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西部邁氏、英のEU離脱派勝利は「グローバル資本主義の断末魔」

ニュースソクラ 6月30日(木)10時0分配信

国民投票が暴き出した「ヨーロッパ合衆国」の虚妄

 イギリスで23日、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が行われ、離脱票が過半数を上回り、EUからの離脱が確実となった。

 イギリスのみならず、世界にも大きな影響が予想されるなか、今回の選挙結果について評論家の西部邁氏に電話インタビューをした。

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 「ざまあみろ」といいたい(笑)。EUができた1993年の当時から、「これは上手くいくはずがない」と言っていたのは、私のような少数派だけだった。

 カネとヒトとモノが自由に動くEUでは、ドイツの一人勝となり、アラブ方面を中心とした移民問題も深刻化している。もはや、どうにもならない状況だ。イギリス国民投票の結果は、スペインやイタリアなどにも影響し、EU域内での離脱ムードは今後も高まっていく可能性は高い。

 イギリスのEU離脱が確定的になったことで、欧州は虚妄から目覚め始めたといえよう。虚妄とは、クーデンホフ・カレルギーの考え出した「ヨーロッパ合衆国」構想である。台頭するアメリカやアジアに対し、一致団結して向き会おうという「ヨーロッパナショナリズム」としてはじまったものだが、各国各様の歴史性を無視した時点で完全な虚妄であった。

 もちろん、欧州にはキリスト教やラテン語といった共通の基盤がある。だが、宗教や言語はしょせん深層構造にすぎず、政治や経済の統合に耐え得るものではない。やはり、各国の国柄を守りながら、経済を考えなければ、欧州は安定しない。

いま求められているのは“ゆるやかな保護主義”

 移民による社会保障費の増大などを離脱の原因と指摘する向きもあるが、本質的でない。英国のEU離脱は、グローバリズムの失敗によるものと捉えるべきだ。

 資本主義による自由競争は、イノベーション競争と同義であり、独占体を生む。イノベーションで、労働分配率と国内の購買力は下がり、企業は国外へ行く。しかし、外国に行くといっても、限度がある。すると、アメリカの金融資本家のように、政府を動かして戦争を起こし、市場を開拓するという方策しかなくなる。

 核兵器があるため、現実に中々起こり得ないが、第三次世界大戦の前哨戦のような状況になっている。そういう時に、各国家は何をすべきか。国家ごとに一定の保護政策を取りながら、政治的にも経済的にも、自分の国は自分で守る体制を構築する必要がある。すでに、そういう段階にきている。

 もちろん、1930年代のような強力なブロック経済は各国の軋轢を激しくするだけなので避けるべきだが、、各国はそろそろ”ゆるやかな保護主義”を真剣に考える段階にきている。開くべき門戸は開き、閉じるところは閉じるということだ。

 イギリス国民はこうした潮流を、直感的に探知し、EU離脱という選択をしたと考えられる。「さすが先進国」といいたい(笑)。これからはじまる世界動乱のなかで、自国を守るためのおおまかな方向を築くためには、国民投票のような民主的な方式しかないというお手本を見せてくれたのだ。

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最終更新:6月30日(木)10時0分

ニュースソクラ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。