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印西市「住みよさ1位」V5 市民「違和感」の源は? 【7・10市長選へ】

千葉日報オンライン 7月1日(金)10時11分配信

 「なぜ?」「信じられない」-。東洋経済新報社の「住みよさランキング」で印西市が5年連続で全国1位を達成したが、首をかしげる市民は少なくない。ランキングが定義する「利便度」や「快適度」の高さがけん引した形だが、高額で有名な北総線の運賃問題を筆頭に、地域生活の課題は山積している。7月3日告示、10日投開票の市長選を前に、市民の「違和感」の源を探った。

◆交通は考慮されず
 「財布落としても定期落とすな」。市内人口の約6割を占める千葉ニュータウン(NT)住民の間でささやかれるこの合言葉に、理由は端的に表れている。

 市を東西に貫く北総線は、都内に住民を運ぶ重要な役割を担う。しかし、千葉NT中央-京成高砂(23・8キロ)の片道運賃は760円と、京成本線の同距離の運賃の倍額。千葉NT中央-日本橋の定期券は1カ月約4万6千円にもなる。

 実は住みよさランキングは、交通に関する指標は考慮されておらず、それが市民に違和感を抱かせる最大要因となっている。

 なぜ、運賃が高いのか。NT開発がバブル崩壊などで計画通りに進まず、鉄道利用客が低迷。その上、建設費などで負った有利子負債は796億円(今年3月末)も残り、毎年多額の返済を強いられていることなどが要因だ。

 千葉県と沿線各市が値下げのための補助金を支給したこともあったが、現在は終了。県交通計画課は「当面は今の運賃体系が続きそう」と話す。

◆商業、満足と限らず
 NTを通る国道464号沿いには多くの大型商業施設が集積し、買い物客で賑わう。人口当たりの大型小売店店舗面積が全国1位で、これが「利便度」3位に寄与した。市民の多くは恩恵を感じているが、意外にも、市に不満を持つ住民の中には、商業環境を理由に挙げる人が目立つ。

 市がまとめた15年度の市民満足度・重要度調査では、市に「住み続けたい」と答えた人の理由をみると、「買い物などの日常生活が便利」との回答が59・4%と確かに多い。一方で、「住みたくない」と答えた人も43・7%が「買い物などの日常生活が不便」と回答している。

 これはNTの商業開発のあおりなどで中心街の木下をはじめ、大森、小林などの在来地区の商業が衰退していることが影響している。同調査の「自由意見」では、「木下駅前が寂れるばかりで買い物も不便になる一方」(60代女性)、「旧市街にスーパーがなく、NTにばかり施設を異常に増やして、市民のことを何一つ考えていない」(20代男性)と切実な声が漏れる。

 商業施設の「質」を問う声もある。目立つのは印西牧の原駅前の商業施設「ビッグホップ」「牧の原モア」への注文だ。駅前なのに空き店舗が散見され、「つぶれないか、とても心配」と50代男性は不安がる。

◆多い病院拡充の声
 一方、ランキングの「安心度」が641位と下位だったことは市民の実感とほぼ合っているようだ。人口当たりの病院数や介護施設数が全国平均より少なく、拡充を求める声は根強い。

 もちろん、東京の通勤圏でありながら住宅価格が手頃なこと、居住地と豊かな自然が近接していることなど、住民に「住みよい」と思われている点はいくつもある。が、「真に『1位』の名に恥じない街にならなければならない」と市関係者は気を引き締める。市民の違和感を払拭(ふっしょく)する手腕が市政のリーダーに求められている。

(佐倉支局 平口亜土)

最終更新:7月1日(金)10時21分

千葉日報オンライン