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『ブレイブルー セントラルフィクション』プロデューサーの森利道氏とデザイナーの樋口このみ氏がEs誕生秘話を語る

ファミ通.com 7月1日(金)16時1分配信

文・取材:編集部 豊泉三兄弟(次男)

●森P&樋口氏がEsの誕生秘話を語る
 2016年10月6日発売予定のプレイステーション4・プレイステーション3用ソフト『ブレイブルー セントラルフィクション』。本作の追加キャラクターとして、同社のアドベンチャーゲーム『エクスブレイズ』からEsが登場する。今回は、『ブレイブルー』のプロデューサーである森利道氏と『エクスブレイズ』のキャラクターデザインを担当した樋口このみ氏に、Esの誕生秘話をうかがった。

――まず、『エクスブレイズ』のときのEsは、どういう流れでデザインしていったのでしょうか?

樋口このみ氏(以下、樋口) 『エクスブレイズ』のキャラクターをデザインするときは、森からキャラクターの名前とコンセプトをまとめた一覧をもらって、そこからイメージを膨らませてデザインしました。Esは『エクスブレイズ』の中でいちばんすんなりとできあがったキャラクターでした。

――それだけキャラクターのイメージがはっきりしていたのでしょうか?

樋口 『エクスブレイズ』のヒロインになるキャラクターだったので、『ブレイブルー』を連想させるようなデザインを意識しました。『エクスブレイズ』は『ブレイブルー』とは異なる時代ではありますが、Esを見た人が「あれ? 『ブレイブルー』ぽくない?」と思ってくれるように。あとは、お人形のような女の子というイメージも伝えられていたので、それなら『ブレイブルー』の素体シリーズ(※)を参考に……ということで“三つ編み”に(笑)。初めてキャラクターデザインを担当したのですが、Esはスムーズに行きました。でも、そのほかのキャラクターは、何度もデザインがひっくり返ったりして苦労しました(笑)。

※素体シリーズ:ニューやミュー、ラムダなど。

――最初に描くラフは、鉛筆などアナログで簡単に描く形ですか?

樋口 私は最初からパソコンで描いてしまいます。ただ、アナログからはずっと離れていたのですが、最近絵を描く機会があって、やっぱりおもしろいなと、アナログで下書きすることも増えました。

――森さんもアナログで描くことは少ないのでしょうか?

森利道氏(以下、森) 鉛筆で描くことはほとんどないですね。最近はデジタルでも描いているようですが、社内でアナログイラストを描いているのは石渡くらいだと思いますよ。僕は“液タブ”(液晶ペンタブレット)を使って描いています。手描きに近い感覚で描けるのがいいのですが、すごく気合いを入れて環境を作らないといけないんです。ソフトはフォトショップとsaiを使っていて、いくつものショートカットをゲーミングマウスやキーボードに割り振るので、ショートカットを覚えるまでがすごくたいへん。しかも僕の場合はシナリオも書かないといけないから、デザイン用のキーボードと別にテキスト用に使うメカニカルキーボードまで用意してあります。

――森さんの作業机は機材がすごそうですね(笑)。

森 液タブはアニメ絵っぽいテイストの人よりも、ペンの流れを重視する人に向いていると思うんですよ。“パス”などのフォトショップの機能をあまり使わないで、とにかく筆の力で何とかする人たちですね。社内で言うと、デザイナーの加藤みたいなタッチの絵を描く人です。樋口の絵はアナログっぽくなくてシャープな雰囲気だから合わないかもしれない。

――なるほど。では、一度話を戻しまして、Esが『ブレイブルー』に参戦すると聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?

樋口 純粋にすごくうれしかったですね。Esを知っている人たちの中でいちばん喜んだと思いますよ。でも、最初に森からプレイアブル化を聞いたときは、「やっぱりやめました」という話になったときにショックが大きいので、「ウソなんじゃないか?」と思うようにして、あまり信じないようにしていました(笑)。ですので、実作業が始まってから「本当にEsが出るんだな」とじょじょに実感していきました。

――Esについては、樋口さんがすべて監修して作業が進めたのでしょうか?

森 最初は自分でデザインしてみたのですが、Esはもう僕の“子”ではなくなっていると感じたんです。Esを生み出して育てたのは増澤だったり樋口だったり、『エクスブレイズ』の世界を作ったスタッフ。やっぱり子は親に任せたほうがいいなと。それに、「みんなに好きになってほしいんだったら、いちばん好きなやつが作ったほうがいい」と。だから、僕よりも樋口にやらせようと思ったんです。

――作業の流れとしては、まずはメインのデザインから?

樋口 そうですね。まずはデザインを確定させて、服の詳細を描いて……それからアクションの基本となるポーズをデザインして……という流れでした。最初はメインのデザインと絵コンテを見る予定だったんですが、『エクスブレイズ』のディレクターの増澤に、「森さんにEsを任されたなら最後まで見ないとダメだ。『エクスブレイズ』やEsが好きな人が納得できるEsを作れるのは、いちばんわかっているお前がやるべき」と言われ、それで覚悟を決めて各セクションでうるさく口を出して、何度もぶつかりました(笑)。

――具体的にはどういった意見交換があったのでしょうか?

