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爪跡残る熊本被災地で汗

佐賀新聞 6月30日(木)11時12分配信

佐賀発ボランティアツアー体験記

 4月中旬の熊本地震から2カ月半。被災地NGO協働センター(兵庫県神戸市)が26日に実施した佐賀発の「ボランティアバスツアー」に加わり、熊本県西原村で復旧作業を手伝った。生活再建がままならない被災者の苦悩と、支援に一歩を踏み出した人たちの思いにも触れた。

 「申し込みが予想以上に多く、急いで大型バスに変更しました」。佐賀市の佐賀駅バスセンターを午前7時に出発した貸し切りバスの中で、協働センター職員が説明した。車内には20代から年配者まで、佐賀県内の老若男女32人がボランティアとして乗り込んだ。

 高速道路を降りると、ブルーシートで屋根が覆われた家々が見えてきた。西原村災害ボランティアセンターに到着後、農作業や荷物運びなど3班に分かれ、男性10人の班の一人として山手の大切畑(おおぎりはた)区に向かった。

 災害の爪痕は生々しく残っていた。土砂が流れた山肌、ガードレールごとのり面が崩落した道路。梅雨の大雨が拍車を掛け、地震でできた田んぼの亀裂に雨が入り込み、所々であぜが崩れ落ちていた。26世帯が暮らす大切畑区は、住民のほとんどが避難所や親戚宅に身を寄せているという。

 作業の現場は生活道路の側溝だった。地震の後、土砂で埋まり、大雨になると水の逃げ道がなく、あふれ出ていた。スコップやつるはしで黙々とかき出していくと、瓦やセメントの破片も交じっていた。道沿いの石垣やブロック塀も崩れていて、それも拾いながら坂道を下った。いつの間にか汗だくになっていた。

 西原村によると、公費での被災家屋の解体、撤去作業は7月中旬から始まる。農業坂田明雄さん(69)は、倒壊して腰ほどの高さになった自宅の屋根上を歩き、再利用できそうな瓦を取り外していた。

 手伝っていると、別の住民が通り掛かり、坂田さんに愚痴をこぼした。「まともな田んぼは一枚もない。用水路もだめで、今年は田植えができなかった」「公民館もじわじわ傾いて、最近は鍵も掛からんようになってきた」。何げない会話に、日常が戻らないもどかしさがにじむ。

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最終更新:6月30日(木)11時12分

佐賀新聞