リノベ部分と一体で組める住宅ローンも増えてきた。それでも一般的な住宅ローンに比べれば情報が圧倒的に少なく、難儀したとOさんは振り返る。

「銀行側が積極的に“一体型”を打ち出しているわけでもありませんし、こちらから聞いて初めて情報が出てくるような状況。金融機関によっては審査が通ってもリノベ費用については物件価格の2割しか借り入れできなかったり、築古一戸建てということで住宅購入費用すらまともに出ないケースもあったりで……、とにかく大変でしたね。結局、最終的に決めたローンも希望額の借入額には届きませんでした。不足分の300万円程度は現金で支払ったので、いまお金ないです(笑)」

ほかにも、「リフォーム一体型にすると(なぜか)金利が上がる」「リノベーション一体ローンの場合、つなぎ融資に対応していない」など、住宅ローンをめぐる不文律に悩まされたという。

「いくら一戸建てリノベが増えてきたといっても、住宅ローンをはじめとする制度はあまり整備されていないと感じました。結局は、まだまだ一般的じゃないってことなんでしょうね」

なお、Oさんは仕事柄、住宅業界の事情や住宅ローンについても比較的明るい。しかし、そうした知識をもってしても、今回のように“特殊な希望”を叶えるのは一筋縄ではいかないようだ。

「これから一戸建てでガレージリノベをしたい人にアドバイスですか? 『大変だからやめたほうがいいよ』ってことですかね(笑)。冗談抜きで、それくらい苦労しましたから。ただ、どうしてもやりたいなら、建物構造に詳しい会社に頼むのがいいと思います。開口部が広く間仕切りも少なくなりがちなガレージハウスの性質上、リノベ向きな構造や適切な耐震補強などの判断が必要です。また、お金の相談も含めてワンストップで任せられるリノベーション会社に頼んだほうがいいと思います。一体型ローンも、実績のあるリノベーション会社を通したほうが交渉しやすいですしね。数は少ないですが、一戸建てのリノベーションに力を入れている会社もありますから。ちなみに私はリノベーションの物件探しから設計・施工までをワンストップで行うクオリアという会社に依頼しましたが、担当の方とフィーリングや価値観が合って楽しくできたことが最後までやり切れた一番の要因かもしれません」

かくして、最終的には理想の住まいを手に入れることができたOさん。だが、そのハードルの高さに幾度も諦めかけたという。理想の実現に苦労はつきものなのかもしれないが、さまざまなケースにフレキシブルに対応する仕組みが整備され、誰もが気軽に多様な選択肢をもてるようになれば、住まい選びもさらに楽しくなると思うのだが……。

【画像2】念願のマイガレージを手に入れたOさん。愛おしそうにバイクを手入れする姿が印象的だった(写真撮影:藤原葉子)

●参考
・クオリア

榎並紀行(やじろべえ)

最終更新:7月5日(火)11時26分

SUUMOジャーナル