樋口 絵コンテがメインだったので、そこがいちばん密に意見交換をさせていただきました。Esは没個性的な部分があるので、プラチナのようにかわいくしすぎてもダメなんですよ。だから、「ジンのように淡々と攻撃するけど、本人が意識していない部分でちょっとだけかわいさが出るような技を入れてください」と注文したんですが、そういった表現のとらえかたは人それぞれなので、なかなか納得いくものが上がらず、スタッフと毎日相談しながら進めました。Esが素晴らしい出来上がりになって、ブレイブルーチームのみんなに本当に感謝しています。

――Esのモーションでところどころにかわいいアクションがあるのは、樋口さんのアイデア?

樋口 スタッフみんなでEsの技のネタ出しを行って、コンテ班が出してくれたかわいいモーションの中からコンセプトにあったモーションを選びました。

――以前、森さんのインタビューで、TypeAssaulter「エレック」という技のモーションがかわいいとお聞きしました。

樋口 TypeAssaulter「エレック」は相手の頭に乗っかって投げる技なんですけど、それはコンテ班のリーダーが、「Esのモフモフしたスカートの中に頭を突っ込みたい」と言い出したのがもとになってできた技です(笑)。投げが決まるとサマーソルトキックをかっこよく決めるんですけど、失敗したときはかわいらしくバランスを崩すんです。じつは、そのモーションは足の開きかたまで細かく指定したら、コンテスタッフとケンカになりました。細かすぎてそれは伝わらないと(笑)。

――『ブレイブルー』と『エクスブレイズ』の衣装の違いで意識したところはありますか?

樋口 最初は、「とりあえず脱がせよう(笑)」と思ったのですが、そこでも増澤が「『エクスブレイズ』のときにEsが好きと言ってくれたユーザーさんが最初に見てくれるはずだから、『エクスブレイズ』の印象を残しつつ、新しくしたほうが喜んでくれると思う」とアドバイスしてくれて、確かにその通りだと思いまして、『エクスブレイズ』のときとシルエットの印象はあまり変えないようにしました。そのうえで、今回のEsは“蒼の門番”という役目があるので、「門の前にずっといる。そこにいて動けない。蒼に縛られている」と連想し、衣装のリボンを使って縛られているイメージを再現しました。

――衣装の背面が空いているのは森さんの好みという話をうかがったのですが……?

樋口 森のキャラクターデザインは、見た人がこのキャラクターはこういう性格をしているというのが、ひと目で伝わるんですよ。自分もすごく参考にしているので、森がかわいいと言ってくれたら大丈夫だろうという基準が自分の中にあったので、そこを狙いつつ、みんながかわいいと思ってくれるようなデザインを心がけました。

森 樋口のデザインを見て感じたのは、ノエルと同じで絶対にパンツは見せたくないんだなと(笑)。というのは冗談として、最初のデザインラフは何パターンくらいあったっけ? けっこうあったよね?

樋口 『エクスブレイズ』のときはすんなりいきましたけど、今回はすごく苦労しましたね。

森 『エクスブレイズ』のときは、コンセプトをガチガチに固めてから樋口にまわしたんですよ。ロリ巨乳でお人形さんぽく、素体シリーズである、ゴスロリ系の衣装……と。何度かリテイクはしましたが、青と白のキレイなコントラストのデザインが上がってきて、これでいこうと決まったんです。なんとなくノエルの衣装に似ていたので、『ブレイブルー』を意識して作ったんだと思いました。ただ、本作は格闘ゲームなので、アドベンチャーゲームのデザインとは違うんですよ。あまり衣装がヒラヒラしていると、大剣を振り回したときに引っかかってしまいますし、格闘ゲームは動きがあるので身体のラインが見えたほうがいいですから。そのあたりは指示を出したつもりです。

――格闘ゲームとアドベンチャーゲームでデザインも変わってくるんですね。

森 その間にプランナーから上がってくるEsの技の仕様がとにかく難しかったんですよ。

樋口 私としてもEsは、『エクスブレイズ』からEsが好きな方や、女の子でかわいいから使ってみたいと思ってくださった方にぜひ使っていただきたいという気持ちがありました。ですので、デザイナーが仕様に意見することはほとんどないんですけど、ここでも増澤に「森さんに任されたなら最後までEsを見てあげないとダメだ」と言われ、私なりの意見をさせていただきました。

――ということは、やはり扱いやすいキャラクターに?

