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【コラム】DIR EN GREY、映像作品『ARCHE AT NIPPON BUDOKAN』に刻まれた「消えない傷跡」

RO69(アールオーロック) 6/29(水) 7:00配信

『ARCHE』の真髄を見せつけた1日目

DIR EN GREYのアルバムタイトルを冠した武道館公演では、そのアルバムの季節がひとつの大きな節目を迎えることになる。今年2月5日と6日に行われた2デイズの全曲を収めたLIVE Blu-ray&DVD『ARCHE AT NIPPON BUDOKAN』。僕は6日の公演を実際に観たのだが、あらためて2日間を映像で確認してみると、同じアルバム収録曲を前提としたライブであるにも関わらず、ステージとしての大きな表情の違いに驚かされる。アルバムリリースから1年以上、国内外のツアーを経て楽曲は有機的に成長し続け、それもサウンドの奥行きからさまざまな演出、果てはトラス構造の照明の支柱までががっちりと噛み合った、重厚なトータルアートとして迫ってくるのである。

2月5日公演は、アルバム『ARCHE』の大部分を曲順通りに再現するステージであり、中盤の“濤声”、“輪郭”といったズシリとしたメロディが重心を担うように深い印象を残してゆく。グロテスクなのに一貫して美しさを保ち続ける映像演出も相変わらず素晴らしいのだが、とりわけアンコールで披露された“Revelation of mankind”の、あの衝撃的なドラマ仕立てのミュージックビデオを大スクリーンに映し出しながら繰り広げるパフォーマンスが強烈だ。刻一刻と生々しく変化し続けるバンドサウンドをもって、『ARCHE』という作品の価値を押し上げるライブのように思える。


ライブの極致を描き出した2日目

“空谷の跫音”(Short Ver.)はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=PUzAc9cF4JA

一方の2月6日は、“and Zero”のドラマティックなサウンドスケープで始まり、“空谷の跫音”の息を呑む美しさへと連なる。さながら『ARCHE』シーズンのライブの極致を見せつける内容だ。ヘヴィなアンサンブルがぎゅっと密度を増し、人間の暗部を覆う皮膚を次々に引き剥がす“Midwife”~“Cause of Fickleness”~“Chain repulsion”という本編後半の連打には、胸の中がひたすらザワついて叫び声を上げそうになる。痛みをすべて引き受け音像化し、それに押し潰されることなく突き進むDIR EN GREYの姿だ。そして、鋭い眼光を宿らせたまま口元に笑みを浮かべた京が、一言、胸を熱くさせるメッセージを投げかけて傾れ込む“Un deux”の完璧なクライマックスである。

現在行われている「TOUR 16-17 FROM DEPRESSION TO ________」において、年内に「[mode of VULGAR]」、「[mode of DUM SPIRO SPERO]」、「[mode of 鬼葬]」と題されたシリーズ的なライブが順次繰り広げられることからも分かるように、DIR EN GREYは消し去ることの出来ない痛みと向き合うようにしながら、かつての記録を反芻し、更新してゆく。『ARCHE AT NIPPON BUDOKAN』はその最も新しい、癒えない傷跡のような記録作品だ。また、2016年7月27日(水)にはいよいよ、待望のニューシングル『詩踏み』も届けられる。(小池宏和)

RO69(アールオーロック)

最終更新:6/29(水) 7:00

RO69(アールオーロック)