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難燃性電解液を開発、Li電池で平均4.6Vを発生

EE Times Japan 7月1日(金)11時3分配信

■特殊な液体構造が高電圧作動時の副反応を抑制

 東京大学大学院工学系研究科の山田淳夫教授と山田裕貴助教らによるグループは2016年6月、物質・材料研究機構の館山佳尚グループリーダー、科学技術振興機構の袖山慶太郎さきがけ研究員らとの共同研究により、リチウムイオン電池の高電圧作動を可能にする新しい難燃性電解液を開発したと発表した。リチウムイオン電池の作動電圧を現行の3.7Vから4.6Vまで高めることができるなど、高電圧動作と高い安全性の両立を可能とした。

 新規に開発した難燃性電解液は、2014年に発表した「高濃度電解液」の概念に基づき新たに設計した。特殊な溶媒や添加剤を複数種類用いるこれまでの手法とは全く異なる。新設計の高濃度電解液は、商業的に使用されている溶媒1種に、リチウム塩1種を高濃度に溶解しており、極めて単純な組成となっている。

 理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を用いて第一原理分子動力学計算を行ったところ、新設計の高濃度電解液は、従来の高濃度電解液に比べて、より濃度が高いリチウムイオンとアニオン(マイナスイオン)を含んでいる。このため、全ての溶媒分子とアニオンが、リチウムイオンに結び付いた(配位した)ネットワーク構造を形成していることが明らかとなった。既存の有機電解液と比べ、極めて低い揮発性と難燃性を示すことも分かった。

 この特殊な液体構造によって、高電圧作動時に発生する副反応が抑制されることも分かった。具体的には、正極表面における電解液の分解反応、電子の通り道となるアルミニウム集電体の腐食反応、及び正極からの遷移金属イオン(マンガンイオンなど)の溶出などを抑えることができた。負荷特性も良好だという。室温以上で100回以上充放電を繰り返しても、90%以上の容量を保持することが可能である。さらに、これまでの平均電圧3.7Vに対して、新開発の高濃度電解液を用いると平均電圧4.6Vを発生することができる。

 研究グループは引き続き、高濃度電解液が示すさまざまな機能の発現メカニズムを解明しつつ、高濃度溶液科学の体系化や深化に取り組む。同時に、実用化に向けた課題の抽出とさらなる高機能電解液の探索も行っていく計画である。高電圧と高い安全性の両立を可能としたことで、さまざまなEV用二次電池や、太陽光など自然エネルギーを有効活用するための出力用二次電池などへの応用展開が期待できるという。

最終更新:7月1日(金)11時3分

EE Times Japan

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