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社会保障届かず行き場失う中高年 年金、介護に関する主な政党の政策

福井新聞ONLINE 6月30日(木)17時24分配信

 少子高齢化で公的年金制度を支える現役世代が減り、今後はもらえる額が目減りしてゆく。景気回復は限定的で、不安定な収入にあえぐ現役世代も将来に不安が膨らむ。消費税率10%への引き上げが再延期され、新たな財源確保が課題となる中、各党の公約からは社会保障充実の道筋は見通せない。福井県坂井市三国町の簡易宿泊所「在郷(ざいごう)の家」に入居する中高年の姿からは厳しい現実が垣間見える。

 6月中旬、在郷の家の代表、西原健二さん(60)=坂井市三国町=の電話が鳴った。「今日泊まる場所がない人がいる。何とかならないか」。福井県あわら市社会福祉協議会から一時保護の依頼だった。しばらくして、冷蔵庫など家財道具を全て車に詰め込んだ男性(57)が来た。暮らしていた借家の取り壊しが決まり、退去せざるを得なかった。

 もともと漁師だった男性は30、40代で脳梗塞を複数回患い、体にまひが残った。今は建築関係の雑務をしていて毎月の収入は数万円。先行きを悲観して「死ぬ覚悟だった」と話す男性。西原さんは「こういう人たちの駆け込み寺をつくりたかった」と思いを新たにした。

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 今年4月に開所した在郷の家は、要介護を含む高齢者のほか、障害者、生活困窮者らを垣根なく受け入れる。西原さんは、福井県内外の高齢者福祉施設や社協に約30年勤めた。「お金がある人は高齢者向けの住宅や施設に入れる。極端に貧しければ生活保護を受けられる。その中間の人は受け皿がない」

 毎月の収入が数万円足りずに、施設に入れない高齢者を何人も見た。「生活に必要なのは住まいと食事と仕事。行政の支援には限界があり、民間でやるしかない」。ゲストハウスを1棟借り上げて、在郷の家を開いた。

 敷金、礼金はなく、利用料は有料老人ホームなどに比べてかなり安い。近く入居する男性(75)は現在入院中で、退院後は介護の必要度が要支援2から要介護1に上がる。これまで低所得者向けのアパートに住んでいたが、部屋は2階で出入りが難しくなった。収入は月額約8万円の年金だけという。

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 旧社会保険庁の2007年の推計では、保険料未納などで年金を受け取れない無年金の高齢者は全国に約42万人。政府は、国民年金の受給に必要な保険料納付期間を25年から10年に縮めて無年金の4割を解消し、低所得の受給者に最大月5千円を給付するとしていたが、財源となる消費税率引き上げは参院選を前に見送られた。

 公的年金のうち、国民年金しか受け取っていない人の14年度末の平均受給月額は約5万円にとどまる。「持ち家のない高齢者が民間のアパートに入ったり、有料老人ホームを利用したりしようとすると、私たちにとっての何百万円と同じ感覚の負担を強いられる」と西原さん。料金が安い特別養護老人ホームは待機者が全国で50万人以上に上る現実もある。「(高齢者向けの政策が優先される)シルバー民主主義ともいわれるが、支援が届いていない人が現実にいる。もっと目を向けてほしい」と訴えた。

 ■年金、介護に関する主な政党の政策

【自民】介護基盤を50万人分増やし、介護人材の月額平均1万円の処遇改善。

【民進】低年金者の年金を年間最大6万円上げ、保険料支払期間を10年に短縮。

【公明】福祉人材の待遇改善、年金受給資格期間を10年に短縮。

【共産】最低保障年金制度を目指し、特養ホームなど介護施設の抜本的増設。

【おおさか維新】高齢者雇用の創出を図り、年金の支給開始年齢の段階的引き上げ。

【社民】年金制度を一元化し、最低保障年金制度に。介護保険施設の増設。

【生活】年金を一元化。介護を受ける人の環境と介護士の待遇の大幅改善。

【こころ】高所得者らの年金、医療費負担適正化。介護に携わる人全体の待遇改善。

【改革】年金通帳の導入。中古住宅活用などで高齢者向け住宅の供給数増。

福井新聞社

最終更新:6月30日(木)17時24分

福井新聞ONLINE