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仙台空港きょう民営化。東急だけでなく前田建設、豊田通商が参画する理由とは

ニュースイッチ 7月1日(金)7時43分配信

国交省、「コンセッション」推進

 国が管理していた仙台空港が7月1日、民間委託による運営を開始する。国管理空港では国内初の民営化となる。東京急行電鉄などが設立した「仙台国際空港」が民間ノウハウを生かして空港運営に挑む。航空ネットワークを充実し、旅客数や貨物量の増加に軸足を置く。東北の空の玄関だけに、地域活性化の起爆剤として地元の期待も高い。仙台空港の成否が今後の空港民営化の流れを左右するだけに、着実な“離陸”が求められる。

<飛躍のカギはLCC、設備拡充へ>

 東京急行電鉄、前田建設工業、豊田通商などのコンソーシアム(企業連合)は2015年11月に、特定目的会社(SPC)「仙台国際空港」を設立した。7月から30年間、SPCが仙台空港の運営を請け負う。仙台国際空港の金子次郎管理部長は民営化のポイントを「民間の知恵を入れ、一体運営を強力に進める」と話す。

 仙台空港は従来、ターミナルビルを宮城県と民間企業の第三セクター、駐車場や滑走路を国と、運営主体が分かれていた。路線の誘致は県が担っているが、着陸料は国が一律で決めるなど、機動的な運営にはほど遠く、赤字が続いていた。現在、年間324万人が利用する。これを5年後の20年に410万人、30年後の44年に550万人に引き上げる。また現状、年間約6000トンの貨物量を、20年に1万トン、44年に2万5000トンとする目標を掲げる。

 仙台空港では29日に格安航空会社(LCC)のタイガーエア台湾が就航した。既にピーチ・アビエーションが17年度内の拠点化を公表しており、今後の旅客数拡大はLCCがカギを握る。LCC向けには、18年度中にボーディングブリッジのない、簡易な駐機施設を増設し、現在より5機多い19機が駐機できるようにする計画だ。

 ターミナルビルについては、16年度中に1階部分の改装に着手し、カフェなどを新設するほか、18年度に東北の地産品などを扱う商業施設を開設する。こうした空間作りに東急のノウハウを生かす。今後30年間で、341億8000万円を投じて、仙台空港を「東北の空のゲートウェー」に磨き上げる。民間の知恵を空港運営に生かせるのか、仙台はその試金石となる。

 国は財政状況が厳しい中、民間の資金やノウハウを使ってインフラを整備するPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業を推進する。仙台空港は、国が所有権を保有したまま運営権を民間に売却するコンセッション(公共施設等運営権)方式を採用。国管理空港として初の民営化を実現する。

 空港民営化では、これまで別々だった滑走路の管理と空港ビルの運営が一体化する。コスト削減や効率化だけではなく、収益を上げるための「攻めの運営ができる」(国土交通省)のが重要な点だ。今回の民営化は地域活性化に加え東北復興の意味もあり、国交省も「成功事例になってほしい」と期待する。

 今後、高松空港や福岡空港でコンセッションによる民営化が検討されている。中でも高松空港は仙台空港より半分近く利用客が少なく、中規模空港の事例として民間の力が試される。国交省は「民間業者からいい提案が出るように公正な環境づくりをしたい」と継続的に民営化案件を積み上げていく考えだ。

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最終更新:7月1日(金)7時43分

ニュースイッチ