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「長瀬くんをジャック・ブラックにしたかった」宮藤官九郎、監督作を語る。

ぴあ映画生活 7月1日(金)10時22分配信

脚本家、演出家、ミュージシャンなど様々な顔を持つ宮藤官九郎が、『中学生円山』以来となる監督・脚本を務めた異色コメディ『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』が公開されている。事故に遭った高校生の大助(神木隆之介)が、地獄で目覚め、赤鬼のキラーK(長瀬智也)指導のもと、好きな女の子に会うため現世へ転生しようとする。完全オリジナルで、奇想天外な地獄ワールドを現出させた宮藤監督を後押ししたのは、意外な名作邦画だった。

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かつて観たことのないロックな地獄が待ち構える本作だが、宮藤監督の頭に最初に浮かんだのは、長瀬の存在だった。「長瀬くんとロックの映画をやりたいというのが最初です。長瀬くんは、日本のジャック・ブラックだなと常々思っていたので。ただ、オーバーアクトに見えないように、何かアイデアが欲しいと思った時に、人間じゃない設定にすれば、なおかつ物語の舞台を非現実にすれば、思いっきりやれるんじゃないかと考えたんです。自分は舞台からキャリアをスタートしているのに、これまで“舞台っぽい”演出を避けて来たけど、要するに舞台っぽさが気にならない設定にすればいいんだと。そう考えているうちに、地獄に高校生が落ちてきて、鬼と出会う、そこから始まる青春映画にしよう、と考えました」

実際の撮影をどうするのかといった現実的な問題はとりあえず置いておき、まずは地獄が舞台でロックな話を考えていった宮藤監督。だが自由に広がった世界に、最初は舞台になるか映画になるか、あるいは漫画になるかもわからなかった。そんなとき、ある名作が映画化へ舵を切らせた。「映画になりそうだぞ、と思ったのは、木下惠介監督の『楢山節考』を観たことが大きいですね。オールセットで撮っていて、その場面転換が見事で。地獄のセットを作っちゃえばいいんだ!と思ったんです。そこから具体的にいろんなことが進んでいきました」

キラーKと出会う高校生の大助には神木が扮している。「ドラマの『11人もいる!』で脚本を担当して一緒に仕事をしたときに、すごく振り切れてる役者さんだなと思ったんです。それが気持ちよくて。脚本を直していくうちに、大助を神木くんがやったら新鮮だし、なおかつ笑える映画になるぞ、と確信しました」

当然、本作では地獄パートが重要となる。撮影現場ではこんなエピソードも。「地獄はかなり大きなスタジオに作ったんですけど、バックは一枚布の幕なんです。そこに美術さんが手描きで燃えさかる炎の絵を描いてくれたんですが、予算の関係で、セットの半分の大きさしかなかったんですね。それで、カメラが別の角度を向くときには、みんなでカーテンのように幕をずらして(苦笑)。下に鎖の重しがついてて、結構重いので。手が空いている人みんなに動かしてもらいました。カットかけて、『あ、ごめんなさい、やっぱりこっちでした』ってなったりすると、またジャラジャラジャラって幕を動かしてました。土とか石も本物を入れているし、かなりクオリティの高い地獄になったと思いますが、とにかくホコリがすごくて、だんだん声が出なくなったり、長瀬くんも声が枯れてきたり。本物の地獄みたいでしたね(笑)」

そして4本目の長編劇場映画監督を務め上げた宮藤監督が、貫き通してよかったこと、映画への思いを明かした。「オリジナル映画で舞台が地獄ってことで、最初はなかなか理解して貰えませんでした。でも諦めなかった。大きな設定を曲げなかったから、小さいところも曲げられなかった。説得されても『いや、諦めません。大きいところを妥協してないのに、小さな妥協で世界観を壊したくない』と。俺たち頑張ったよね、とか言いたくないし、好きじゃないんですけど、でも映画に関してはそういう感覚でないとできない。4本撮ってみて、カッコつけてたら何もできないというのは学びましたし、どこまで自分を出せるかだと感じました」

『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
公開中

取材・文・写真:望月ふみ

最終更新:7月1日(金)10時22分

ぴあ映画生活

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。