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経済的損失を強調したEU残留派の作戦はなぜ失敗したのか?誰もが分かったはずの兆候

The Telegraph 6/30(木) 8:31配信

【寄稿:Gideon Skinner】
 英イングランド銀行(中央銀行、BOE)のマーク・カーニー(Mark Carney)総裁からバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領まで、あらゆる人物が英国の欧州連合(EU)離脱による経済への影響に警鐘を鳴らしてきた。われわれ英市場調査会社イプソス・モリ(Ipsos MORI)の調査によると、英国民投票でEU残留派が勝利するという予測は、英国民の間でも最後まで共通認識となっていた。しかし、EU離脱による経済的損失を訴える残留派の作戦は、投票運動期間を通して効果を上げていなかった。

1. 経済ではなく移民問題が焦点に

 過去の経験から、選挙は最終的には経済で決まるというのが常識だった。イプソス・モリの調査では、投票前の最後の2週間で、経済に代わって移民問題が最大の争点になっていたことが判明した。当社が毎月算出している指数でも同様の傾向が示された。EUへの懸念が6月に4ポイント上昇した一方、移民への懸念は10ポイント増えた。

2. よりよく有権者に届いた離脱派のメッセージ

 両陣営が投票に向けて主張と反論を展開する中で、当社の調査で離脱派の方がけん引力を持っていたことが分かった。投票1週間前には45%の国民が、残留を支持すれば、トルコのEU加盟が早まり、実質的にトルコ国民の英国への自由な移動が保障されてしまうと考えていた。

 また、47%の国民が、英国はEUに毎週3億5000万ポンドの拠出金を支払っていると信じていた。一方、離脱した場合、家計の所得が年4300ポンド減り、貧困化が進むとの財務省の予測を信じていたのはわずか17%だった。

3. 離脱派は、離脱が経済にプラスに働くとの自信を持っていた

 当社は、運動期間中に個々の有権者がどれだけ強固に自分の意見を持っているかを調べる新しいタイプの調査を実施した。その結果、残留派が残留する方が経済にとって良いと考えていたのと同程度に、離脱派は離脱の方が経済に良い影響を与えると信じていたことが分かった。

 国民投票は主に、経済と移民問題のどちらを重視するかという論争の枠組みの中で行われたが、離脱派は強い確信を持って英経済はEUから離脱した方が良くなると考えていた。

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最終更新:6/30(木) 8:31

The Telegraph