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「気持ちが晴れない」手倉森監督、苦悩の決断へ…リオ五輪最終メンバー発表迫る

SOCCER KING 6月30日(木)14時50分配信

 29日に行なわれたU-23日本代表のテストマッチは、結果よりも選手に視線が注がれていた。リオデジャネイロ・オリンピックの登録メンバー発表が2日後に迫るなかで、選手たちにとって最後のアピールの機会だったからである。

 手倉森誠監督を喜ばせたのは、中島翔哉(FC東京)の復調ぶりだろう。3月のメキシコ代表戦を最後にチームを離れていたかつての背番号10は、南アフリカから前半だけで2ゴールをマークした。彼自身の1点目は大島僚太(川崎フロンターレ)の演出が申し分なく、2点目は浅野拓磨(サンフレッチェ広島)のアシストが評価される。それでも、チャンスにきっちりと絡み、ネットを揺らすあたりは、チーム最多の得点を記録してきた男の面目躍如である。背番号は見慣れない「13」だったが、プレーはこれまでと同じ中島だった。

 室屋成(FC東京)の起用にも目途が立った。1月の最終予選でディフェンスラインの右サイドを担った彼も、長期の戦線離脱を乗り越えて戦列に復帰してきた。タッチライン際をアップダウンしつつ、球際でしっかりと戦える彼は、このところ右サイドバックでテストされてきたライバルを上回る安定感がある。

 中島と室屋については、リオ五輪の連戦に耐えられるかどうかをしっかりと見極める必要がある。それでも、プレーのクオリティとコンビネーションにおいて、彼らは明確な違いを見せつけた。

 試合後の手倉森監督は、「ゲームは4対1で快勝して晴れ晴れしい結果だが、自分の気持ちだけが晴れない」と、苦笑いをこぼした。リップサービスではない。南アフリカ戦には、オーバーエイジ(OA)に内定した興梠慎三(浦和レッズ)、塩谷司(広島)、藤春廣輝(ガンバ大阪)の3人が招集されていない。海外組の久保裕也(ヤング・ボーイズ/スイス)と南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)も不参加で、キャプテン遠藤航(浦和)は出場を回避した。主力と見なされる6人が欠場していたなかで、ピッチに立った選手が次々と結果を残したからだ。

 南アフリカ代表のコンディションを考えれば、勝利を逃してはいけない一戦である。そのなかで評価できるのは試合経過だ。

 不用意と言ってもいいPKで30分に先制点を許しながら、7分後に同点へ持ち込んだ。前半終了間際には2点目を叩き出し、その直後に3点目を記録して前半を終えた。相手がトップフォームでなかったとはいえ、一気にたたみかけた攻勢は最終予選の韓国戦を思い起こさせる。同時に、5月のトゥーロン国際大会で成し得なかったものだ。

 今回の南アフリカ戦は、リオ五輪の初戦で激突するナイジェリア戦を想定してマッチメイクされた。実際の対戦では相手のコンディションがはるかに整っており、暑さにも直面する。少し肌寒かった松本とは、様々な意味で条件が異なる。

 だからこそ、勝負どころを見定めた前半のゴールラッシュは評価できる。国内のテストマッチという環境のなかで、チームは五輪につながる内容で勝利をつかんだのだ。

 課題をあげるとすれば、相手に主導権を譲った試合の入り方と、それに伴う先制点の献上だろう。五輪で同じ試合展開になったら、選手たちの気持ちはざわつく。追いつくためにリスクをかけるのか、2点目を与えないためにバランスを崩さないのか。ふたつの選択肢のなかでそれぞれの感情が揺れ動き、チームが強みとするコンビネーションに乱れが生じる。自分たちが追い込まれ、相手を勢いに乗せないためにも、試合の入り方は修正しなければならない。

 それにしても、驚くべき変貌である。

 2014年1月にこのチームが立ち上げられたとき、リオ五輪の出場を危惧する声が多数派を占めていた。チームを率いると表明した手倉森監督の周囲には、「本当に引き受けて大丈夫なのか」という声があがった。

 だが、U-20ワールドカップ出場を逃してきた世代は、絶えず聞こえてくる不安の声を反骨心へ変え、並行してチームの一体感を強めていった。久保は2013年夏にヨーロッパへ飛び出しており、14年冬に南野が後を追った。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いるA代表にキャプテンの遠藤が招集され、浅野や南野、大島もロシアW杯を目ざすグループへ加わってきた。

 W杯や五輪のメンバー発表では、しばしばサプライズが起こる。だが、今回はすでにサプライズだ。

 7月1日の発表を前にした手倉森監督は、限られた選択肢のなかから誰を選ぶのかではなく、それぞれに個性があり、結果を残してきた選手たちを、18人に絞り込まなければいけないからだ。

 チームの強みを最大限に引き出し、なおかつ2人、3人のグループで興味深い化学反応を示す18人は、いったいどんな顔ぶれになるのか。手倉森監督には、7月1日の発表直前まで悩んでもらいたいのである。

文=戸塚啓

SOCCER KING

最終更新:6月30日(木)14時50分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。