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政府・日銀の政策対応の拡大を促す生産の弱さ

ZUU online 6/30(木) 10:40配信

5月の鉱工業生産指数は前月比-2.3%とかなり弱い結果となった(コンセンサス-0.2%程度)。4月(同+0.5%)までの2ヶ月連続の上昇から下落に転じた。4月の熊本震災による工場被災と部品供給・物流の滞りが生産活動を幾分下押したとみられる。

■人本経済、底割れ回避の第一四半期

5月は更にゴールデンウィークの日並びがよく、工場が長期休暇で操業停止になったところが多かったことが大きな下押しになったとみられる。しかし、経済産業省の予測指数(5月同+2.2%、4月同+2.6%)から2ヶ月連続で大幅に下振れており、特殊要因を除いても弱い結果であろう。

5月は実質輸出が前月比+0.1%の小幅な増加となっているため、生産が急激に下振れていく状況にはないと考える。6・7月の経済産業省の予測指数は+1.7%と+1.3%とまだ堅調である。6月は遅れていた出荷が増加するだろうから、4-6月期全体でみれば生産は前期比0%程度近辺と、10-12月期の同+0.1%と1-3月期の同-1.0%と同様のフラットな結果となるとみられる。

日本経済は、消費・輸出・生産ともに、底割れは回避したことは確かだ。しかし、まだ横ばい圏内の動きとなっており、明確な浮上のきっかけがつかめないでいることも確かだ。経済産業省の判断どおり「一進一退」という状況であると考える。更に、英国のEU離脱問題など、グローバルな景気・マーケットの不安定感が続き、円高と在庫の増加に対する生産者の警戒感から、生産が「一進一退」の横ばいにとどまれば成長率のトレンドがゼロ近傍となってしまう。

■輸出と生産の持ち直しの鍵は各国の政策対応

2016年に潜在成長率(+0.5%程度)なみの実質GDP成長率(予想も+0.5%)を維持し、2017年にはそれを上回る水準(予想は+1.2%)に加速することはアベノミクス成功のための必要条件であると考えられるが、リスクは残ってしまっている。政府・日銀の危機感はかなり大きくなっており、7月の参議院選挙後に実施されるとみられる財政による経済対策は10兆円(GDP対比2%程度)に達する大きなものになる可能性が高まっている。

円高がかなり進行し、生産者の警戒感が強くなっていることも確かであり、7月28・29日の金融政策決定会合で日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性も高まったと考える。裏を返せば、政策対応が小規模なものとなれば、マーケットの大きな失望となろうし、景気失速のリスクも大きくなろう。年後半には経済対策の効果と、海外経済の持ち直しによる輸出の回復により、生産の基調は緩やかな持ち直しへ改善していくとみられる。

グローバルな景気・マーケットの不安定感を各国の政策対応で乗り越え、先進国の堅調の成長がなんとか持続している間に、その好影響が波及して新興国が減速した状態から脱していくのかどうかが輸出と生産の持ち直しの鍵である。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部 チーフエコノミスト

最終更新:6/30(木) 10:40

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