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福島から「永世伝説」 井山本因坊「県民に恩返し」

福島民報 7月1日(金)11時34分配信

 囲碁の筆頭家元「本因坊家」の系譜が福島県内で受け継がれた。福島市穴原温泉「吉川屋」で29、30の両日、繰り広げられた第71期本因坊戦第5局を制した井山裕太本因坊(27)。「永世本因坊」資格を手中にし、囲碁史に新たな伝説を書き込んだ。今年は同市飯坂町出身の「七世本因坊秀伯(しゅうはく)」の生誕300周年。本因坊家26代目の「跡取り」は「応援してくれた県民の皆さまに恩返しができた」と静かに喜びをかみしめた。
 「大変なことだと分かっていたので非常にうれしい」。井山本因坊は七冠に続いて永世本因坊の勲章を獲得し、その重みを確かめるように笑みをたたえた。「復興」という言葉を何度も耳にした福島決戦。「被災者の方々が何かを感じ取ってくれたら」と期待に応え安堵(あんど)の表情ものぞかせた。
 子どものころ、25世本因坊治勲=趙治勲(ちょう・ちくん)九段(60)=が次々に本因坊戦を連覇する姿に憧れた。「趙先生の次に頂けるとは…。不思議であり感慨深い」
 七冠達成後、初の防衛戦。「恥ずかしい碁は打てない」と自分を戒めた。第一局を落としたが、気持ちを切り替えて4連勝を成し遂げた。
 挑戦手合で2日制の対局を終えると、棋士は数キロ体重が落ちるという。井山本因坊も過去に経験したと認める。その過酷な戦いを前代未聞の頻度でこなす。本因坊戦の第4局(長崎県)が6月13、14の両日、11日後の25日に碁聖戦第1局(静岡県)を戦い、4日後の29日に福島での第5局が始まった。
 「目の前の一局にすべてを」。信念を貫き通し、数々の偉業を成し遂げた。次のタイトル戦は碁聖戦。ここでも5連覇が懸かり、達成すれば「名誉碁聖」の資格を得る。
 棋界では七冠をいつまで維持できるか、その「期間」に関心が集まっている。将棋の羽生善治三冠の七冠は167日間だった。井山本因坊の七冠が決定したのは4月20日の十段戦第4局で、ここから起算した場合、1日現在で72日目となる。「井山神話」がどこまで続くか、興味は尽きない。

福島民報社

最終更新:7月1日(金)12時13分

福島民報