森 キャラクターのコンセプトとしては、ラグナやジンといったスタンダードなキャラクターと同列にしようと。ドライブを意識しなくても遊べるキャラクターですね。キャラクターをドンドン作っていると、みんなF1マシンのようなものを作りたくなってしまうんです。でも、F1マシンは誰でも乗りこなせるわけではないんですよ。やっぱり使っていて気持ちよくなれないとダメですよね。もちろん、中にはF1マシンのような扱いの難しいキャラクターも作りますが。

――実際に画面内で動いているEsを見ていかがでしたか?

樋口 うれしかったですね。本当に。格闘ゲームのキャラクターのひとりとしてEsが動いて闘ってくれているのは信じられず。純粋にうれしかったです。

――発表されたときの反響もすごかったですね。

樋口 正直、最初はどんな反響があるのか怖かったんですよ。スピンオフ作品から来たキャラクターなので、『ブレイブルー』ファンに「なんでこっちの世界に来るのさー」と反感を買うかと思ってドキドキしていました。でも、思いのほか受け入れてくださっているようで安心しました。また、『エクスブレイズ』ファンの方々は、Esをプレイアブル化してほしいと応援してくださっていたので、作っているときにそういった声に支えられた面もあります。ファンのみなさんがEsを使ったときに、「いいキャラクターだね」と言ってもらえるようにすることが自分の仕事だと思っていたので、何かを決めるときは「ファンのみなさんがよろこんでくれるかな?」ということをつねに考えながら作業を進めていました。

――お気に入りの技やモーションはありますか?

森 必殺技の“Type:Slasher「モルドレッド」”ですね。突進して十字に斬る技なんですけど、すごくかっこいいですよ。あとはエクシードアクセルの“Type:Braver「ランスロット」”もいいですね。ちなみに技名は、円卓の騎士から取っています。

樋口 全部です! 必殺技はちょっと不思議な見た目にしたいというのがあったので、技自体はわかりやすいふつうの無敵技や突進技ではあるんですけど、十字に斬ったり、一回転しながら上昇したりと、ひと工夫してあります。そこがEsの個性が出ているところかなと思います。

――個人的には大剣を振り回して闘うのがすごくかっこいいと感じています。

森 Esがなぜ大剣を使っていのかは、ストーリー上ものすごく重要な秘密となります。そこはゲームをプレイするとわかるので、ぜひ楽しみにしていてください。

――では最後にEsを待ち望む読者へのメッセージをいただけますか?

樋口 ぜひEsを使ってください! 絶対楽しいと思います。あとは、Esで全国1位を取ってほしいです。それが夢です。愛を持って作ったので、Esが1位に輝いたら泣いちゃいますね(笑)。

森 べつにキャラクターの性能は全国1位を意識して作っているわけではないので、そのあたりは勘違いしないでください! 樋口が調整しているわけではないですから(笑)。

――(笑)。それでは森さんからもメッセージをお願いします。

森 初心者向けのキャラクターというと、“簡単で強い”という意味で使う人がいますけど、僕は初心者がいきなり使えるキャラクターなんていないと思っています。だからEsは、格闘ゲームを始めたいと思っている人たち向けのキャラクターです。Esはわかりやすいので、対空であったり、突進技であったりと、格闘ゲームのいろいろな要素を使いながら学んでいけるはずです。プレイヤーといっしょに成長してくれると思いますので、ぜひ一度触ってほしいですね。よろしくお願いします。

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●アークシステムワークス樋口氏誕生秘話

――樋口さんの経歴を簡単に教えていただけますか?

樋口 いちばん最初は『ブレイブルー』チームに入って、その後に『エクスブレイズ』でキャラクターデザインをやらせていただきました。森さんにはだいぶしごかれました(笑)。

森 樋口は最初に面接に来たときの作品がダメダメだったんですよ(笑)。というのは冗談で、マジメな話をすると、『ブレイブルー』を立ち上げるときに面接をしたんです。ゲーム作りは愛と根性なので、根性のある人しか採用したくなかったんですね。だからそのときの面接では、いいと思った人たちにキツイことを言ってみたんです。それでも来たいという人は考えようと。それで作品にダメ出しをしても戻って来たのが、樋口だったんです。

樋口 私は採用面接で一度落ちているんです(笑)。

森 それでも樋口は、「ダメだったら何をすればいいんですか?」と言ってきたので、これを作ってみてと伝えたら、ドットの作品をいくつか上げてきたんです。デキは正直ダメでしたけど、根性はあるなと。それで二次選考に呼んで「やる気はあるの?」と聞いたらあるということだったので、じゃあきなよと。

――入社したときの仕事はどんなことを?

森 絵コンテから始めて、なんでもやらせましたね。僕も『ギルティギア』を作っていたときに、石渡にこれでもかというくらいいろいろなことをぶち込まれたんですよ。それもあったし、僕と加藤ができることは全部できるようにさせようというのが目標だったので、あのときはみんなにいろいろな無茶をやらせた気がします。絵は場数をこなさないとダメなんですよ。

――そういった苦労があったからいまがあるんですね! 本日はありがとうございました。

最終更新:7月1日(金)16時1分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。