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本格着工から2年…辺野古のいま 全工事停止、国計画は大幅遅れ

沖縄タイムス 7月1日(金)14時48分配信

 国が進める沖縄県名護市辺野古への新基地建設工事は、1日で本格的な着手から2年を迎えた。訴訟の和解により、国は今年3月4日以降、辺野古沿岸部での全工事を停止しており、国が描いた工事スケジュールは大幅に遅れている。それでも国は「辺野古が唯一」と繰り返し、新基地建設の方針を堅持するが、米国からは工事の遅れや元海兵隊員で軍属の男による暴行殺人事件による反米感情を危惧する声も上がる。
 沖縄防衛局は名護市辺野古への新基地建設へ向け、2014年7月1日にキャンプ・シュワブ内で滑走路に位置する工場や兵舎などの解体工事に着手した。日米が合意した統合計画では、全体の工期を9・5年とし、うち、埋め立て工事は5年。当初計画では、20年10月31日には埋め立て工事を完了する予定だったが、スケジュールは大幅に遅れている。
 政府は15年8月から1カ月間、工事を停止して県との集中協議に入ったが決裂。9月には翁長雄志知事が埋め立て承認を取り消したにもかかわらず、沖縄防衛局は執行停止を申し立て、同じ政府機関である国土交通相が知事の取り消しの効力を止める判断を下した。
 政府は工事を強行する。10月28日に、埋め立て工事の「着手届」を県に提出し、翌29日、護岸工事に必要な資材の製作や保管場所として使う陸上作業ヤード2カ所の整備を始め、「埋め立て本体工事に着手した」と発表した。
 工事着手後、防衛局はすぐに作業ヤードや汚濁防止膜、土砂運搬用の工事用仮設道路などを設置するとともに、埋め立て用の土砂を浚渫(しゅんせつ)し、護岸の建設に着手する予定だった。11月には汚濁防止膜設置のための大型ブロックを積んだ船が沿岸部に到着していた。
 だが、3月4日に代執行訴訟で県と国が和解合意し、和解条項に従い国は全作業を停止。結局、護岸工事には着手できていない。
 知事の埋め立て承認取り消しに対する国の是正指示の違法性を審査した国地方係争処理委員会も適否を判断せず、国に県との協議を促した。今後、国が県を相手に違法確認訴訟や再び代執行訴訟に踏み切る可能性もあるが、確定判決が出るまでには、早くても年内いっぱいはかかる見通しだ。
 加えて、美謝川の切り替え工事など、国は今後、複数の設計変更を必要とするが、知事の承認が必要だ。知事は「あらゆる方策で阻止する」と述べ、知事権限を行使して工事を止める考えを示しており、工事再開のめどは立っていないのが現状だ。(政経部・大野亨恭)

■県と国、埋まらぬ溝
 工事着手から2年を前に、萩生田光一官房副長官は30日の会見で「辺野古への移転以外に方法はないという信念のもと対応してきた」と述べた。米軍普天間飛行場の危険性の除去では一致している県と国だが、手段となると一向に溝は埋まらない。
 和解条項が及ぶ範囲を巡り、当初から解釈のずれが現れた。県は「埋め立て承認取り消しに伴う2訴訟」に限定され、移設阻止に向けた知事権限の行使は制限されないとする。一方、政府は県側が敗訴した場合、移設計画に協力すると解釈する。そのため3月31日(日本時間4月1日)にワシントンで開かれた日米首脳会談で、工事の遅れを懸念するオバマ米大統領に、安倍晋三首相は「急がば回れの考えのもと決断した」と説明した。
 4月14日には、安慶田光男副知事と杉田和博官房副長官による初めての作業部会が開かれた。翁長雄志知事による埋め立て承認の取り消しで、国には工事を進める根拠がなくなった。県は「フロートやブイの設置は法的根拠がない」とキャンプ・シュワブ沖の臨時制限区域の撤廃を訴えた。政府は和解条項は「工事の中止であり原状回復までは及ばない」との認識だが、沖縄防衛局が同月30日にフロートの撤去作業に着手した。
 元米海兵隊員の軍属による暴行殺人事件が発生し、県内で反発が高まる中、5月25日には三重県での日米首脳会談で、安倍首相はオバマ大統領に改めて「辺野古が唯一の解決策」と伝えた。
 6月17日には係争委が結論を出した。菅義偉官房長官は「国による是正指示が有効である」とし、和解条項に基づいて県へ提訴するよう要求。しかし、翁長知事は審査結果を不服とせず提訴していない。7月に、2回目の作業部会と普天間飛行場負担軽減推進会議を開催。国は、不作為の違法確認訴訟を起こすことを視野に県へ真意を確認する。(東京報道部・上地一姫)

最終更新:7月4日(月)19時57分

沖縄タイムス