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【いま大人が子供にできること(12)】  子供によい本は、図書館の大人コーナーに

ニュースソクラ 7/1(金) 18:00配信

いい本を、なるべく安く 国際協同印刷の話

 いま、翻訳ものの図鑑がカッコいい理由のひとつは、国際協同印刷といわれているやりかたが考えられたからです。

 印刷というのは基本的には四色…… 赤版、黄版、青版、墨(黒のことです)の版を重ねて刷りますが、そのなかで文字が載るのは墨版だけなので、墨版だけ変えればいろんな言語の本が印刷できることになります。

 それを利用して、一冊の本を各国にオファーして、たとえば合計百万部とか注文を取ってこられたら、赤と青と黄の版はいっぺんに100万枚刷ることができます。

 たくさん刷れば刷るほど単価は安くなりますから、制作費を考えたら定価10万つけなければ作れないような本を、定価一万円で作ることができる…… というのが国際協同印刷です。

 カッコいい図鑑を作ろうと思うとお金がかかるのです。
 図鑑はイラスト一枚、写真一枚ごとに買ってこなくてはならず、それを一ページずつデザインしなければならないからです。図鑑だけじゃなくアニメも映画も、ビジュアル系のものは、活字とは二桁も三桁も初期投資が違う……。

 なんとかして制作費に金をかけたい……。
 でも、それを安く、一般の人の手に届く値段で提供したい……。
 そのジレンマを解決したのが国際協同印刷、というやりかたなのです。

 かくしていま本屋さんでみかけて「わっ、カッコいい、ええっ? でもこんなきれいな本がこんなに安いの?」と思うような科学の本は、ほとんどこの国際協同印刷だといってもいいでしょう。

 いまの小学生は生まれたときから地デジの放送を見ている人たちです。

 たとえば、あすなろ書房の「『知』のビジュアル百科」シリーズを小学校で一番借りていくのは一年生です。
 山と渓谷社がだしてた『BODY―驚異の人体探検』は、三歳の女の子たちが離しませんでした。女の子が自分のボデイが自分のものだ、ということに気がつくのはこの時期で、そうして女の子というのは圧倒的に自分に興味があるからなのでしょう。

『デイビッド・マリンの驚異の大宇宙』(ニュートンプレス)も、公共図書館に飾っておいたら、幼稚園児たちに借りていかれました。60センチ四方の大きさですばるや馬の首星雲が写っていて、大人のかたにも見せると感嘆される美しい本ですが、実にめざとい……。

 でも、こういう五千円や一万円の本を、まさか、三歳や四歳の子どもが見るなんて普通は思ってくれません。
前回もいった通り、
「美しくて」
「本質的で」
「その年齢の人が興味を持つもの」
なら子どもたちは一級品の本を楽しみます。

 お近くの公共図書館にこういう本はあるはずです。大人のコーナーか、レファレンス(参考図書)コーナーに……。
 子どもたちがひとりでそういうところにある本を探し当てることは難しい……。

 本を選ぶときはそれが子どもの本か大人の本かではなく、この本を見せたらあの子がどんなに喜ぶだろう、ということが規準なのです。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:7/1(金) 18:00

ニュースソクラ

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。