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日本一厳しい!? 芦屋市では屋上広告が全面禁止に

SUUMOジャーナル 7月1日(金)10時30分配信

関西屈指の閑静な住宅地として知られる兵庫県芦屋市。これまでも景観条例などによって美しい街を守ってきているのだが、7月1日より新たに「屋外広告物条例」が施行されるという。日本一厳しいとされる条例の詳細をご紹介しよう。

■屋上広告は全面禁止、看板などの配色にも制限が

SUUMOの「みんなが選んだ住みたい街ランキング 関西版」でも常に上位に挙げられ、関西圏の憧れの街である芦屋市は「国際文化住宅都市」を標榜(ひょうぼう)している街でもある。これまでにも全国で初めて市の全域を「景観地区」に指定、六麓荘町(ろくろくそうちょう)などでは住宅の最低敷地面積を400m2に定めるなど、住宅地としての美しい景観を保つためにさまざまな施策を行ってきた。

その芦屋市が7月から実施するのが「屋外広告物条例」だ。「これまでは景観地区指定などにより建物そのものに対する指導を行うことで、良好な景観形成を推進してきましたが、さらに一歩踏み込んで看板などの屋外広告に対して制限を設けようというのが今回の条例。景観に対する最終メニューという位置づけです」と芦屋市都市建設部都市計画課の東氏は語る。

条例では市内を「住宅地域」や「広告物誘導特別地域」、「南芦屋浜特別地域」など7つのエリアに分け、広告物に対する詳細な規制を定めている。まず、全体に共通する基準のうち、主なものを挙げておこう。

●屋上広告は禁止
●回転灯、点滅灯、ネオンサイン、LEDの使用は原則禁止
●蛍光塗料、反射光の強い塗料などの使用禁止。色の組み合わせに配慮し、彩度の高い2色、補色、彩度の高い色と黒の組み合わせは避ける
●アドバルーンは禁止
●1文字当たり1m2以下、地上からの高さが15mを超える箇所に掲出する場合は2m2以下

【画像1】屋上広告は禁止され、マンション名の屋上表示もNGとなる(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

【画像2】使用が禁止される配色例が具体的に示されている(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

【画像3】屋外広告の文字サイズ制限(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

■壁面からの突き出し看板のサイズや色彩も制限

このほか、壁からの突き出し看板や、壁面看板、置き看板などについても詳細なルールが設けられている。例えば、JR芦屋駅の周辺や国道沿いなど商業施設も多い「広告物誘導特別地域」でも、突き出し看板の面積は1m2以下、複数の施設への案内誘導広告の面積も1施設当たり1m2以下で高さは5m以下といったルールとなっている。厳しい規制で知られる京都市の広告条例でも突き出し看板は3m2以下となっているので、この点で芦屋市の条例は日本一厳しいとも言えるだろう。突き出し看板の規制は、落下事故のリスクを踏まえた安全対策という側面もある。

【画像4】広告物誘導特別地域の突き出し看板ルール(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

【画像5】広告物誘導特別地域の案内誘導広告物ルール。集合看板は形状や色彩、意匠なども統一することが求められる(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

また、色彩についても「各色相において最も彩度が高い色、明度が9を超える無彩色は禁止色」など、細かな制限が設けられており、真っ赤や真っ黄といったハデな色は使用ができない。

【画像6】「手引き」にはカラーチャートも記載されており、アクセント色の面積なども規定されている(画像/「芦屋市屋外広告物条例の手引き」より抜粋)

■大きな混乱もなく、条例に従って街も動きだしている

こうしてみると、非常に厳しいルールのように思える。もしも、都心部の繁華街などでこのルールを適用しようとすれば大混乱が起こるように思えるのだが、芦屋市では大丈夫なのだろうか?

「事前に調査を行ったところ、条例違反となる広告物が約500件存在していました。条例が施行される7月から3年間の経過措置期間を設けていますので、これから是正をお願いしていくことになります。是正計画に対する補助金も設けていますが、景観を保全し住宅都市・芦屋のブランドを守っていく条例に対しては、多くの市民の方から理解を頂いています」と東氏。大きな違反となるものは事前に協議して、是正へと動き始めているケースもあるという。

【画像7】芦屋川沿いの街並み。商業施設の案内看板は小ぶりでデザイン的にも統一感がある(写真撮影/井村幸治)

【画像8】JR芦屋駅周辺の街並み。現在でも落ち着いた景観を保っているが、今後は条例に沿って是正されていくものもあるだろう(写真撮影/井村幸治)

【画像9】国道2号線沿いの街並み。屋上広告や突き出し看板は条例に沿って是正されていく模様だ(写真撮影/井村幸治)

【画像10】芦屋市の住宅地は山側ばかりではない。海側の埋め立て地「南芦屋浜」には電柱のない新しい街がつくられている(写真撮影/井村幸治)

規律が保たれた美しい街並みは、多くの市民の理解と努力によって造りあげられてきたということだろう。訪ねる機会があれば、山麓側から海岸までゆっくりと芦屋市を散策してみるといい。その良さが実感できるはずだ。

●取材協力:芦屋市

●参考
・芦屋市屋外広告物条例について(芦屋市)

井村幸治

最終更新:7月1日(金)10時30分

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