ここから本文です

結果は完敗、世界772位のテニスコーチがつかんだフェデラーとの夢舞台

BuzzFeed Japan 6月30日(木)8時36分配信

ウィンブルドン男子シングルス2回戦。センターコートを埋めた満員の観衆は世界ランキング772位の男を待ちわびていた。マーカス・ウィリス、25歳。本業はイギリス郊外で子供を教えるテニスコーチだ。
【BuzzFeed Japan / 徳重辰典】

ウィリスにとってテニスは一度あきらめた夢だった。

10代のころにはウィンブルドン・ジュニアで3回戦に進むなど将来を期待されたが、その後は多くの怪我に悩まされてきた。

今年のシングルスでの獲得賞金額はわずか3万円ほど。1レッスン30ポンド(約4100円)で教えるコーチ収入が選手収入を上回る。

それでも生活は安定せず、現在も両親と一緒に住んでいる。過去には海外大会への旅費がなく借金もした。今年初めには膝を故障。先は見えなかった。

恋人の言葉が運命を変える。

ウィリスは4か月前、プロテニス選手の道をあきらめ、指導者になるためアメリカに向かおうと考えていた。そんな彼を思いとどまらせたのが恋人のジェニファー・ベイトだった。

「あなたを信じてる。だからもう一度挑戦して。テニスにはそれだけの価値がある」

ウィリスはアメリカ行きを取りやめ、もう一度テニスに向き合うことを決めた。

予備予選から勝ち上がり、夢の舞台へ

再びテニスへと打ち込んだウィリスは、ウィンブルドンの予備予選から6試合を勝ち上がって本戦出場を決める。

1回戦の相手は世界54位のリカルダス・ベランキス(リトアニア)。試合会場の17番コートには家族や友人はもちろん、多くのファンが訪れ、立ち見客が出るほどの盛り上がりだった。

声援を背景に、ウィリスは6-3、6-3、6-4でベランキスを破り、ワールドツアーでの初勝利を飾る。試合直後には観客席にいたベイトの元に駆け寄りキスを交わし、友人たちと抱き合って喜んだ。

四大大会では1988年の全米オープンで世界923位のジャレッド・パーマー(アメリカ)が2回戦に進出して以来の快挙。

世紀のジャイアントキリングを起こしたウィリスをメディアは「シンデレラ・ボーイ」と呼んだ。

2回戦の相手はフェデラー。ウィリスの憧れの選手だ。そんなフェデラーもウィリスの快進撃を「長いテニスの歴史の中でも最高の物語の1つだ」と賞賛した。

1/2ページ

最終更新:6月30日(木)8時36分

BuzzFeed Japan