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人を心地よく巻き込む――プロマネに必要な「ファシリテーション」スキルとは?

ITmedia エンタープライズ 7月1日(金)11時31分配信

 メンバーにプロジェクトの約束ごとを守らせるにはどうすればいいか――。前回の記事では、「話し合う余地のない決定事項」を納得してもらうためのプレゼンテーション、「話し合う余地のある議題」に人を巻き込んでいくためのファシリテーションという、2種類のスキルを使い分ける必要があるというお話でした。

【メンバーの話を最後まで聞いてホワイトボードに書く。これだけでもメンバーの反応は変わります】

 今回はプレゼンテーションに続き、ファシリテーションについて説明していきます。これは「話し合う余地のあるテーマ」に対し、納得感を持って取り組むための工夫です。

 「自分が参加していない決まりごと」というのは、どうしても「勝手にどうぞ感」が高まってしまいます。メンバーがさまざまなモノゴトに対して責任を持って関わり、決定事項を守っていくためには、自分が関わっているという「自分ゴト化」の意識が欠かせません。

●そもそも「ファシリテーション」とは?

 ファシリテーションというと、会議を仕切るというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、本来は発言や参加を促したり、話の流れを整理するなど、参加者間の合意形成や相互理解を支援する機能を指します。例えば、会議の場でプロマネが「メンバーに対して意見を求めるとき」「その出た意見から何かを決めるとき」に活用するのです。

 「提案内容を検討する」ときや「要件をどんな風に実現するか検討する」という場面などでは、メンバーからの意見を参考にする場合が多いでしょう。仮にこのようなときにプロマネが独断で決めると、納得感を得るのは相当難しくなります。

 つまり、会議の場では、ファシリテーションでメンバーがモノゴトに関われる機会を十分に作り出すことがプロマネの役割といえるでしょう。そのポイントは大きく3つに分かれます。

1. メンバーが参加できる機会をつくる
2. 参加しやすい雰囲気をつくり、意見を集める
3. 会議を“きちんと”終わらせる

1.メンバーが参加できる機会をつくる

 当たり前のことかもしれませんが、まずはメンバーが関われる機会を作り、参加を募ることから始めましょう。

 ただ単に会議をセッティングしても「意見を言う場面がない」ものはNG。プロマネの一方的な説明が主体であれば、それは会議ではなく説明会です。会議を開くする際に「何かしらの形でメンバーが関われる時間」を5~6割以上割けるようにプランしておくことが大切です。

2.参加しやすい雰囲気をつくり、意見を集める

 参加しづらい会議の多くに見られるのは「話しづらい」「何を話してよいか分からない」という雰囲気です。話しづらい雰囲気ができるのは進行役(プロマネ)の不機嫌さがメンバーに伝染し、相乗効果で悪循環に陥ってしまうケースや、参加しているメンバーが場の空気を無視して雰囲気が悪くなり、手詰まり感が出るといったケースが大半です。

 原因としては他にもさまざまな可能性が考えられますが、だからこそプロマネが率先して、話しやすい雰囲気を作らなくてはなりません。

 プロマネが進行役ならなおさらです。周囲と一緒に悪い雰囲気に加担してしまえば、よい結果が生まれるはずがありません。その場をどんな雰囲気にしたいのか考え、行動することが必要です。

 そしてメンバーから意見を集めるときにも、気を付けるべきポイントがあります。「メンバーの意見を大事に扱うこと」、そして「意見出しの段階で、よいも悪いも評価しないこと」の2つです。

 時間を取って参加したメンバーを尊重するためにも、意見を大事に扱わないのは本来“あり得ない”ことではあるのですが、「相手の意見を途中で遮る」「興味がなさそうな表情で聞く」「意見聞いた後の第一声が“でもさー”などの否定語」など、大事に扱わないケースが多いのが現実です。

 また、意見出しの段階では「よい、悪い」という評価はしない方が安全です。否定しないのは先ほど書いた通りですが、「いいねぇ」という反応も、他のメンバーが「もっと良い意見を出さないと……」とプレッシャーを感じて、意見を言いにくくなりますし、無意識のうちに議論の方向を誘導してしまいかねません。

 極力、意見に対する私見は入れないこと。ブレーンストーミングなどのアイデア出しでも同じことがいえるので注意してください。「メンバーの話を最後まで聞いて、復唱して、ホワイトボードに書く」。これだけでも、徹底してやってみることで何らかの変化を感じられるはずです。

3.会議を“きちんと”終わらせる

 会議が終わった後に「意見は出したけど何も決まらない」「自分の意見が反映されていない(反映されたかどうかも分からない)」など不満が出るようでは、納得感どころの話ではありません。もちろん、時間の都合などで、意見出しの途中で終わることもあるでしょう。そんなときも「ここまで決まった」という成果を示すようにします。

 なぜなら、メンバーの関心は「自分の意見(や投資した時間)が、どのような影響を及ぼしたか」という点にあるからです。「今回の会議では、皆さんから~~の意見を出してもらいました。これらの意見をふまえて、お客さまに提案します」「次回までにこういう切り口で整理する予定ですが、よいですか?」などと伝えます。「ここまで決まった+これからどうする」を明確に共有して、ようやく会議は終了するのです。

 さて、最後にメンバーの納得感を最も下げることについてお話しします。

 それは、会議のスケジュールを決めるときに、プロマネの一存で決めてしまうことです。“こっち(メンバー)の都合も聞かず、勝手に決められた感”があると、メンバーの協力体制すらも危うくなります。

 “仕事なんだからやれよ!”と言いたいプロマネの気持ちも分かります。しかし、それでも手間を惜しまないでやってほしいのです。なぜなら、メンバーだって仕事だからやらなきゃいけないのは十分分かっているからです。メンバー側にはメンバー側の事情や思いがあって、それを納得させるための理由を探しています。自分を納得させるために、やっぱり一言かけて欲しいと思っているのが、正直なところでしょう。

 もしも「独断」に近い状況になってしまったなら、前回の記事のように、決めた背景や理由を説明し、質疑応答をしっかり行ってメンバーが納得するように努めること。これしか解決への道はありません。人を心地よく巻き込めることが、成果を上げるプロマネになるために必要な条件だと心得ましょう。

最終更新:7月1日(金)11時31分

ITmedia エンタープライズ