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高橋幸宏、“スーパーバンド”METAFIVEへの自信「YMOより速い化学反応」

オリコン 7月2日(土)8時0分配信

 ミュージシャン・高橋幸宏(64)がキュレーターをつとめる音楽フェス『WORLD HAPPINESS』が、今年で9回目を迎える。自身も2014年に小山田圭吾(CORNELIUS)、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と結成したバンド、METAFIVE(メタファイブ)を率いて出演する高橋がこの度ORICON STYLEのインタビューに応じ、60歳を過ぎた現在も衰えを知らない音楽への情熱と、同フェスに込める思いについて語ってくれた。

■ベテランたちの“本気”、METAFIVEの化学反応

 高橋が何者かを一言でくくるのは難しい。一世を風靡(ふうび)したイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のテクノポップサウンド、サディスティック・ミカ・バンド、THE BEATNIKS、SKETCH SHOWなど先進的なバンド・ユニットの数々。あるいはドラマーとして、ストイックで正確無比なプレーが後進に与えた影響も計り知れない。

 その高橋が、かつてYMOに心酔し、音楽の道を志した“後輩”アーティストたちと結成したMETAFIVE。今年1月には満を持して1stアルバム『META』を発売し、既に“スーパーバンド”との呼び声高いが、意外にもこのメンバーがそろったのは“たまたま”だという。

 「そもそもは都内で行うライブ企画の“一夜限りのバンド”として、皆に声をかけたのが始まり。一緒にやるならこの人たちしかいないなと名前をあげていったら、奇跡的に全員予定が空いてて、結成“できちゃった”という感じですよね」。しかし、この奇跡のメンバーを周囲が一夜の企画で放っておくわけがなかった。YMOのカバーを中心に披露したファーストステージは反響を呼び、その後も各地のライブやフェスからオファーが相次いだ。

 音楽シーンで一時代を築いた面々を擁しながら、ベテラン特有の「余裕」な雰囲気は良い意味で感じられない。「まりん(砂原)はライブでベース音を担当しているけど、“キメ”のタイミングとか『もういいよ!』ってくらいひたすら練習してる(笑)。テイくんも、新幹線の移動中まで曲作りしてデータ送ってくれたりね」とメンバーたちの真剣な姿勢に驚かされているようだった。

 バンドへの緊張感とモチベーションは、“テクノバンド”と思えない「生々しい」演奏を生み出す。「ステージを重ねるたびにそういうフィジカル(身体的)な演奏力が高まってきている」と高橋もライブへの手応えを口にした。生演奏か、マシーンか、最も効果的に聴かせられる手段をステージ上でリアルタイムに判断し、演奏に反映させていく。

 「LEOくんのボーカルの勢いが凄い時は僕のドラムプレイもその勢いに乗せられたり、逆に僕なりにバランスを取ったり、と思ったらテイくんがとんでもないノイズをぶちこんできたりね(笑)」。百戦錬磨のベテランたちが「生々しい」発想力でぶつかり合う独特のステージは、テクノのみならずマシーンミュージックの新たな可能性を提案するものであるともいえるだろう。

 YMOにないこのバンドの魅力は何か、尋ねると「YMOより化学反応が起きるスピードが速い」と自信をみせた。「僕らは平均年齢47歳の新人バンドです」と冗談めかして自らを名乗る高橋。まさに、バンドに注ぐそのエネルギーや温度感は“新人バンド”のようなみずみずしさに満ちている。

■「音楽に多様性を」フェス『WORLD HAPPINESS』に込めるメッセージ

 近年の高橋を語る上でもう一つ欠かせないのが、自身がキュレーターを務めるフェス『WORLD HAPPINESS』だ。今年も8月28日、東京・夢の島公園陸上競技場で開催される。都心で自然を満喫しながら楽しめる環境、託児所の設置や観客の徒歩移動を少なくするステージ配置。「フェス初心者にも思いっきり楽しんでほしい」と語る高橋ならではの配慮が若者からファミリー層まで幅広く支持されている。

 一方で、アーティスト側からも「気持ちよく出演できる」フェスとして評判だ。くるりの岸田繁も14年のステージ後「ミュージシャンが演奏するアティチュード(=姿勢)に敬意のあるフェス」とツイッターで絶賛している。

 「楽屋まわりの環境とかもすごい気を遣いますね。ちゃんとアーティスト同士がコミュニケーション取れるように食事スペースも充実させたり。全員の楽屋にシャンパン届けに行った年もあったな」と裏方としての一面も見せる。また、当日は忙しい合間を縫って「必ず全アーティストの演奏に目を通す」という徹底ぶり。そこには運営側と出演者という関係ではなく、高橋とアーティストが直接ふれ合いフェスを成功へ導く血の通った熱意が存在している。

 すでに電気グルーヴやムーンライダーズなど魅力的な出演陣が発表されているが、ビッグネームだけではなく、新人・若手アーティストの出演も毎年注目される。今年も、水曜日のカンパネラ、大森靖子など注目の新鋭たちが顔をそろえた。

 「必ず若手を出演させる」これは高橋から現在の音楽シーン、ひいては音楽ファンへの痛烈なメッセージでもある。「いつまでも“YMOこそ最高”みたいな、そういう懐古的な音楽の聴き方ってどうなのかなって思う。年をとると特にそうなりがちだけどね。シーン全体もどんどん音楽の多様性が見えづらくなっている。だからせめて自分の手で“魅力的な若手がこんなにいる”ってフェスで伝えていきたい」そう言葉に力を込めた。

 最後に、自身が出演するMETAFIVEのステージについて聞くと「詳しいことは言えないけど、とにかく楽しみにしてくださいよ」とニヤリ。「新曲をやるか…、それはまだわからないですが、とにかく皆がアッと驚く曲をやる予定だから」と予告してくれた。


<WORLD HAPPINESS 2016 夢の島 THE LAST>公演概要
日時:8月28日(日) 開場11:00/開演12:30
会場:東京・夢の島公園陸上競技場
出演アーティスト(7月2日現在):
METAFIVE/ムーンライダーズ/電気グルーヴ/スチャダラパー/
東京スカパラダイスオーケストラ/ポカスカジャン/大森靖子/
GLIM SPANKY/Ykiki Beat/矢野顕子/WEAVER/水曜日のカンパネラ/

公式サイト:
http://www.world-happiness.com/

最終更新:7月4日(月)16時39分

オリコン